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タザキの投資本案内「オニールの成長株発掘法」/100年以上変わらない投資の原則!独創的なチャート分析も魅力

  • 2023年6月6日
  • Walkerplus

こんにちは。YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」を運営している、二児の父でサラリーマン投資家のタザキ(@tazaki_youtube)と申します。

学生時代に株の魅力を知って以来、投資本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、3年間でチャンネル登録者が10万人を超えました。これまでに読んだ投資・マネー系の本は300冊以上。

その経験から、ここでは特におすすめの書籍や、コスパの高い書籍を、経験値や投資スタイル別で紹介していきます。本日は「オニールの成長株発掘法」(ウィリアム・J・オニール著/パンローリング)をご紹介していきたいと思います。

著者のウィリアム・J・オニールは、『マーケットの魔術師』にも登場する世界屈指の敏腕トレーダーです。

このオニールの成長株発掘法は、ファンダメンタルズ情報を元にしたCAN-SLIMという分析と、カップ・ウィズ・ハンドルをはじめとするいくつかのチャートパターンの分析から成り立ちます。

また同書は1880年から2008年に大化けした銘柄の解説付きチャートが100ページ掲載されており、これほど分析データが豊富な投資本はないのではないでしょうか。

■100年変わらない法則
株式投資といえば、昔から「安く買って高く売るものだ」という考え方が定説とされてきましたが、同書では機関投資家や個人投資家など、投資家全般がしてしまう誤った考え方だと主張しています。

「安く買って高く売る」よりも、「高く買ったものをさらに高く売る」ことがこの投資法の本質的な部分だと言えます。

また、「歴史は繰り返す」ということもポイントでしょう。人間の本質は100年経っても変わっていないため、この本は100年以上のデータを分析し、時の試練に耐えた法則を示しています。それがCAN-SLIMという7つの原則と、カップ・ウィズ・ハンドルをはじめとしたチャートパターンです。

■カップ・ウィズ・ハンドルとは
まずはチャートパターンのひとつであるカップ・ウィズ・ハンドルを見ていきましょう。この名称は、チャートが取っ手付きのカップのように見えることに由来します。重要なポイントをいくつか紹介していきます。

まずは、少なくとも30%程度の株価の上昇があります。もちろん、それ以上でもOKです。そこからカップの部分を形成する調整期間が入ります。

この下落では12~33%ほどの調整が入ります。必ずではありませんが、多くの場合、V字形というよりも、なだらかなU字形の方が多いと言われます。

そして、この調整期間は3~6カ月ほどあると言われています。そして、この調整期間を経た後、取っ手の部分を1~2週間ほどで形成します。取っ手は1~2カ月かかることも十分にありえますし、値動きが速いものは1週間で形成することもあります。取っ手の調整幅は強気相場では8〜12%、弱気相場では20〜30%と言われます。

この調整は機関投資家による「ふるい落とし」と言われます。その後、大幅な出来高の増加を伴って株価が上昇したタイミングが買いポイントになります。

出来高は少なくとも40~50%以上増加するのがポイントで、1000%上がることもあるそうです。

そして、この買いポイントは、カップを形成する前の高値よりも、ほとんどの場合低いのが特徴です。このカップを形成する前の高値を超えてからだと遅いと書かれています。

本書では具体例が豊富で「なぜ新高値をとってからでは遅いのか」や、「なぜ取っ手が10週移動平均線を下回ってはいけないのか」などの理由を、事例を見ながらチェックすることができます。

■CAN-SLIMとは
続きましてCAN-SLIMについてご紹介していきます。これはそれぞれの頭文字を取ってつなげたもので、Cから順番に見ていきましょう。

Cは当期四半期の一株当たり収益(Current Quarterly Earnings)と売り上げが増加しているかどうかです。少なくとも25~50%の上昇が条件です。

大事なのは前年同期比で比較するということですね。それは業界によって季節性の変動の影響があるためです。

そしてこのEPS(Earnings Per Share=1株当たりの純利益)の伸びと同時に売り上げも大きく伸びていることが必須条件になっています。

Aは年間の一株当たり収益の伸び(Annual Earnings Increases)です。先ほどは四半期の増加率でしたが、年間の増加率も見ていきます。年間EPSと同じく25〜50%以上の増加が条件です。

