中島裕翔「俺、死んだなと思いました」窮地に陥る主人公を演じた最新作と人生の大ピンチを語る

  • 2023年2月10日
  • Walkerplus

「Hey! Say! JUMP」の中島裕翔が6年ぶりに映画主演を務め、マンホールから脱出しようとする男の苦闘を描く『#マンホール』が2023年2月10日(金)に公開。

不動産会社でトップの営業成績を誇る川村俊介(中島裕翔)は、社長令嬢との結婚式の翌日に控えたパーティーの帰り道で、酔っぱらってマンホールに転落してしまう。限られた⼿元のアイテムを駆使して、何とか⽳から這い上がろうと奮闘する川村は、⼈⽣を賭けた脱出に挑む。

本作は『マスカレード・ホテル』シリーズの岡田道尚による原案・脚本の完全オリジナルストーリー。『海炭市叙景』、『私の男』などで海外からも高評価を得る監督・熊切和嘉とタッグを組み、日本発のシチュエーションスリラーとなっている。スリリングな展開から最後まで目が離せない本作で、主人公の川村俊介を演じた中島裕翔に作品の見どころや撮影の感想を聞いた。

■やっぱり映画って贅沢!
――脚本を読んだ感想を教えてください。

【中島裕翔】どうやって映像にするんだろうというのが率直な感想でした。「マンホールでワンシチュエーション⁉……狭いじゃん!」と(笑)。でも、僕は普段からこういったワンシチュエーションもののスリラーが好きなので、自分が主演できることはとてもうれしかったです。

――6年ぶりの映画主演となりましたが、いかがでしたか?

【中島裕翔】やっぱり映画って贅沢だなぁって。1カットにすごく時間をかけて丁寧に撮ってくれるので、その中心にいられるのは本当にありがたいことだと思いました。

――ワンシチュエーションもののスリラーだと、どういったものをご覧になるんでしょうか?

【中島裕翔】一番好きなのは『THE GUILTY/ギルティ』です。電話のやりとりでストーリーが展開していくところなど、本作にもリンクする部分があるかもしれませんね。

■主人公のようなシチュエーションに陥ったら「顔出しで配信しちゃいますよ!」
――もし、中島さんが主人公の川村俊介のようなシチュエーションに陥ったら、まずどういうアクションをとりますか?

【中島裕翔】僕だったら普通に警察に電話します(笑)。主人公の川村は警察に電話せず、元カノの舞(奈緒)に助けを求めましたが、僕はHey! Say! JUMPのグループメールで助けを求めるかな。でも、夜中に助けに駆けつけてくれるような人はいないかも(笑)。みんな仕事終わったらすぐ寝ちゃうから(笑)。しいて言うなら、山田(涼介)さんだったら深夜までゲームしてる可能性があるから、電話するなら山田さんにします。

ただ、配信中だったら電話も出てくれないだろうし、やっぱり僕も川村と同じようにSNSで発信しちゃうかも!その場合は、きっと僕のファンが駆けつけてくれると思いますよ。僕の命がかかってますからね(笑)。もう、顔出しで配信しちゃいますよ!僕はファンのみんなを信じています!でも、これはジャニーズ特権になるからちょっとずるいかな(笑)。

■“すごく気持ち悪くて恐ろしい泡”の正体
――マンホールセットでの撮影はいかがでしたか?

【中島裕翔】初めてセットを見た時は「うわ、本当にマンホールがある!」って興奮したんです。でも、撮影は想像以上に過酷でした。マンホールに実際に入ると、本当に嫌な気持ちになるんです。「汚いな~いやだな~」って!見た目以上に狭くて、身動きが取れないんです。あんなところにひとりでいるのは本当に恐ろしいですね。

撮影は順撮りでやっていたので、川村が追い込まれる雰囲気や焦り、怒り、そういう負の感情はリンクしやすかったです。だから、実際に僕自身がマンホールに落とされて、その中で翻弄されていくような感覚で撮影できました。その分、雨に濡れたら濡れっぱなしで撮影するので、特に寒さがつらかったですね。スーツの下にウェットスーツを着て撮影していたのですが、それでも本当に寒かった!あとは狭さにも苦しめられました。体が動かせないので、撮影のあとは体がバキバキに固まっちゃうんです。

