
ある日突然「発達障害グレーゾーン」の“特性”があると言われたら?「甘え」「怠慢」と疎まれる“生きづらさ”を描いた漫画をSNSで発表している漫画家・クロミツさん(@kuromitsu1510)。社会的にもメンタル的にも常にギリギリを感じて生きるクロミツさんは、些細なことを考え過ぎたり、過去の失敗を引きずったりする自分の特性が『HSP(感受性が強く敏感な気質もった人)』ではないかと、最近になって疑問を持つようになったという。「発達障害グレーゾーン」と「HSP」の“併発”で疲弊するクロミツさんが、SNS漫画で読者に伝えいたいこととは――。
■HSP体質でもっともツラいのが「叱責」に対する恐怖心
――発達障害グレーゾーンの他に、自分に“別の特性”があると思った理由は?
「些細なことを考え過ぎたり、過去の失敗を引きずったりすることがあって、これは自分の性格の問題だと思っていました。SNSを見ていると、自分と同じような悩みを抱えている人はたくさんいて、そのなかから『HSP(感受性が強く敏感な気質もった人)』という言葉を知り、これは正に自分だと思いました。ただ、物事への理解に時間がかかる『発達障害グレーゾーン』と『HSP』は特徴が似ているので、“併発”という表現が正しいかどうかは今でもわかりません」
――クロミツさんにとって、HSPの原因は何だとお考えですか?
「『HSP』の特徴の中で、自分にもっとも当てはまったのが“叱責に対して過剰に萎縮する(叱責萎縮)”という項目です。何かやらかして怒られたりしないか不安になったり、自分だけではなく、他人が叱られている場面も自分のことのように苦しくなります。周りからは“自分の性格の問題”と片付けられやすいのですが、決してそれだけではないような気がします」
――「発達障害グレーゾーン」と「叱責萎縮」が併発する難しさ、苦しさは?
「情報や話の内容の理解に時間がかかるので、人の話を聞いていないと思われやすいのがツラいです。人によってはキツく叱ってくる人もいるので、そういう場面になると頭が真っ白になります」
――仕事で怒られるシチュエーションはどんなものが多かったのでしょうか。
「主にケアレスミスが起きることです。ほかには、仕事で必要な道具を突然失くしてしまったこともありました」
――漫画を読むと、「叱ってくれる人はお前のことを思っているのだから感謝しろ」と言われることもあったそうですね。
「理屈はわかりますが、どうしても“感謝より恐怖が勝ってしまい”、反省しているように見てもらえないのが苦しかったです。こういう自分をダメだと責めることも少なくありません」
■生きづらさに絶望するのはイヤ。“対策案”や“改善案”を一緒に考えたい
――漫画を読んだ方の反響はどんなものがありましたか?
「Twitterに多くのコメントがあり、“叱られることへの苦手意識”を持った人はたくさんいることがわかりました」
――こうした自身の特性(HSP)とどうやって折り合いをつけているのでしょうか。
「『発達障害グレーゾーン』もそうですが、症状の改善ではなく、自分の特性を知ったうえで何ができるかを考えるようにしています」
――漫画を描くことで読者に伝えたいこととは?
「いま描いている漫画は『発達障害グレーゾーン』がメインテーマですが、『HSP』による叱責萎縮問題はどうしても描いておきたかったので、改めて描きました。生きづらさに絶望するのはイヤなので、そのなかでできる“対策案”や“改善案”を、読者の皆さんと一緒に考えていきたいです」
画像提供:クロミツ(@kuromitsu1510)