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Vol.17 きこえる・シンポジウム 2012 夏 in 浜松 その1

  • 2012年8月30日

 この夏、僕と妻のQuinka,with a Yawnとで企画した音楽とエコのイベント「きこえる・ シンポジウム 2012 夏」が浜松と東京で行われました。2007年の冬から半年に1度ずつ開催し、今回で記念すべき10回目となります。まずは7/28に、浜松のOMソーラー株式会社の本社でもある「地球のたまご」で行われたシンポジウムから報告したいと思います。(この夏のトークテーマについては連載のVol.9をご覧ください)

 地球のたまごは浜名湖畔にあり、地元の木(浜松の天竜杉)で作られたとてもゆったりした施設です。敷地内は建物のほか、「敷地全体が浜名湖の水源になる」を目標に設計された自然豊かな緑地や池があります。そこへお客さんが徐々に集まり、まずは社内の見学からスタート。OMソーラーの広報・村田昌樹さんに案内してもらいます。

きこえる・シンポジウム 2012 夏 in 浜松 その1 

 村田さん:「ソーラーというと太陽光発電というイメージがありますが、OMソーラーの仕組みは太陽の熱で暖房したりお湯を沸かしたりしようというすごく単純なものです。この壁についているパネルを見てください。今、外気温は38度でこれだけでも十分暑いのですが、この外の空気を屋根で暖めると63度まで上がります。どの家でも夏の屋根の温度って、実はこのくらいになってます。この暖められた空気で、春、夏、秋はお湯を沸かします。冬は屋根の温度が40度くらいになっているのですが、その空気を床下にパイプ(ダクト)を通して送り込んでおくと、床暖房になります。こういった仕組みを、一般の家や体育館や病院などに付ける、そういった仕事をしています。」

 その後もいろんなところを見て回り、トーク開始です。浜松市内で「ひなたカフェ」を経営している村松正規さんにもお話を伺いました。

きこえる・シンポジウム 2012 夏 in 浜松 その1
 村松さん:「ランドスケープ、つまり街の景観をデザインする仕事を以前東京でやっていましたが、浜松へUターンし建築士になりました。故郷の浜松に「雑木林の中のカフェ」をコンセプトにした住宅を建て、そこを情報発信の場にしたいと思って、ひなたカフェを作りました。OMソーラーのようにファンやダクトは使わないんですけど、南の大きなガラス窓で得た熱を、吹き抜けを通して1階から2階に送っています。柱や梁にはやはり地元の天竜杉を使っています。」

 エネルギーやお金をあまりかけずに、夏を気持ちよく過ごす方法にも話が膨らみました。

 村田さん:「どの家でも夏の夜は中より外の方が涼しいので、OMソーラーの家ではその空気を屋根で冷やして家の中に送り込むというのがあります。そうすると朝はちょっとヒンヤリしています。日中の窓に対しては、例えばブラインドもいいんですけど、それ自体が熱くなってしまうんですよね。窓の外側で日よけをすれば、内側は涼しくなります。昔ながらのすだれやよしずなど。ブラインドは何万円もしますが、すだれは何千円ですよね。さらに打ち水をするのは効果的。もっと言えば緑のカーテンなら、地面の水を吸い上げてくれるので涼しいです。自動打ち水付きすだれとも言えます(笑)。」

 村松さん:「ランドスケープデザイナーとしては、とにかく木を植えてほしいんですよね。木というのは日光から光を取り入れて、二酸化炭素を吸収して貯めてくれる。吸い上げた水を発散してまわりの環境も冷やしてくれるので。道に向かって窓をいくら開けても、窓の下のアスファルトから熱風が入って来るんですよ。南側に木を、とくに落葉樹を植えてあげると、夏は緑が成って木陰から涼しい風が入ってくるし、冬は枯れ葉が落ちると光が入ってきます。」

 僕が都会の排熱などの原因によるヒートアイランド現象のことに触れると。

 村田さん:「エアコンの室外機って家の中の熱を外に捨てるみたいなものですから。家庭ゴミだったらそうはしないですよね。燃えるゴミとか分けて捨てますけど。ベランダの室外機から熱をポイポイ捨てるっていうのがエアコンの仕組みです。頼りすぎるのは良くないと思います。」

左から村田さん、村松さん、HARCO、Quinka
左から村田さん、村松さん、HARCO、Quinka
 

 政府のパブリックコメントや、それに対する発言の仕方についても話題が及びました。「2030年に原子力発電の割合を何%にするか」を国民に意見を求めるというものがありましたね。

きこえる・シンポジウム 2012 夏 in 浜松 その1
 村松さん:「パブリックコメント自体10年以上前からあるんですよね。昔は法律などを役人が一方的に作ってしまった形を反省して、やるようになったというのがスタートではあるんですけど、twitterやfacebookといったSNSが発達し、以前よりも可視化して拡散しやすくなったというのが、今注目されている理由だと思います。やっぱり今こそひとりひとりが発言していくというのが、僕らにできることなんじゃないかなぁと。」

 Quinka:「発言するにはやっぱりそれなりに勉強しないといけないですよね。自分の意見に対して責任を持たないといけないから。」

 村田さん:「変なこと書けないと思ってネットで調べたりする。それがまた自分の勉強になると思うし、他の人の発言を読んで勉強になることもいいですよね。ミュージシャンも最近は政治に対して発言するじゃないですか。今までは自分がファンだったら、聴いてます、いい曲ですねって言うメッセージしか送りにくかったんだけど、それは僕もそう思います、みたいな。例えば原子力のこととか、教育問題とかをかぶせて発言することで、もっと距離が縮まる感があるように感じてます。」

 この村田さんの言葉にはハッとさせられました。お互いに関心のあることで接点が持てるのはいいことだし、社会的な話題になるとより深く、責任ある大人としての接点が持てる気がします。興味深い話がたくさん出てきますが、この浜松編は次回も続きます。


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