そしてROE(自己資本利益率)が最低でも17%。特に優れた銘柄は25〜50%と言われますが、まずはこの最低17%というラインを超えることが条件です。

大化け銘柄の4分の3以上は大きく株価上昇する前に、最低3〜5年間、EPSが継続して増加すると言われるので、EPSの増加率が3年以上高く保たれていればなお有望です。

Nは新興企業や新製品、新サービス、新しい経営陣、業界の需要拡大、価格の上昇、技術革新など(Newer Companies, New Products, New Management, New Highs Off Properly Formed Bases)何らかの新しいもののことです。

本書の事例から、iPodを発売した直後のAppleでは完璧なカップ・ウィズ・ハンドルを形成しています。当時はまだソニーのウォークマンを聴いていた人も多かったのではないでしょうか。このサインは2004年の2月27日に発生しましたが、ここを逃したとしても、実は2004年にもう1回、2005年、2006年、2007年にも同じような買いサインが出ています。

このように独創的で市場を先導する新興企業は将来にわたって何度か買いサインを出してくれるということですね。

Sは需要と供給(Demand and Supply)についてです。世の中のすべての商品の価格は需要と供給によって成り立ちます。

株式市場でも需要と供給の法則は同様で、発行株式数が少ないほど需要に対しての供給が少なくなるため、価値が高くなるということが当てはまります。そのため、その他の条件がすべて同じで発行株式数が50億株と5000万株なら、後者の5000万株の方が期待が持てます。株式が頻繁に分割されている銘柄は、勢いがあるという見方もできますが、過度な分割をすると、流通量が増えるデメリットもあるため注意が必要です。

逆に、自社株買いをすることによって、世の中に流通する株式数が減るため、1株の価値、つまりEPSが高まります。これが自社株買いが好感される理由です。

また、誰が株式を保有しているかということも非常に重要で、経営者の保有の割合が高いと、株主と経営者の利害が一致するため、期待が持てます。

Lは、その銘柄が主導銘柄か停滞銘柄か(Leader or Laggard)という意味で、主導銘柄を買うことが重要です。

主導銘柄とは、業界の上位3位以内の銘柄です。規模や有名かどうかのブランド価値ではなく、CやAの条件であったような、四半期のEPSや年間のEPS、売り上げの伸びが大きく、ROEなどの条件での業界3位以内です。

株探などのWEBサイトを使うと、同業他社との比較をする機能も付いておりますので、スクリーニングが楽にできると思います。

Iは機関投資家による保有(Institutional Sponsorship)で、複数のプロの投資家が保有しているかどうかです。個人投資家より圧倒的な資金量があるため、大きく株価を上昇させるためには、機関投資家からの資金流入が必須となります。

先ほどのカップ・ウィズ・ハンドルの部分でも触れられたように、買いポイントでは出来高が最低40〜50%以上、増加するとされていますが、これだけの出来高増加が実現するには、機関投資家の買いが必要です。

最後のMは、株式市場の方向性(Market Direction)、つまり上昇相場になっているかどうかです。シンプルに言えば下落相場中に買ってはいけないということです。

他の6つの条件を満たしていたとしても、市場が下向きの時はほとんどの銘柄が下落するため、カップ・ウィズ・ハンドルも失敗に終わってしまったり、報われなかったりすることがあります。

強気相場なのか弱気相場なのか、強気相場でも初期か終盤かなどを把握することで、方向性をある程度つかむことができます。ただし、マーケットを完璧に予測することは不可能です。

■独創的なチャート分析、ファンダメンタルズ分析を合わせた手法
実例を見たりすることで、より詳細な情報を得ることができますが、今回の記事でもかなりの概要がお分かりいただけたと思います。

本書は情報量が豊富で、分厚いため、代表的な2つの手法の概要の紹介でしたが、より細かい条件や深い内容を知りたい方は、ぜひ本書を手にとって読んでみてください。

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