からだの不調を感じることが多い更年期は、血糖値にも注意が必要です。更年期に血糖値が上がる原因や対策、また、血糖値以外に更年期に注意すべき点と対策についてご紹介します。
更年期に血糖値が上がる2つの原因と対策を紹介します。
更年期はホルモンバランスの変化に伴い、血糖値が上がることがあります。
女性ホルモン「エストロゲン」は、血糖値を下げる「インスリン」の効能を高める働きを持つホルモンです。そのため、更年期に入ってエストロゲンの分泌量が減ることで、血糖値が上がり糖尿病のリスクが高まります。
エストロゲンの分泌量を増やすことはできませんが、エストロゲンと似た作用を持つ大豆イソフラボンは食事から摂取できます。
大豆イソフラボンからエストロゲンと似た働きを持つ「エクオール」を生成することが期待できるため、意識的に納豆や豆腐を食べていきましょう。
年齢を重ねて代謝が低下することも、血糖値が上がる原因のひとつです。
代謝が下がると、インスリンの分泌量が減少します。さらに、加齢とともに筋肉量が減り内臓脂肪が増えることで、インスリンの効果が得られにくくなります。
そのため、散歩や軽い運動といった有酸素運動で代謝を高め、インスリンの分泌量を増やしていきましょう。
更年期には、コレステロール値の上昇にも注意が必要です。
前述した通り、エストロゲンにはインスリンの効能を高める働きがあります。その他にも、エストロゲンは悪玉(LDL)コレステロールの生成を抑制する働きも持っています。
コレステロール値の上昇を抑えるためには、動物性脂肪やトランス脂肪酸の摂りすぎに注意したり、余分なコレステロールの排出を促す食物繊維を摂取したりすることが重要です。
エストロゲンが減ることで骨密度も低下し、骨折のリスクが高まります。
エストロゲンの低下により古い骨を壊す「破骨細胞」の働きが盛んになり、新しい骨を作る「骨芽細胞」の働きが追いつかなくなって、骨量が減少します。
骨密度を高めるためには、ウォーキングやジョギングのように、重力のかかる運動をしましょう。
血糖値の上昇やコレステロール値の上昇、骨密度の低下以外にも、更年期にはさまざまな不調を感じる女性が多いといわれています。
イライラしたり、やる気がなくなったりして、日常生活に支障が出る方もいるでしょう。
更年期の不調には、漢方薬の服用もおすすめです。漢方薬は、更年期症状の原因となる、血流や自律神経、ホルモンバランスの乱れを整えることで、心身の不調の根本改善を目指すことができます。
また、更年期によく起きるイライラや落ち込みなどの精神症状、腹痛や関節痛などの身体症状、ホットフラッシュやほてりなどの血管に関する症状にもアプローチすることができます。
・加味逍遙散(かみしょうようさん):ホルモンバランスの乱れに伴う気分の落ち込みやイライラなどの精神的な症状のほか、ホットフラッシュなどののぼせにも用いられます。
・女神散(にょしんさん):からだの上半身にたまった熱を下半身へ流れやすくすることで、ホットフラッシュなどののぼせ、下半身の冷え、イライラや不安、興奮にも用いられます。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):からだの熱をさまして、精神を安定させます。
つらい更年期症状を乗り切るためには、食生活や生活習慣の見直しだけではなく、漢方薬を服用するのもおすすめです。
自分の症状に合わせて漢方薬を服用し、更年期症状を緩和させてくださいね。
〈この記事を書いた人〉
山形ゆかり●薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。症状・体質に合った漢方をスマホで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」の薬剤師としてサポートも行う。