エネルギー枯渇の世界、「犬」で発電!?まさかの設定で描かれる近未来フィクションが心を掴む【作者に聞いた】

  • 2023年3月10日
  • Walkerplus

深刻なエネルギー不足にあえぐ世界で新たな発電方式、それは犬の命を犠牲にする「犬力発電」だった……。そんな“非犬道的”なやり方を変えるべく、犬を愛する人々が立ち向かう!
ノノトト(@nono_toto_ki3)さんの創作漫画「犬の塔」は、WEB漫画賞「クニエ漫画グランプリ2022」でSNS読者賞を受賞した作品だ。

昨年、友人2人で「ノノトト」名義での漫画制作をはじめ、30ページ超えの作品は初挑戦ながらも受賞に輝いたノノトトさん。同作の舞台裏や、2人で行う創作活動について話を訊いた。

■発電から犬を救い出せ!ユニークな世界観で王道描く読み切り短編
コンサルティングファームの株式会社クニエが主催するクニエ漫画グランプリ2022では、同社の企業理念を象徴する「貢献」「熱意」「誠意」「志」「共感」「仲間」の6つのテーマで「続きが読みたくなる画像4枚」を募集。同作は「貢献」をテーマにノミネートされ、6作品中もっともSNSでリツイートされるなど読者の支持を集めた。

同作の舞台は、深刻なエネルギー問題に直面した近未来。犬の心臓部から抽出される物質が新たなエネルギーに活用できることが判明したその世界では、犬の命と引き換えに電力を供給する「発電塔」がすでに実用化されていた。

そんな現状を変えるべく立ち上がったのが“ワンちゃん大好き倶楽部”。隊長と隊員の少女は、塔の攻略中、資料室で一枚の写真を発見する。そこに写っていたのは、犬力発電の生みの親で、大の犬嫌いとして知られる綱吉博士。だが、写真の中の綱吉博士は一頭の犬を抱きかかえ笑顔を見せていた。

犬嫌いとは矛盾する写真と、塔で救出した犬の一頭が写真の中の子犬に似ていることに気付き不思議に思う二人。そして隊長はその犬を連れ、博士の元を訪ねることを選ぶ。

研究所で対面した博士は犬の命など眼中にないというような素振りを見せるが、塔から連れてきた犬と対面すると「…シロ助?」とその名前をつぶやき――、という物語だ。

■漫画初心者の2人で描いた30ページ超え、得られたものは?
「犬力発電」という独創的なアイデアから、読み手の心を掴む王道のアクションや展開が絡み合った本作。全編を通してしっかりと構成されたストーリーとともに、作中で描かれる犬が端々で見せる愛らしさも魅力だ。

原作は交互で担当し、2人で作画を行うスタイルで漫画制作に取り組んでいるノノトトさん。ウォーカープラスでは受賞への思いや、作品制作について話をうかがった。

――SNS読者賞の受賞おめでとうございます。まずは受賞のご感想をお聞かせください。
 
「SNS読者賞ということで、たくさんの方に投票していただけたことがとてもありがたいです。これまで自分で描いたものを誰かに見てもらう機会も少なかったので、多くの人の目に触れることがあったということだけでも大変嬉しい気持ちです」

――今回のグランプリに応募しようとしたのはどんなきっかけからでしたか?

「イラスト投稿サイトに今作の前身となる漫画を投稿していたところ、こちらのグランプリを紹介していただく機会があり、応募することにしました」

――「画像4枚」での審査ということで工夫した、チャレンジした点を教えてください。

「グランプリのタイトルにあった“5秒で面白い”という言葉に着目しました。既に投稿されている作品を見られたのも私にとっては勉強になり、文字数は抑えた方がよさそうだという意識で切り取る箇所を選びました」

――「犬力発電」というアイデアが独創的な本作です。どんなところから生まれたのでしょうか?

「犬が発電の燃料にされているという光景を夢にみたのがきっかけです。夢の中で出てくるものは意識的に組み立てたアイデアよりユニークになりますが、実際に作品にする過程では苦労するような気がしました。このアイデアが先にあり、合いそうなテーマをよく考えて貢献というテーマを選びました」

――本作でこだわった点や、特に力を入れたシーンを教えてください。

「私は漫画歴が浅いので、作品ごとに練習テーマのようなものをなんとなく設定しており、今回それは“動物”でした。なので、犬のシロ助の作画はどのコマも資料をたくさん見てこだわって仕上げたつもりです」

――お2人で制作されているノノトトさんですが、編集者の指導の中で印象に残っていることはありますか?

「2人とも漫画初心者ですので、2人の中で意見交換はするものの、今回編集者の方からいただいたアドバイスはどれも目からうろこでした。特に口調などを工夫するだけでもキャラクターに色をつけられるということ、大変勉強になりました」

――最後に、漫画制作についてこれからの抱負を教えてください。

「今回で初めて30ページ超えの作品を制作してみて、審査員の方々からいただいたコメントにもあるような課題を沢山見つけることができました。これからは中・長編の作品に沢山チャレンジして、もっと魅力的なキャラクターや物語を作れるよう精進いたします」

取材協力:ノノトト / クニエ

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