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「二重に整形しなさい」「太っちゃってみっともない」子どもの容姿を否定する親についてどう思いますか

  • 2023年4月30日
  • レタスクラブニュース


高校生向けの美容整形の広告が「ルッキズムを助長するのでは?」とSNSで批判されたり、子どもの整形動画が物議を醸したり。最近なにかと話題になるのが「子どもの整形」です。
美容整形クリニックのサイトを見てみると、中には年齢制限を設けているところもあるものの、小学生高学年から手術を行うというクリニックも少なくありません。

本日放送のTV番組『Mr.サンデー』でもこのテーマが取り上げられていましたが、番組内で取材を受けていた漫画家・グラハム子さんのコミックエッセイ『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』、どんな作品なのか気になった方も多いのではないでしょうか。

この作品は実際に母親の意向で整形をした経験のあるグラハム子さんが、自身の実体験にフィクションも織り交ぜて描いたものだそうです。あらすじを詳しくご紹介しましょう。

『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』あらすじ




スポーツも勉強もできる人気者でおしゃれな女の子になってほしい……そう願う母親の言いなりになって育った主人公のエリカ。母親の好みではない服はハサミで切り刻まれ、髪を伸ばしたいと言っても短く切られたりなど、母親はどんな手段を使ってでもエリカを自分の思い通りに従わせていたのでした。



小学校低学年の頃から「一重で可哀想に」「中学卒業したら整形させてあげるからね」と言っていた母親は、中学卒業の春休みに娘に初めての整形をさせます。「これで人生楽しくなるわよ! こんな娘想いな親いないわ」と母親は上機嫌。エリカも「私は恵まれている」「これで幸せになれる」と自分に言い聞かせます。



母の価値観に囚われ続けてきたエリカは、高校に入って初めてできた彼氏の外見が「ダサい」と感じ、「眼鏡ではなくコントタクトレンズにして」「美容室に行こう」と彼の外見に干渉するようになります。エリカは彼に対して良かれと思ってそうしていましたが、「別れよう」「俺にも意思があるんだよ」と言われた時に初めて、自分が母親と同じことをしていたことに気づきます。
次第に「母親から離れなければ」と思うようになったエリカは、県外の大学へ行くことにしました。

高校卒業式の翌日、再びまぶたを整形するよう母親に言われます。「整形までさせてあげる親なんてめったにいない、感謝してよね」と母親はエリカを病院へ連れていきます。


おとなしく手術台に横になるエリカでしたが、その目からは涙がこぼれます。それを見た看護師は整形手術の中止を母親に相談しますが、母親は続行するように告げるのでした。



大学へ入り親元を離れてもなかなか母親の価値観から逃れられないエリカは、帰省した時に母親から「どうしてそんなに太っちゃったの」「みっともない」となじられ、ダイエットを始めます。しかし、痩せなければという強迫観念から、過食と嘔吐を繰り返す摂食障害になってしまうのでした……。

「娘のためを思って」と娘に整形を強いる母親の心理は


この物語では、夫と離婚した母親が「片親の子と言われないように」「人に見下されないように」という気持ちから、極端なルッキズムで娘のエリカを縛る様子が描かれています。周囲からどう見られるかを気にするあまり、「女の子は可愛くないと幸せになれない」「顔も頭も良くて良い学校に行って良い職に就く、それが勝ち組なのよ」と娘に言い聞かせて育てます。この価値観を植え付けられたエリカは、母親が抱く理想と、自分のやりたいことのギャップに苦しみます。

母は「娘の将来のため」と親の愛情からエリカに整形をさせますが、エリカは母親の理想像を受け止めきれずに心のバランスを崩してしまいます。「暴力とかネグレクトとかの虐待を受けたわけじゃない」「これは親の愛なんだ、お母さんの言うことを素直に受け入れられない私が悪い」と、エリカは自分を責めながら生きていたのでした……。



この作品の著者・グラハム子さんは、整形についてどのような思いを抱いているのでしょうか。

「『親に整形させられた私が母になる』の刊行後、Twitterなどでも反響をいただきました。
この本では整形があまり良くないもののように描いてしまっていますが、私自身エリカと同じように母の意向で二重埋没法をし、それが取れた後、大人になってから自分の意思でずっとコンプレックスに思っていた顔のほくろを取りました。その時は手術後に晴れやかな気持ちになり、整形をしてよかったと心から思えました。『やらされる整形』と『自分の意志でやる整形』とでは、全く意味が違ってくると思います」

また、グラハム子さんは母親との関係を次のように語ります。

「母は私に対する愛情が全くなかったとは思いません。母は母なりの形で、私を愛してくれていたと思います。だけど私は母との距離が近いと心の健康を保てない。だから、母は離れた場所で元気でいてくれればそれでいい。もちろん感謝できるところもいっぱいあります。感謝できないところもあります。それで良いと思っています。
母との思い出はもう害あるものではなく、私を構成する一部となりました」

そう語るグラハム子さんの言葉からは、母親との関係に葛藤した過去や、母と一定の距離を置くことで得ることができた心の平穏が伝わってきます。
「親が子どもに整形させること」が子どもの気持ちに及ぼす影響について、あなたはどう考えるでしょうか。


漫画=グラハム子/『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』より
文=レタスユキ

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