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“鼻から豆”は飛沫感染、お客さんとハグは濃厚接触。どうする、梅ちゃん!?

  • 2021年1月2日
  • Walkerplus

演劇ライター・はーこが不定期で配信するWEB連載「はーこのSTAGEプラス」Vol.83をお届け!

※この公演は新型コロナウィルス感染者数増加の状況を踏まえ、延期となりました。現在、振り替え公演日程を調整中ですので、詳細は公式HPにてご確認ください。

WAHAHA本舗の梅ちゃん(梅垣義明)、毎年お正月に大阪だけで開催している「新春シャンソンショー」、2021年のお正月もやります!新型コロナウイルスの感染拡大によってWAHAHA本舗の全体公演が中止になり、ホールでの公演は前回の新春公演から約1年ぶりだ。

ド派手な衣装にメイク、ゴージャスなかつら、ハイヒールをはいて身長2メートル超の女装の梅ちゃんが、シャンソンを歌う。マジでうまい。名曲“ろくでなし”を歌いながら、お客さんに向けて鼻に入れた豆を飛ばし、噴霧器で水を撒きながらアダモの“雪が降る”を歌って客席を渡り歩き、お客さんの顔にサランラップを巻いてキスをする。お客さんはイジられて大喜び。ちょっとヘン?いやいや、大阪なんかね、梅ちゃん以上にウケを狙うお客さんもいて、会場全体で大笑い。

だけど今は、飛沫感染に注意で濃厚接触NGのコロナ禍。梅ちゃん、どうするんやろ?と思っていたら来阪会見が。いつもギリギリまでネタを考えるので、具体的な内容はほとんど決まってないのが通例。でも、愛ある私たち関西の記者やライターは、優しく梅ちゃんを迎えるのです。梅ちゃんはいつもより殊勝な感じがあったけど、梅ちゃん節も健在でした。

■自粛中はどう過ごしていた?
「僕はもともと外に出るタイプじゃないので、家にいました。えっと、初めて味噌汁作った(笑)。今まで料理とかまったくしなかったんですけど、味噌汁どうやって作るんだと思って、教えてもらって。で、味噌汁だけはいろんなパターンができるようになりました(笑)」

■コロナ禍での実験公演
東京で8月、小さな空間で3日だけ15人の限定公演を開催。「感染防止対策を確実にやった上でネタを再構築しよう」と舞台前面をビニールシートで覆って上演した。その時のネタは「ライブで水はよく使うんですが、今回はお客さんに水をかけることはできないから、自分でかぶってました。噴霧器の水を自分で浴びながら“雪が降る”を歌う、みたいな。龍角散を仕込んだ白いストールをまとって“ル・バル~そして今は~”を歌いながら客席に入ったりしていたんですが、今回は自分がまっ白けになりながら歌いました。これまで自分がお客さんにやって来たことを、全部自分が浴びて。なんかバチが当たった気がする(笑)」

■改めて考えたこと
「客席に行けないことがほんとにストレスでした。お客さんはマスクしてるから表情が見えない、シートがあるから拍手は小さいし、笑い声も聞こえないからウケてるのかどうかがわからない。不安な気持ちになりました」

梅ちゃんのライブは、お客さんとのコミュニケーションが肝。「今までお客さんの拍手や手拍子、笑い声とか歓声、そういうものにいかに力をもらって助けられてきたのか改めて感じますね。僕ら舞台に立っている人間がいかにお客さんからエネルギーをもらっているか、再確認できました」。

■梅ちゃんは配信が苦手
「配信、苦手なんですよ。だって伝わらないもん。そんなもんじゃないよ、ライブって。配信しなきゃいけない現実もあるけど、やっぱり生でやることの楽しさがある。僕もお客さんを楽しませようとするし、お客さんも僕を乗せようとする。そんなエネルギーの交換がライブだと思うから。60過ぎてヒールで劇場走り回って『体力ありますね』って言われるんだけど、アスリートの体力と違って、僕ら、お客さんの声援や拍手で走らされてるんですよね。それが、さっき言ったお客さんからエネルギーをもらうってこと。ほんとにそう思う」

