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【漫画】話したいのに人前ではなぜか声が出ない…場面緘黙の女の子の成長に共感

  • 2022年3月2日
  • Walkerplus

学校でうまく話すことができない娘さんの様子を描いた漫画「場面緘黙症 次女ちゃん」。作者であるまりまりさん(@marimari_ot)は、娘さんの学校での様子を描くことを通じて、場面緘黙(かんもく)の実態やそれを支える周囲の人々について伝えている。

■話せないのは性格じゃない。したくてもできないことを伝えたい
場面緘黙の特徴は、家庭では話すことができるのに、学校など特定の社会的な場所や状況では話せなくなること。まりまりさんは、Instagramで次女ちゃんに関する漫画を「保育園時代」「診断まで」などと題してアップしている。「次女が場面緘黙だと分かった時に、当事者の方の声は見つかったけど、親など支援者の声はほとんど見つかりませんでした。だから『誰かに見つかるといいな~』と、ネットの海に手紙入りの小瓶を流すような気持ちで描き始めました」

作中では、「次女ちゃん」として描かれている娘さん。「不安が強い一面はあるけれど、好奇心旺盛で頑張り屋のよく笑う子。周りをよく見て人を気遣う優しい子です」とまりまりさんは話す。

最初は単話でアップしていた漫画は、保育園時代ごろから話数が付いたシリーズに。「場面緘黙についてあまりに知られていない現状があって、『こういう子もいるんだよ~』と我が家のケースから知ってもらいたかったことが大きな理由です。さらに、次女の場合は、話さないながらもなんとか学校には通えて勉強もできていたので、問題を矮小化されやすく、なかなか支援につながりませんでした。そこで、そういうことを時系列で描いていけば分かりやすいのかな?と思ってシリーズ化しました」

読者からの反応に励まされることも多いという。「私の周りには場面緘黙の子がいないので、『我が家も場面緘黙の子が…』というお話があると、いつも勝手に助けられています。また、次女のように不安を強く感じている方が結構いるということがわかりました。次女の気持ちは本人も上手く言葉にできないし、私は推測するしかありません。それをみなさんが的確に言語化してくださるので、『なるほど!そういう感じ!』と驚くことが多く、参考にさせていただいています」

場面緘黙については、字のとおり、場所によっては話せなくなってしまう病気があるという程度の理解だったという、まりまりさん。「なぜかわからないけど学校で話せない」と自覚もあった次女ちゃんの症状を見て、自分で調べることで理解を深めていったという。「次女自身、本当はみんなと話したり遊んだりしたいのに、『一人が好きな子』として扱われてしまうので、診断名が付いたことで、今後支援が受けやすくなるかもという期待がありました」

■場面緘黙だとわかったことで、いろいろ挑戦する機会ができた
診断後は、次女ちゃんへの周りの接し方に変化があったそう。「先生には、『一人が好きだから』と放っておかれるのではなくて、『本当はいろいろやってみたい、人と関わりたい』ということがわかってもらえて、挑戦する機会を与えてもらえるようになりました。また、私自身は、次女の不安への対応が変わりました。それまでは『怖がりで甘えん坊過ぎる』とイライラすることも多かったんですが、『ほかの子より不安が強いんだ』と理由が明確になって、具体的な対処法を考えたり少しだけ冷静に対応できるようになった気がします」

もう一人の娘さんである、長女ちゃんも漫画に登場。次女ちゃんが話せないことに対して、「ダメじゃないよ」と長女ちゃんが声かけをする姿も印象的だ。「長女は、次女とはびっくりするほど正反対の性格。目立ちたがりで、人の前に立つことが何の苦もなくできる子です。口は悪いですが、ポジティブ思考で、周りも前向きにできるような子です」

場面緘黙と気付く前、小学1年生の次女ちゃんは父親の都合で家族でドイツに。話せなくなることに悩みつつも、日本人学校の担任の先生やスクールカウンセラーに支えられて学校生活を送る様子が描かれている。

帰国後の2年生時には先生にも頼れず、持ち物がなくなったりといった出来事もあり自信をなくしてしまうが、3年生のクラスでは、担任の先生の支援もあり、再び学校を少しずつ楽しめるように。「担任の先生が、交換日記のようなものを使って、次女自身の考えや感じ方を知ろうとしてくれたことがとてもうれしかったです」

まりまりさんが特に印象に残っているのは、3年生後半の出来事だという。「学校でのボランティアに自主的に参加したころです。ゆっくり成長している次女の大きな変化が見えた時期だったので、とてもうれしい気持ちになりました」

今後の次女ちゃんについては、「必要な支援は受けながら、自分でできる力を付けていってほしいので、必要な時に背中を押せるような接し方をしていきたい。次女には、好奇心やいいところを発揮できるように過ごしていってもらいたいと思っています」と語る。

現在、次女ちゃんは小学4年生。次女ちゃんと場面緘黙の話は継続して描いていく予定だという。また、「今後は、長女と次女の関係についても書いてみたいです」と話してくれた。

取材・文=上田芽依(エフィール)

※漫画内では場面緘黙、場面緘黙症という言葉が混在していましたが、世界保健機関の疾病分類「ICD-11」に準じ、最近アップされた分では「場面緘黙」の表記で統一しています。

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