
「夜逃げ屋日記」01 / 画像提供:宮野シンイチさん
漫画家・宮野シンイチ(@Chameleon_0219)がX(旧Twitter)で連載する実録漫画『夜逃げ屋日記』は、DV被害者らを支援する“夜逃げ”の現場をもとに描かれ、多くの共感を集めている。今回はシリーズ39話を紹介し、夜逃げ後の依頼者についても宮野氏に話を聞いた。
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「夜逃げ屋日記」04 / 画像提供:宮野シンイチさん
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物語は、無事に避難先のアパートへ到着した3人が荷ほどきをする場面から始まる。社長が「これから1人でやって行けそう?」と尋ねると、車いすのホノカさんは「母が亡くなってからずっと1人で生活して来ましたから、もう慣れっこです」と答える。
その後、宮野はホノカさんと共に近所の散策へ。川辺でひと休みしながら、自身が漫画家志望であることを告げ、「描いてもいいか」と尋ねると、ホノカさんは「描いてもいいけど、図々しい人間って描き方はしないでね」と笑って返す。障害を抱えながらも一人で懸命に生きてきたホノカさんの姿に、宮野は「障害者=弱い存在」という先入観が崩れ、むしろ“かっこいい”と感じたという。
作業が終わり、帰路につく宮野と社長を、ホノカさんは車が見えなくなるまで頭を下げて見送った。その光景は、宮野の心に深く刻まれた。
なお、ホノカさんの現在については、詳細は伏せられているものの、「作品として描かれていること自体が、生存と安全の証」と宮野氏は話している。
暴力的な父から逃れ、新たな人生を歩み始めたホノカさんのエピソードが描かれる『夜逃げ屋日記』は現在第4巻が発売中。ぜひ手に取ってみてほしい。
取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)