
コミックエッセイ「自閉症育児奮闘記~今できること」は、シングルマザーのまるさん(@shishishishimr)と、発達障がいと診断された幼い息子・リュウくんの日常を描いた作品だ。ただでさえ大変な初めての育児に加え、息子の成長への不安や戸惑い、悩みが描かれ共感を呼んでいる。また、そんな親の苦しみをよそに、ゆっくりと確かに成長していく息子の姿も微笑ましい。今回は「リュウくんが初めてしゃべった」物語だ。
保育園のお迎えからの帰り、車の中はまるさんとリュウ君の2人。バス停の前を通りかかる時にまるさんが「ほらバスいるねー」といつもの声かけを行った。するとリュウくんは…。
ついに、初めて出た単語「パフ(=バス)」にまるさん大感激!2歳11カ月のことだった。さらにまるさんは「たくさん話しかけることが大事」というアドバイスに従って、いろいろな言葉を投げかけてみることにした。でも、なかなか「パフ」の次の言葉が出てこない。
さらに半年後、やっと念願の「ママ」という言葉をもらえた。やがて、大好きな電車の前でリュウくんがついに…。
まさかの2語文を話すまでに!リュウくんの確かな成長ぶりに心を揺さぶられる。
■初めて聞いた時は驚いて泣き叫び、家に帰ってから抱きしめた
初めての発語が描かれているが、最初聞いた時の驚きはやはり大きかったという。「すごくびっくりして、泣きながら叫んでしまいました。ちょうど車の運転中だったので、まずは興奮を抑えながら運転して、家に帰ってから抱きしめて喜びました」
マンガで描かれている以外にも、発語を促している。「よく単語を強調して話しかけていました。『電車来たね、電車。でーんーしゃ』のように。まずは物の名前からだなと思ったので、(リュウくんが)好きなものから言い聞かせていました。今もやっています」
最初の発語から2語文が出るまでは約半年。その後は増えたのだろうか。「ほかの2語文がすぐに出てくる様子はありませんでした。私もあまり気にせず過ごすことにしたので、たまに気が付いたら『デンシャー、キタゾー』などとしゃべっているのを耳にして、『おっ、増えてる!』とびっくりします。今はまだまだ単語のみが多いですね」。リュウくんの成長ぶりがこれからも楽しみだ。
取材・文=折笠隆