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Vol.165 面白法人カヤックCEO、柳澤大輔氏との対話その3

  • 2015年2月19日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 さて、柳澤さんとの対話も今回が最終回です。リーダー論の次は組織論。というか、どういう組織を選ぶ/目指すべきか?という話です。

柳澤:実はカヤックは最初、合資会社でスタートしてるんです。当時は、合資会社、合名会社、有限会社、株式会社とあって、その違いは何だろう?ということをすごく考えたんですよね。今だったらLLPとかNPOも検討していると思うんですけど、それぞれちゃんとルールに基づいて、こういう形態がいい、ということがあるんですよ。LLPという形はやっぱりすごく良くできていて、一プロジェクトにみんなが集まって、基本的には利益を一切残してはいけないから成功したら分け合って終了、というものには最適な形の一つだと思うんです。で、NPOは利益を配分するという概念がなく、社会性・公共性が強いことをやろうとしたときには最適な組織形態の一つとなっています。逆に株式会社というのは、基本的には株主に対して配当を出していく(利益を配分する)ために作られたルールというか組織なんですよね。だから、やりたいことだけやって楽しくやる、ということなら株式会社にする必要はないんですよ。
北山:つまり、やりたいことに合った形を選ぶべき、ということ?
柳澤:そうそう。そこのところをあまり理解しないままで会社を作ってしまうから、問題が出てくるんです。
北山:でも、やりたいことはわかってるんだけど、やりたいことに最適な形というのはわからない、という人が多いんじゃないですか。
柳澤:というよりか、やりたいこともはっきりしないから、やりながらでないとわからないですよね(笑)。だから、僕らのケースで言えば、今思えば株式会社にしたから、そのルールに則って自分のマインドが変わっていったのかもしれないし。面白法人なんて名乗ってるから、NPOでもおかしくないですよね。実際、NPOにしてたら、全然違うメカニズムになっていたかもしれない。だから、やりたいことがあってこういうふうになったのか、あるいは株式会社にしたから、そのルールに沿って自分が変わっていったのか、そこはわからないですね。
北山:「そこはわからない」と言えてしまうということは、そういうことにはあまりこだわりはないんですね。
柳澤:こだわりということで言えば、がんばるということにこだわりがあるから、とにかくやると決めたことに対してがんばるということですよ。
北山:硬直的じゃないということですよね。でも、太い芯はちゃんとある、という感じがします。
実現ルート 柳澤:どのルートを選んでも実現できると思ってるということですかね。
北山:自分が設定した山には、どの道筋でも頂上まで行けるだろう、と。
柳澤:行けるんだろうけど、でも例えばNPOと株式会社はかなり違うメカニズムだから、そこはよく理解しないといけないし、それにゴールも重要だけれど、プロセスもものすごく重要だから。というか、プロセスが重要じゃない人もいますけど、プロセスを重要と考える人は「こっちのやり方じゃ無理」という人もいますよね。
北山:だからこそ、やりたいことに合った形を考えなきゃいけない、と。ちなみに、この連載の読者にはNPOで仕事をしている人、あるいはNPOを作ろうとしている人も結構いるみたいなんですけど、NPOという形についてはどんなふうに見ていますか。
柳澤:NPOというのは、歴史としてまだ成熟していないと思うんです。だからNPOに見合った組織論ってあまり出てきていないような気がします。でも、NPOに関してどういう組織運営がいいのか?とか、どういう採用をすればいいのか?ということを突き詰めていくと、また違った闘い方ができると思うんですよね。そういうことを考えてるNPOが出てくると、結構面白いと思いますよ。NPOって、わりと真面目なことに取り組んでいる場合が多いからか、印象でしかありませんが、組織の形態もわりと真面目になりがちなことが多いんじゃないでしょうか。ここはもっと自由にできるかもしれないと思うんですけど。
北山:今後の展望も聞かせてください。
柳澤:会社としては、“すごくパブリックな存在になって、しっかりと継続し、また成長させていく”という思いは以前よりもどんどん強くなってきてるんです。で、そこに経営者としての思いもリンクしているんですけど。具体的には、ローカリズムとか地域に根づいた企業で地域を盛り上げていくというのはどういうことなのかというのが今興味深いテーマですし、しっかり取り組んでいこうと思っています。というのも、企業規模が大きくなっていくと、結局行き着くところとして地球環境にまで責任を持つようになっていくわけです。それと同じように、地域に密着して企業活動をしていこうとすれば地域をより良くしていこうということになりますよね。そこでは行政とも連動していくことにもなっていくんだろうなと思うし。そのあたりで、どういう形がいいのかなということをいろいろ考えているところです。
北山:従来の企業がやっていたCSRなんかよりも、ボトムアップな感じになってきているということですよね。
柳澤:そうそう。だから、両方の潮流が重なっていけばといいなと思いますね。
北山:その取り組みの現場にもまたお邪魔させてください。今日は、ありがとうございました。

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