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最高においしくて最高にめんどくさい。コロッケの思い出【和田明日香の地味ごはん日記 vol.8】

  • 2022年2月22日
  • 暮らしニスタ

こんにちは。和田明日香です。

めんどくさい料理って、いろいろありますが、わたしの中でダントツめんどくさいのが、コロッケ。工程も、使う道具も多いし、まあまあ時間もかかるし、作った後のキッチンはいつもより激しめに汚くなるし。

でも、家で作るコロッケの、おいしいことといったら。1個80円で売れるな……自画自賛が止まりません。

先日なんだか無性に食べたくなって久しぶりに作りましたが、やっぱりおいしかったし、家族の食いつきがいつもと違いました。揚げたてをお皿に載せたそばから消えていくコロッケ。せっせと揚げていると「ママ!あと何個揚げる?!」と、残りのコロッケをめぐって争いが起こる始末。

子どもたちは「おいしい」なんて言ってくれませんが、ふがふがと夢中で食いつく顔を見て、めんどくさいけど作ってよかったわ、と、感無量でした。ママに残すコロッケを何個にするかで喧嘩が始まったのは、最高にめんどくさかったけど。

▲わたしに残されたのは2個。でも結局、1個は長男にあげました。いいんだよ、ママはその顔でおなかいっぱいだ。

なにも特別なことはしません。じゃがいもの皮をむいて、ひと口大に切って蒸して、みじん切りにした玉ねぎと豚ひき肉を炒めて下味をつけて、じゃがいもとあわせてひとまとめにして、成型して、小麦粉・卵・パン粉をつけて、揚げる。キテレツの歌のとおりですね。

しいて言うなら、下味にちょっぴり砂糖を加えるのはちょっと珍しいかもしれません。下味の塩はしっかりめに、こしょうと、ちょっぴり砂糖。まあなんというか、おまじないみたいなものですが、塩こしょうだけよりも、ほっとする味になるような気がします。

子どもの時、よく、コロッケ作りを手伝ったことを覚えています。うちの実家のコロッケはいつも味が2種類でした。プレーン味と、カレー味。じゃがいもとひき肉・玉ねぎをひとまとめにした後で、ふたつに分け、母が片方にカレー粉を混ぜていました。プレーン味はハンバーグ型に、カレー味は俵形に成型するのがきまりで。

次はどっちの味を食べようか、おはしを握って迷った瞬間のこと、実家のテーブルや食器なんかもあわせてすごく鮮明に思い出せて、わたしにも子どもの時があったんだなぁって、なんだかあったかい気持ちです。

▲母のコロッケ、子どもたちにも食べさせてあげたかったな。わたしもカレー粉入れて作ってみるかな。食べたら泣いちゃいそうで、できなかったんですけどね。

いつかの休日、我が家に子どもの友だちがたくさん集まった時、みんなで作ったのもコロッケでした。工程数が多いから、人数が多くても分担させやすいかなと思ったのと、成型の作業で個性が出ておもしろそうだなと思ったからです。

低学年の子たちには、ピーラーでじゃがいもの皮むきをお願いして、高学年の子たちには、玉ねぎのみじん切りにもチャレンジしてもらいました。やっぱり成型のときが一番盛り上がって、ハート型や星型にする子がいたり、「そんなの揚げてるうちにボロボロになっちゃうよ!」と言って頑なにまんまるコロッケを作り続ける子がいたり。

作ったコロッケは後から集まった親たちにも振る舞いましたが、親たちが子どもたちの腕前を絶賛してるのも、子どもたちが得意げな顔をしてるのも、なんだかとっても平和で、料理長(わたし)は至極しあわせでした。片付けは、ほんとうに、たいへんだったけどね。

▲この後、卵とパン粉で手をベチョベチョにしながら、子どもたちに衣までつけてもらって、選手交代。揚げるのは料理長の仕事です。

手作りコロッケ、おいしくなるために何か特別なことをしているわけでもないんだけど、めんどくささを乗り越えた達成感が詰まってるから、あんなにおいしく感じるんでしょうか。思い出す景色がどれもあったかいからでしょうか。単純に、カリカリの衣と中濃ソースが美味いのかな。

ああ、コロッケ、食べたくなってきちゃいました。今日はそんな時間ないんだけどなぁ。困ったなぁ。

♦PROFILE♦
和田明日香(わだ・あすか)
料理家。食育インストラクター。東京都出身。3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM、ドラマ出演など、幅広く活動する。2018 年、ベストマザー賞を受賞。著書に『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)『子どもは相棒 悩まない子育て』(ぴあ)『和田明日香のほったらかしレシピ・献立編』(辰巳出版)など。

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