兄ガチャ失敗..!?優しかった兄は暴力を振るい別人のように。変貌したきっかけとは?【作者に聞く】

  • 2024年2月7日
  • Walkerplus

「この世にガチャがあるのなら引き直したい」。働かず、家族に暴力を振るう兄。昔は優しく近所でも評判だったのに、一体何が兄を変えてしまったのか…。SNSに漫画を投稿しているフワリー(@fuwa_fuwa000)さんが、「すくパラ倶楽部NEWS」で連載していた作品「兄ガチャ-さよならお兄ちゃん-」の冒頭部分を紹介する。フワリーさんにも漫画を描いたきっかけや、「ガチャ」という言葉の印象についても聞いてみた。

■昔は優しかったのに。兄を変えてしまった、心の内の苦しみとは
主人公の楓は4人家族。両親と、10歳年の離れた兄・樹生がいる。今は家族に暴力を振るう兄も、楓が小学生の頃はとても優しく、友達にうらやましがられるほどだった。しかし、兄は表には出さないが、心の中で大学受験のプレッシャーに苦しんでいた。加えて母の「お金がない」という口癖が、さらにその苦しみを大きくしていた。そして大学受験の日が訪れる…。

■家族や社会の中で、子どもが抱える「孤立感」に焦点を当てたい
日常漫画から社会問題に切り込むような漫画まで、さまざまな作品をSNSに投稿しているフワリーさん。今回の漫画を描いたきっかけは何だったのだろうか。

「核家族化が進む現代社会の中での『孤立感』に焦点を当てたいという思いがきっかけです。受験に失敗し、日々アルバイトに明け暮れる兄の心の葛藤や、絶えず言われる『お金がない』という言葉のプレッシャーを通して、家族の絆と社会の中での孤立を描こうと思いました。そして、読者にその孤立感や、現実の厳しさに対する理解を促そうと考えました」

漫画のタイトルになっている「兄ガチャ」という言葉。生まれてくる子供は親を自分で選べず、家庭環境や親で人生が決まってしまうという意味の「親ガチャ」が元となっている。フワリーさんはこの「ガチャ」という言葉にはどんな印象を持っているのか聞いた。

「『親ガチャ』という言葉を初めて聞いたとき、心にざわめきが広がりました。私自身は特別裕福な家庭にいるという感覚はありませんでしたが、両親が私の夢や目標に理解を示し、協力してくれる環境に恵まれていたことを実感しました。この言葉を知ってから、家庭や環境によって変わる選択肢に対して感受性を高め、社会のさまざまな価値観や悩みにも深い共感を抱くようになりました」

■漫画に寄せられる感想は、社会問題へのさまざまな見方を映し出す
漫画には「どこの家庭でもあるかもしれない」「母の口癖がこんなにも追い詰めているなんて」など、他人事ではないと考えたり、兄の立場を思いやったりするコメントが寄せられている。フワリーさんにも漫画の反響について聞いてみた。

「読者からは、兄の苦しみに対する共感や心配の声が多かったです。『お金がない』と言う母親への批判的な意見も多く、物語が読者に深い感情を呼び起こしたのだと思います。寄せられたさまざまな感想は、社会問題に対する複雑な見方を引き出す重要なきっかけとなっていると思います」

フワリーさんも、2人の子どもを育てる母親だ。子育てで心掛けていることを聞いてみると、元保育士だった経験を生かしながら、日々向き合っていると教えてくれた。

「感謝の気持ちを伝え、ポジティブなコミュニケーションを大切にし、困難な状況にも協力し合いながら解決策を見つける経験を共有しています。日常の楽しい瞬間を大事にし、笑顔や会話を通して家族全体に明るい雰囲気をもたらすよう努めています」

漫画では、その後の兄の心が変化していく様子が描かれ、同時に家族間の関わり方を読者に問いかけていく。最後にフワリーさんから読者へのメッセージを貰った。

「読者の皆様へ、心から感謝申し上げます。多くの共感やご意見をいただき、漫画が皆さんの心に触れられたことをうれしく思います。これからも社会的な問題やエッセイ漫画を通して、感動や考えさせられる作品をお届けできたらなと考えています。本業の兼ね合いもあって更新頻度が低くなりがちですが、これまで以上に精力的に創作に取り組みたいと思います。どうぞ今後も応援よろしくお願いいたします」

「兄ガチャ-さよならお兄ちゃん-」はフワリーさんのInstagramで続きが公開中だ。ぜひ、最後まで読んでみてほしい。

取材・文=松原明子

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