中でも、一番大変だったのは泡に埋もれそうになるシーンの撮影かな。大量の洗剤で泡立てているんですが、色はコーヒーで泥っぽくしてるんですよ。そのコーヒーの量も尋常じゃなくて。あれでもう、一生分のコーヒーを浴びました(笑)。洗剤とコーヒーが混ざったにおいが、また強烈なんです。さらに、汚れを表現するため、青のりやかつお節も混ざってるんですよ。すごく気持ち悪くて恐ろしい泡なんです。スタッフさんがディテールにこだわって作りこんでくれているので、川村が苦しめられている臨場感を映像から感じてもらえると思いますよ。

――本当に大変な撮影だったんですね。

【中島裕翔】でも、人間どんなに過酷な環境に置かれても、だんだん慣れてくるんです(笑)。ずっとマンホールの中にいると、あの暗くて狭い空間が心地よくなってきちゃって。「ずっとここにいたいな~」みたいな気持ちになってきたので、それはダメだと思って、なるべく慣れないように「絶対にここから抜け出してやる!」という強い気持ちを保つように心がけていました。川村がマンホールから出る=僕の撮影が終わるってことなんで、「撮影を終わらせてやる!」という強い気持ちを保つように心がけていました。

■これまで自分が見たことない表情をしているなと思った
――川村の人間性が露呈していく過程も本作の見どころのひとつですね。

【中島裕翔】川村はいわゆるハイスペックな男で、仕事ができるし女性にもモテる、結婚式を翌日に控えた幸せの絶頂にいました。そこからマンホールに落とされるわけです。そんな中で、だんだん川村という人間の恐ろしさが見えてくる。恐怖のどん底の中だからこそ、人間としての本性が出てきてしまうんですよね。川村が人生のピークからどん底に落ちていく描き方はとても大事なところだと思ったので、監督ともよく話し合いました。

――監督からはどんなリクエストがあったのでしょうか?

【中島裕翔】「もっといやらしく」とか「ねちっこい表情を作って」とか「DVする時の顔」とか言われたかな(笑)。とにかくネガティブな感情ですよね。試写を見た時も、これまで自分が見たことない表情をしているなと思いました。あまり、表情だけをとらえて演じることはないので、川村という人物像が作り出した表情だったと思います。映像を見ても、自分が映っている気がしませんでした。だから、痛いシーンも結構あるんですが、割と他人ごとで。「すごいなぁ、痛そうだなぁ」って客観的に見ていました(笑)。

――川村の役作りはどのようにして行ったのでしょうか?

【中島裕翔】これまで自分が経験した嫌な感情を思い出す作業でしたから、精神的にはつらい部分が多かったです。ネガティブな感情を保ち続けることが最も大変でした。撮影が佳境に入るにつれ、実生活とのギャップが出てくるので、川村の追い込まれたマイナスの感情を現場で維持できるように、実生活でも気を付けていました。

――精神的にも肉体的にもつらい撮影だったんですね。

【中島裕翔】その分、この狭いマンホールという空間の中でどれだけ自分を変えられるかという新たな挑戦ができました。もともとそういうストーリーなんですが、脚本に描かれている以上の体験ができたと思っています。ただ、相当疲れたのは間違いないです(笑)。

自分がいろいろなスリラー作品を見てきて、サイコパスな役を演じられている役者さんを見ると「かっこいいな、いつか自分もやってみたいな」と思っていたんですが、実際にやってみると本当に疲れる。本作で共演した永山絢斗くんもそう言っていました(笑)。ただ、やってみたかったことが実現できたので、ありがたい経験でした。スタッフさんのご協力もあり、素晴らしい作品に恵まれ、自分自身の役者としての幅を広げることができたと思います。

■コンサートのリハーサル中に起こった、九死に一生の体験
――中島さんのこれまでの人生において、川村が体験したような大ピンチはありましたか?

【中島裕翔】さすがにあそこまでのことはないけど、一度コンサートのリハーサル中に、トロッコから客席に落ちちゃったことがあって。ポーンと体が浮いて客席にダイブしたので、その瞬間は「あ、俺、死んだな」と思いました。幸い、今も生きておりますが(笑)。

――では最後に、この映画の見どころをひと言で表すと?

【中島裕翔】クレイジー(笑)。やってる僕も狂っていかなきゃいけないし、スタッフさんたちも尋常じゃない集中力で作りこんでくれました。監督をはじめ、美術さん、照明さん、みんなが団結して、マンホールという限られたシチュエーションの中でどれだけ飽きさせずに観客を盛り上げられるかを追求した結果、僕自身が本当にマンホールの中で翻弄され続けた3週間でした。皆さんもこの作品を通して、川村のアップダウンする感情の起伏を、自分がマンホールに落ちた気持ちになって追体験してもらいたいです。

取材・文=NI+KITA

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