SNSでメンタルや生きづらさを題材にしたイラストと言葉を発信しているなおにゃんさん(@naonyan_naonyan)。うつ病と適応障害で会社を休職した経験があり、当時は「うつになって恥ずかしい。逃げるようで情けない」と感じていたものの、今では「休職して本当に良かった」と心から思っているそう。
コミックエッセイ「うつ逃げ~うつになったので全力で逃げてみた話~」は、そんななおにゃんさんの実体験をベースに描いた作品。病気から、会社から、果ては日本からも全力で逃げた1年間を、お届けする。
今回は、うつ病で休職する際に人事部長から言われた「休職中は旅行とか行ったらどうかな?気晴らしになると思うよ」との言葉を思い出したなおにゃんさん。「どこか遠くに行きたい」との思いは日に日に強まり、ついに一大決心をする。
■3泊5日のベトナム旅は、ガイドブックに掲載されている日常用語だけでどうにかなる
仕事を休んでいる現実に後ろめたさを感じていたが、「休職中に自分を変えたい」「いっそのこと海外行こうかな」との気持ちが芽生え、旅行会社を訪れる。そこで「ベトナム」を紹介され、思い切って行ってみることを決意。旅行先をベトナムに決めた理由は、どういった点だろう。
「自分でも不思議なのですが多分、パンフレットに掲載されていた水牛とかメコン川とかの、のんびりした風景に惹かれたんだと思います。ココナッツジュースなどの食べ物も、美味しそうだなぁと思いました!」
初めてのベトナム旅行は、3泊5日。「もっと滞在したかったのですが、そこまで度胸もないし、金銭的に余裕もなかったので…笑」と、当時を振り返る。
英語があまりにも苦手すぎて、海外旅行にハードルを感じてしまう筆者。なおにゃんさんに英語が得意だから即決できたのか聞くと、「得意ではないです」と驚きの答えが返ってきた。今なら翻訳アプリで何とかなりそうだが、なおにゃんさんが旅行したのは2012年頃だという。ベトナムでの言葉の壁について、聞いてみた。
「観光ガイドブックに載っている日常用のベトナム語だけで、OKでした。英語は得意ではないものの、なんとなく通じます。あと、ベトナムの人ってすごく優しくて、困っていたら向こうから声をかけてくれるんです。それでどうにか過ごせた部分も大きいですね」
ちなみに現地へは、「メモ用紙」を持って行ったという。
「ベトナムの言葉をメモに書き、それを見せながら買い物していました。あとは、一般的な旅行グッズを持っていったように思います。足りないものはお土産も兼ねて、現地で購入することも。あまりの暑さで長い髪が邪魔になり、向こうのお土産店で買ったヘアゴムは、今でも愛用しています(笑)」
ベトナム行きを即決したものの、家族には海外へ行くことを告げなかったそう。
「実は、家族には話してないんです。休職したことも黙っていたくらいですから(笑)。そういえば、未だに話してないかも…。でも友人には、1人か2人に話したような気がします」
ベトナムに到着後「思い付きで来ちゃったけど大丈夫かな」と、少し不安も感じたなおにゃんさん。しかし、見たことないネオンの看板や多くのバイクが走る道路を眺める内に、いつの間にか不安は期待と興奮に変化したそう。これから彼女に異国の地で、どのようなことが待ち構えているのだろう。今後の展開を楽しみにしたい。
取材・文=石川知京