中川運河沿いのにぎわい拠点で池谷友秀さん写真展 子どもなどとの共創も

  • 2025年5月24日
  • みんなの経済新聞ネットワーク

 「OCEAN×中川運河 写真展『まちは水にねむり 声をまつ』」が5月23日、中川運河沿いのにぎわい拠点「PALET.NU(パレット・ニュー)」(名古屋市中川区広川町5)で始まった。(名駅経済新聞)

 元の廃材の形になるように展示する「OCEAN」シリーズの技法で中川運河を捉えた作品

 昨年9月にオープンした中川運河沿いにある同拠点。中川運河は「東洋一の大運河」として開削され、昭和の時代は物流の一大拠点として活躍。現在も周りに大型倉庫などが立ち並ぶ地区も残っている。

 同拠点のクリエーティブディレクターで舞踊家の浅井信好さんがプロデュースした同展。中川運河とその歴史をモチーフに、写真家の池谷友秀さんの作品の一つ「OCEAN」シリーズの技法で制作した作品を展示。地元企業や子どもも参加して作品作りを行った。池谷さんは水中で撮影する作品を多数手がけている。

 「OCEAN」シリーズは、木版の表面をいったん燃やし削った上に、撮影地の砂を練り込んだしっくいを塗って作るキャンバスに、人工物をデジタルで除去した海の風景写真を特別な印刷機で印刷して制作。木版自体の凹凸も生かした仕上がりになっている。「デジタルであえて人工物を消す工程は、『自然』とされているものも何かしら人間が介入した痕跡があり、純粋な自然に戻ることはないことを表現している」と池谷さん。凹凸は文明が自然に与える変容を表現し、デジタル画像をしっくいに転写するのは伝統とデジタル時代の融合を表現する。

 中川運河に臨む会場には池谷さんの作品のほか、事前開催したワークショップに参加した子どもたちが手がけた作品20点を展示。ワークショップでは廃材をカットした木版に中川運河から採取したヘドロや貝殻を粉砕した物を混ぜたしっくいを塗ったキャンバスに、運河沿いを巡ってスマートフォンのカメラで撮影した運河の写真を転写。印刷は近隣の近藤印刷が協力した。作品はカット前の廃材の姿になるように並べて展示する。ワークショップでは、同運河の歴史や環境などについても説明した。

 池谷さんは「子どもたちにとっては、祖父母や曽祖父母の時代に活躍した運河だが、今回作品では時空を超えた表現ができたと思う。ワークショップで学んだ運河の歴史や環境の課題など、親子で会話してくれれば」、浅井さんは「地元企業に関わってもらうことで、求める技術のイノベーションにもなる。池谷さんのOCEANシリーズの思想が土台になって、そこに関わる人のさまざまな視点が乗っかった中川運河を表現できたのでは」と話す

 開催時間は10時~17時。入場無料。6月1日まで。最終日は池谷さん、浅井さんが在廊する。

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