
「お前の命をもらいに来た」。突然現れ、そう宣告した死神の女の子。「好きな女の子が出来たから」という命乞いをされ相手を問い詰めるが、それが自分のことだと知ると赤面し……。死神との甘々なやり取りが描かれるラブコメ漫画シリーズに、Twitter上で1万3000いいねとともに「尊い」「キュン死にする」と反響が集まっている。
話題を呼んだのは、漫画家のなるあすく(@naruasuku)さんがTwitterに投稿した創作漫画「死神の女の子と恋仲になるまでの話」シリーズ。続編となる「死神の女の子と同棲してみた話」とともに無料のKindle電子書籍としても公開されており、こちらでも多くの評価を集めている。本シリーズのあらすじとともに、作者のなるあすくさんにシリーズが生まれた舞台裏を取材した。
■死神モードも2コマで即落ち?思わず顔がにやける恋愛連作
大鎌を携え、主人公の前に現れた死神の女の子「死神子」。主人公は「なんでもするから助けて欲しい」と、生死の瀬戸際での命のやり取りが描かれる……、と思いきや、死神子が一度食べたかったお菓子をあげたところ「よ~しお前延命でいいや~♪」とご機嫌に。
意外にあっけなく死の危険を回避できた主人公だったが、それでも死神は死神。後日、今日こそは命を奪うと再びやってきた彼女に、今度は「好きな女の子が出来た」という理由で命乞いをする。
「誰だそりゃ?」と訊ねる死神子だが、その意中の相手が自分だと告げられると、思わず鎌を落とすほどてきめんにうろたえてしまう。それでも「助かりたいからって適当なこと言いやがって…」と死神の顔を取り戻したが、主人公は彼女の外見を皮切りに、「仕事が終わるまで待っていてくれてるところに気遣いを感じる」「道路歩いているときに『車がくるから気をつけろ』って言ってくれて優しいと思った」と、内面もべた褒め。
命を取りにやってきたはずの死神子が、なし崩しに主人公と距離を縮めていくことになっていくカラーイラストの連作漫画だ。
■商業企画のボツキャラが自主制作で多くの祝福「感謝しかありません」
死神らしく振る舞おうとしながらもすぐ赤面して照れてしまう死神子のギャップと、くすぐったくなるほどの恋の馴れ初めに頬が緩む同シリーズ。
作者のなるあすくさんは、『武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。』(GANMA!)をはじめ、プロの漫画家として活躍するかたわら、本シリーズや『不破さんと地味野くん』など自主制作作品もSNS上や電子書籍として精力的に発表している。そんな制作の裏側をインタビューした。
――「死神の女の子と恋仲になるまでの話」シリーズを描き始めたきっかけを教えてください。
「死神子は、元々は商業連載用のキャラクターでした。ただ企画が通らずボツになってしまったのでTwitterに載せる作品として楽しんでいただこうとかと思い、描かせていただきました」
――死神なのにすぐ照れて顔が赤くなる彼女のキャラクターがとにかくかわいいです。キャラクター作りで意識されたポイントは?
「まさに『死神なのに…』というところのギャップでしょうか?命を狙いにきたはずなのに好きといわれて照れてしまったり、何気に人柄や性格がよかったら面白そうかな?と思い描かせていただきました」
――本作を描く上でこだわったところや、他の作品とは異なるアプローチをした点があれば教えてください。
「更新頻度と見やすさとわかりやすさを押し出すために、あえて1ページ漫画のようにさせていただいております。また感情によって同じ背景なのに色を変えたりすることで暗い感じから明るい演出にするなどもこだわってみました」
――無料電子書籍の第2巻では、まさに大団円というハッピーエンドが描かれています。当初から構想はあったのでしょうか?
「まったくありませんでした(笑)。なんなら数回で終わるぐらいのつもりでした。ですが、描くたびに続きを思いついてしまい、現時点(2023年1月)でも今回で終わらせるつもりだったのに続きを思いつくところなどもあって……迷ってます(笑)」
――本シリーズは読者から多くの反響を集めています。作者としての思いや、特に印象的なユーザーのコメントなどあれば教えてください。
「商業企画として通らなかったキャラがこんなにも嬉しい反響をいただけたこと、本当に感謝しかありません。印象的なユーザーさんのコメントとしては、死神子ちゃんの後ろ髪が出る“穴あきフード”が気になるという人がとても多いことでした(笑)。
ツッコミはあるだろうと思いつつ、後半はそれさえ忘れてキャラクター二人の幸せを多くの方がお祝いしてくれたことは作者としてもとても感激いたしました」
――商業作品だけでなく、本作のように個人制作でもご活躍されています。今後の漫画制作の展望や、告知事項などありましたらお願いいたします。
「現在は『不破さんと地味野くん』、新シリーズの『クールな先輩(仮名)』なども含めて多くの方に楽しんでいただけて本当に嬉しく思います。これからも多くの作品を発表して楽しんで頂けたらと思いますので、よかったらTwitterアカウントをフォローなどいただけたら大変嬉しいです。もしかしたら『死神の女の子』シリーズも続く可能性もあるので……(笑)」
取材協力:なるあすく(@naruasuku)