サイト内
ウェブ

尾木ママに聞く【子どもの〈夢中〉の見つけ方】親がやるべきたった1つのことって?

  • 2023年2月9日
  • 暮らしニスタ

わが子に何かひとつでも「夢中になれるもの」を見つけて欲しい。そう思っているパパやママは多いですよね。でもそれってどうやったら見つけられるの?夢中になれるものを見つけることの意味は?そんな疑問に教育評論家の尾木ママが答えてくれました。

子どもの夢中が高まれば高まるほど、自己肯定感も高まる

実は、「夢中になれること」は、どの子も持っているはずなんです。それをどう親が発見するか、環境を作ってあげるかがとても大切だと思っています。

ポイントは、親にとって興味がないことでも、共感して寄り添ってあげること。大好きなお父さんやお母さんが、自分のしていることに興味を持ってくれて認めてくれたら、その子はもっともっと夢中になって追求していきます。

そうやって夢中になっているうちに、自己肯定感が高まっていくんです。

「忍耐力」「挑戦心」「やさしい心」が身につく

自己肯定感の高い子どもは、忍耐強く、そして挑戦する気持ちが強くなります。「できるかな?」「むずかしいかな?」と思うことも、失敗を恐れずに挑戦することができるようになるんです。

また、自分自身だけでなく他人のことも肯定し、認めることができるようになるので、他人にもやさしくしてあげられるようになるんですよ。

子どもの「好き」「夢中」に親がどれだけ共感できるかがカギ!

大人にとっては意味がなかったりムダに思えたりすることでも、子どもが熱中していることってありませんか?お子さんをよく観察してみてください。

わが家の小学校1年生のお孫ちゃんは、ある日、段ボールをゴミ置き場から拾ってきて、龍に見立てて遊んでいたことがあったんです。目や口を書いて、それはそれは楽しそうに。

ここで大人が「ゴミなんか拾ってきて!」と叱ったり、勝手に捨てたりしては絶対にダメ。「どこが目なの?」「強そうな龍だね」と、その子が夢中になっているものに共感してあげることが大切なんです。

ちなみに、小学校5年生のお孫ちゃんは、レゴブロックで「家」を作るのが大好き。それを知ってか、両親はツリーハウスがあるアウトドア施設に連れて行ってあげているみたい。もちろん本人は大喜び!夢中になって遊んでいるみたいですよ。

予定調和ではない「リアルな体験」をさせてあげて

それでも「夢中」になれるものが見つからない...という場合は、子どもと一緒に自然のある場所へ出かけてみるのがおすすめ。大自然の中じゃなくても、近所の公園や小川でもOK。あとはフルーツ狩りもいいですね。とにかく屋外に親子で出かけてみましょう。

自然の中では予想外のことがたくさん起こるでしょう?急に虫が出てきたり、思ったよりも寒かったり。そんな予定調和ではないことが起こったとき、どう対処すればいいかを子どもたち自身が考えて経験していくことで、いわゆる「地頭がいい」子になるんです。

「地頭がいい」とは、判断力にすぐれていたり、発想が豊か、コミュニケーション能力が高いといった、柔軟な思考力を持っているということ。

例えば九九を速く言えるようになるようなトレーニングは、脳の一部分は開発されるけれど、地頭までは鍛えられません。一方、自然体験では予想外の出来事に対処していくうちに、地頭が鍛えられていくんです。

コロナ禍になって、生活様式もずいぶん変わってしまったけれど、親子でできるだけ外に出て、自然の中でリアルな体験をするのも、子どもの夢中を見つける方法としておすすめです。

夢中になっているものがゲームや動画だったら...?

お子さんがゲームに夢中になっていたら、まずは親も一緒にやってみましょう。おもしろさを共有することも大切ですし、「どこを楽しいと感じているのかな?」「夢中になるポイントはどこかな?」と探ってみるといいと思います。

動画は大人の目から見たら「これはどこまで本当のこと?」と思うものもたくさんありますよね。だから、一緒に楽しむというよりは、「これって本当なのかな?」という見方で一緒に観てみるとよいのではないでしょうか。

お子さんが観ているものを決して否定はしないけど、動画と現実の正しい距離感をどう身につけてもらうか。そんなリテラシーを身につける機会にしたらいいと思います。

子どもたちに「夢中」があふれたら...平和な世界になるはず!

AIが目覚ましい進化をとげ、これからの時代は、人間にしかできないことを学ぶことがとても大事です。従来の暗記型や競争原理を中心とした一斉教育ではなく、ひとりひとりの得意なことを伸ばす個別教育の時代になっていくでしょう。

そうした時代の中で、夢中になれることを持っている子はどんな分野でものびのびと生きていけると思います。好きなことに熱中して自己肯定感が高い子どもが増えて、大人へ育っていったら、戦争や争いのない、素晴らしい世の中をつくっていってくれる!と私は期待しています。

私たち大人が、社会全体で子どもを育てられるよう「子どもの夢中」をサポートしていきたいですね。

尾木直樹●教育評論家。法政大学名誉教授、臨床教育研究所「虹」所長。中高で22年、大学で22年教壇に立つ。現在は、調査・研究、講演、情報番組のコメンテーター、バラエティ番組出演など多方面で活躍。子どもの教育問題や子育てアドバイスなど著書多数。

取材・文/佐藤真紀、暮らしニスタ編集部

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright(C) 2015 KURASHINISTA All Rights Reserved.