■WAHAHAもソロも大切
「もちろん、そうです。どっちもやっててバランスが取れてるというか。自分のソロライブがWAHAHAに負けたくないっていうか。いい意味で、オレの方がおもしろいぞっていうような気持ちでやらないとね。でも、僕ら60過ぎたジジイババアばっかりだし、来てるお客さんも同じように年取ってるし。こういうジジイババアの集団を若い人にも観てほしいし、ソロライブも僕のことを全然知らない若い人に観てほしい。豆を飛ばすだけが仕事じゃないんで、ライブをトータルで観てほしいと、ほんとに思います」

■大阪公演に向けて
梅ちゃんの「青い部屋」シリーズなどからネタを選び、ベスト版を上演してきたのが大阪だけの「新春シャンソンショー」。

「僕は大阪のお客さんに育てられたと思っている部分もあるので、逆に大阪でやれることはすごくうれしいですね。他の町とは違う感じがして、やりがいがあるというか。それで昔、失敗したこともあるんですけどね(苦笑)。今回久しぶりだから、逆に何ができるだろうって。ベスト版を長年やってきたおかげでネタの数には自信があるし、いろんな条件の中で考えてアイデアが出てくるもんだから、今回はいいきっかけになると思います」

■今回のネタのこと
「お客さんもある程度覚悟して来られるだろうから、もっとやってくれよっていう気持ちもわかるんですけど、そのバランスが難しいですね。今回、絶対僕は客席入っていかないし。誰でも考えそうなことをやるんじゃなくて、どこか違う裏切りプラスアルファはないといけない。飛沫感染ダメ、濃厚接触もダメ、客イジリもダメ、じゃあ何するんだっていう興味がお客さんにはあると思う。配信だとそのままできるけど、配信じゃなくて生で濃厚接触、飛沫感染なしでできるネタ。客席に降りなくてもおもしろい、ベスト版の進化系ネタを考えます。だからそれ、ちょっと時間ください(笑)」

■大阪のお客様へのメッセージ
「今回こんな時期でも来てくれるお客さん、ほんとに終わった後で1人ずつ抱きしめたいぐらいの気持ちなんです。この時期、他のライブもそうでしょうけど、こういう人たちに支えられてるんだと思う。普段のお客さんも『いつもありがとうございました』ですけども、今回来てくださるお客さんに、期待に応えられるように頑張りますから。安心して観に来てください。今までと違った進化系の舞台をご覧にいれます。来ていただけること、ほんとにありがたいです。大阪でみんなに会えるのを楽しみにしています」

■ライター・はーこより
いつも、会場でイジられないかと緊張しながら楽しむお客さんたちも多かった。急に舞台に上げられたり、急に梅ちゃんの飲む“水担当”に決められたり…。特に体が大きいオジサンは要注意だな、と思って見ていた。ま、大阪では「当てて!」オーラ発散の人もけっこういたけど(苦笑)。イジられてる人たちを見て、大笑いしながらもまるで身内のように拍手で応援する、温かな会場の空気が独特だった梅ちゃんワールド。今回は濡れたりする心配もなく、安心して(?)舞台に集中できる。果たして、今の時代に添う進化したネタとは?

コロナ禍のウツウツとした気分を吹き飛ばす、お正月の初笑い。私ら感染対策を万全に、頑張って梅ちゃんの応援に行くんやからね。関西人やし、おもろなかったら怒るで、しかし!

■STAGE チケット発売中
「梅ちゃんの新春シャンソンショー2021~客席が恋しくて、冬~」

日時:2021年1月9日(土)18:00、10日(日)14:00※公演延期
会場:松下IMPホール
演出:すずまさ
出演:梅垣義明、田中大介(pf)
料金:6800円 
問:キョードーインフォメーション 
電話:0570-200-888
HP:http://wahahahompo.co.jp/stage/koen/20201023358/index.html

取材・文=演劇ライター・はーこ

※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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