

自身の電車でのトラブル体験をベースにした半実録マンガ「女性専用車両で粘着おぢと戦った話」や、友人の体験をベースにした「お宅のお子さんが車を傷つけました」などをSNS等で発表している漫画家のますまゆさん。その親近感のある社会的なテーマや、リアル感の伝わる描写などから、フォロワー約10万のInstagramアカウントでは、コメント欄で議論が巻き起こることもしばしば。本記事では、そんなますまゆさんの作品のなかから、2025年1月31日に発売した「夫の不倫相手は17歳年上の激ヤバ呪物でした」冒頭を紹介。本作のキャラクターやその背景について話を聞いた。
主人公は28歳のあおい。2歳年上の賢二と順調な交際の末に結婚したばかりで、人生の中で最高に幸せな時期を迎えていた。お互いの友人、会社の同僚、親族一同に祝福された2人の前途には希望しか無いように見えた。ちょっと子どもっぽくて、わがままで甘えん坊な夫の賢二。でも頼りになるところもあって、そんな性格が彼の魅力だと思っていた。
しかし、結婚から2カ月が経つころには、そんな賢二の様子がおかしくなっていた。「前から思ってたけど、あおいって仕事できないタイプだよね」「俺のおかげで仕事辞められてよかったねw」「言われたことぐらいちゃんとやれよ!」…。そんな言葉や乱暴な態度に怯えるあおいの頭によぎるのは、「DV」という言葉だった。
――主人公のあおいですが、冒頭を読むととても順調な人生を歩んでいるように見えます。もともと彼女はどんな人なのでしょうか。
ますまゆさん:あおいはごく一般的な人生を歩んできた女の子のイメージで描きました。自分の行きたい学校、会社に入って特に大きな挫折をしたことがなく、顔立ちもよいため男性からもそれなりにモテて、合コンなどでもどちらかというとチヤホヤされる方…。一般的というよりももしかしたらいわゆる“勝ち組”の人生かもしれません。
なので、相手にモラハラ気質があるかもしれないということを結婚前に見抜くことができず、気づいても「いつか治るかもしれない」と我慢してしまう傾向があるようです。情に甘いところがあるのが彼女の欠点ですが、情報処理能力は高いので、厳しい現実に触れてこのあと彼女がメンタル的にもどう成長していくのかを追っていただければ大変うれしいです!
――夫の賢二は、結婚してみたらモラハラ気質があらわれだします。「チャームポイントだと思っていたわがままで強引なところ」が、違う様相を呈してきました。こういった、“結婚してみてわかったパートナーの一面”“見方を変えたらプラスポイントばかりではなかった”というのはドキッとさせられますが、いかがでしょうか。
ますまゆさん:そうですね。多かれ少なかれ「結婚したら思っていたのとは違った」ということは誰しもにあると思います。賢二は、結婚したら「相手が自分の所有物になった」と強く勘違いしてしまう人物像として描きました。
恐らく結婚前も結婚後もあおいに対しての愛情はあり、かわいいなと思っているはずなのですが、「こいつはもう自分のものだからどう扱ってもいい」と認識が変わってしまったのかもしれません。
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夫の同僚の妻・ユキから意味深な連絡を受けたあおい。「ごめんなさい、お知らせしようか迷ったけど…」という彼女は、何をあおいに話すのか。次回は彼女に会いに行くようすをお届けする。これからあおいを待ち受ける“厳しい現実”とは何か、この先も目が離せない。
取材協力:ますまゆ(@masumayu_)