帰省するたびに徐々に親の老いを実感して、「介護はまだ先だけど、離れて暮らしていて少し心配」という状況になってきました…。親に介護が必要になると、自分が仕事を辞めたり親を呼び寄せることを考えるかもしれません。しかし、自分の老後のためにも、自分の生活も親も守る策を考えましょう。
教えてくれたのは▷太田差惠子さん
介護・暮らしジャーナリスト。1993年ごろから介護の現場を取材し、「高齢者住宅」や「仕事と介護の両立」などの情報を発信。遠距離介護の情報交換の場、NPO法人パオッコの理事長も務める。介護に関する著書多数。
1.要介護になっても仕事を続けることを考える
大前提は、「大事な親でも子どもだけの介護は無理」ということ。原則、仕事は辞めずにサービスを使った介護を考えましょう。仕事を辞めると経済的に厳しくなります。自分も将来老後を迎えることを忘れないで。
2.遠距離でも介護が可能か考える
介護が必要になったら、介護保険の申請をし、地域包括支援センターなどで介護サービスの相談をします。介護サービスを利用しつつ、自宅で親が暮らせる体制を整えることが、遠距離介護における自分の役割だと考えて。
3.2 ができないときは施設介護を考える
介護サービスを利用しても自宅で過ごせなくなった場合は、高齢者施設への入居を検討しましょう。その際は、親の資産や年金の範囲で入れる施設を選ぶこと。子ども世代は自分の老後を考えると、ここでお金を使えません。
介護前にできると◎のチェック項目
病気や要介護になってからはなかなか聞きにくいこと、決めにくいことは、親が元気なうちに聞いておくと、いざというとき役立ちます。
親の経済状況の把握
介護サービスの利用や、高齢者施設への入居にはお金がかかります。適切に選ぶには、親がどのくらいお金を出せるのか知っておく必要があります。年金額と預貯金の額くらいは聞いておけると◎。
どこでどう介護されたいか確認
親自身が、どこでどんな介護を受けたいのかを聞いておきましょう。必ずしも希望どおりにはならないかもしれませんが、聞いておけば、いざというとき迷わずにすむことが増えるはずです。
公的なお金の制度を知っておく
要介護度に応じてサービスが受けられる介護保険や、一定額以上の医療費が戻ってくる高額療養費制度など、高齢期の助けになるお金の制度を知っておくと、あまり不安にならずにすみます。
【介護にかかるお金やサービスのことが分かる】
太田差惠子さんと安藤なつさん(メイプル超合金)の共著『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(小社刊)は、介護保険や離れて暮らす親をサポートする体制づくりなどについて書かれています。
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実際に親の介護が始まると、冷静でいられず視野が狭くなりがち。たくさんの介護に携わってきたプロが実感したことだからこそ、しっかり準備しておきたいものです。
イラスト/松元まり子 取材・文/生島典子
【レタスクラブ編集部】