岩手県立図書館(盛岡市盛岡駅西通1)の児童書コーナーで現在、ミニ展示「本だなでまっていました!−いちねんかんいちどもかりられなかった本−」が開かれている。(盛岡経済新聞)
2024年4月から2025年3月の1年間に一度も貸し出されなかった児童書や絵本などを紹介する同展。10年ほど前に開催して以来、久しぶりに行う企画だという。「毎日本棚の整理をしていると『最近この本借りられていないな』と思うことがある」と担当職員の松田恵子さん。「面白いのにな、子どもたちに見つけてほしいな、という寂しい気持ちがたまってきて、ミニ展示として展開してみた」と話す。
今回は昨年度貸し出されなかった本の中から124冊をリストにまとめた。絵本や物語のほか、学習系の読み物、図鑑など幅広い種類の児童書が並ぶ。「借りられなかった本」というユニークな視点に興味を持ち、ミニ展示コーナーから本を借りていく子どもや、「何度も来ているのに知らなかった」という子ども、「なぜ借りられていないのか」とじっくり眺めていく大人も多いという。リストに入れているのはほんの一部で、今後貸し出しが増えれば、リストに入っていない本も追加していく予定。
貸し出しがなかった理由について松田さんは「本棚に並んでいる時は背表紙しか見えないので、タイトルから内容が分かりづらかったり、難しそうに感じたり、目立たなかったりすると手に取りにくいのかもしれない。シリーズ物も後半の巻や、前作から期間が空いて出版されたものはなかなか貸し出しにならないと感じている」と推測。リスト入りした本の中には2020年代に出版された新しい本も多い。松田さんは「新しい本は新刊図書コーナーで展開している時はよく借りられるが、分類ごとの棚に並ぶと、残念ながら見つけてもらえなくなる」と苦笑い。
今回のミニ展示には「子どもたちに本棚を巡って本との出合いを増やしてほしい」という職員らの思いも込めている。同館の児童書コーナーには検索機があり、来館する子どもたちや親子連れは検索機で目当ての本や好きなジャンルの本があるか確認し、検索結果で表示される本棚の位置を基に本を探すことが多いという。
松田さんは「検索機を使って情報を見つけるのも謎解きゲームみたいで楽しいし、目当ての本があることも素晴らしい。今度は本棚の森を歩いて、宝物を探すみたいに本を探してみてほしい。皆さんにとって宝物のような一冊との出合いがあればうれしい」と話す。
開館時間は9時~20時。5月29日まで(4月30日は休館)。