「緑のgoo」は2025年6月17日(火)をもちましてサービスを終了いたします。
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夏に向けて少しずつ暑さが増してくるこの時期。少しずつ寝苦しさを感じ始め、ぐっすり眠りたいのに夜中に目が覚めてしまう、朝スッキリ起きられない……そんな睡眠の悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
「快眠のためにはまくらが大切」とはよく聞くけれど、実際に自分に合ったまくらを使うことで、どれくらい睡眠の質は変わるのか? 寝苦しい夜を快適に過ごせるようになるのか?
その答えを探るべく、今回は創業450年以上の歴史を持つ老舗寝具メーカー・nishikawaが提供する快眠サポートサービス「ねむりの相談所」を体験。専門家によるコンサルティングやオーダーまくらの作成、さらに使用後の睡眠への影響までレポートします。
nishikawaは室町時代に創業し、長い伝統を大切にしながらも現代の睡眠科学を取り入れた製品開発に取り組む老舗寝具メーカー。nishikawaの研究機関「日本睡眠科学研究所」や大学の研究者などの専門家と連携し、一人ひとりの体型や寝姿勢に合わせた、機能的かつ快適な睡眠を追求しているのが特徴です。
なかでも人気を集めているのが、オーダーまくら。専用の計測器による計測や丁寧なヒアリングに加え、豊富な中材の中から素材を選べることから、自分にぴったりのまくらに出会えると評判。全国の実店舗で展開しており、利用者は年々増加しています。
また、トップアスリートの愛用者も多く、代表的なのが大谷翔平選手。10代のころからnishikawaの寝具を愛用し、現在もオーダーまくらとスリープテックブランド[エアー]のマットレスなどを使用しているそうです。
今回訪れたのは、昨年10月にリニューアルオープンした「日本橋西川 広尾プラザ店」。リニューアルに伴い、店舗はさらに広くなり、商品数も充実。店内には「ねむりの相談所」も新設されました。
この「ねむりの相談所」は、nishikawaの直営店や百貨店内のショップなどに設けられた専用コーナーで、睡眠科学や快眠環境などの専門知識を持つスリープマスターが、睡眠に関する相談から改善方法の提案まで無料で対応してくれるサービスです。
特徴的なのは、「睡眠環境解析サービス」と「寝室チェックシステム」という2種類の測定・解析サービスを提供しているところ。専用機器を使って睡眠状態や室内環境を測定し、そのデータを解析・可視化してくれます(計測器レンタル料は各1,100円。どちらかのみの利用も可)。
今回はこのうち、「睡眠環境解析サービス」を体験してみました。これは日中の活動量や睡眠中の状況を計測するためのもので、専用の測定機器を1〜2週間ほど腰部分に装着します。
事前にこの測定機器を受け取り、数日間にわたってデータを計測。その後、広尾プラザ店内の「ねむりの相談所」を訪れ、スリープマスターの笠原雅子さんに測定結果を分析していただきました。
測定結果は日ごと・週ごとに確認でき、1日の活動量、就寝時間、睡眠時間、寝返りの回数、さらに睡眠中の体の向きまで細かく把握できます。
また、これらのデータをもとに、睡眠時間、寝つき、睡眠効率、睡眠の質、日中の活動度の5項目がレーダーチャートで点数表示され、睡眠の傾向がひと目でわかるようになっています。
計測結果を確認してみると、全体的な評価は低く、特に気になるのが睡眠効率と睡眠質。睡眠時間はじゅうぶん取れているように見えるものの、実際には夜中に何度も目を覚ましており、それが1日の活動グラフにもはっきりと表れていました。
さらに、寝返りの回数も多く、一般的には20回前後とされるところ、私の場合は多い日で59回。もともと眠りの浅さは自覚していたものの、こうして数値として示されると思っていた以上に睡眠状態が良くないことを痛感します。
この結果をふまえ、笠原さんが睡眠状態を改善するためのアドバイスをしてくれます。
「深い睡眠を取るためには、リラックスできる空間づくりが大切です。たとえば、仕事終わりに気持ちをリセットする時間や場所を設け、オンとオフのメリハリをつけるようにしてみてください。
寝る前のスマホ使用も、ブルーライトカット機能を使って光の刺激を抑えるなどの工夫をすれば、必ずしも快眠の妨げにはなるわけではありません。刺激の強いコンテンツは避け、焚き火のゆらぎや川のせせらぎといった“見流せて聞き流せる”リラックス系の動画や音を選ぶことで、自然と意識が切り替えられますよ」
カウンセリングを終えたら、パーソナルフィッティングで自分にぴったりのまくらを仕立てていきます。
最初のステップは、素材選び。9種類の素材の見本に実際に触れ、肌ざわりや感触が好みのものを選びます。顔に触れたときに心地よく感じられ、リラックスできる素材を選ぶのがポイントです。
次に、後頭部と首の形を正確に把握するためのクイック計測を行います。プレスシェイパーと呼ばれる専用の測定器を頭部に軽く押し当て、後頭部のカーブや高さ、首とのバランスを測定。これがまくらの高さを決める際の目安となります。
測定の結果、私の場合は全体的に高低差が少なく、後頭部から首にかけてのカーブもなだらかな形状であることがわかりました。
測定を終えたら、選んだ素材のサンプルを使ったフィッティングへ。店内のベッドで仰向けや横向きの姿勢をとりながら、厚さ約1cmのシートを抜き差ししてまくらの高さを調整し、頭・首・肩に違和感がないか寝心地をチェックしていきます。
素材は気になるものが3つあったので、ここですべて試してみることに。1つ目は、自宅のまくらに感触が近かった「整圧」。ほどよい硬さで頭が沈みにくく、しっかりとした安定感があります。
2つ目は、広尾店の一番の売れ筋商品「エンジェルフロート」。大谷選手が愛用しているのもこちらで、ふんわりしっとりとした感触のウレタン素材です。
そして、3つ目は最新種類の「newmine(ニューミン)」。ぷるふわの感触が心地よく、両サイドにくぼみがあるのが特徴。寝返りを打ったときに頬が当たる部分を凹ませることで肌への刺激をやわらげるという、美容に配慮した工夫が施されています。悩んだ末に私が選んだのは、この「newmine」でした。
素材が決まったら、高さを調整します。まくらは最大14ヶ所で高さ調整ができ、ブロックごとにシートを抜き差ししながら、頭や首のラインに合うよう微調整していきます。
まくらの正しい位置は、肩が乗らず、軽く触れる程度。その状態で顔が真上を向き、あごが軽く引かれ、背骨と頭が自然な一直線になる高さが適切とされています。
頭や首の形は一人ひとり違うものです。だからこそ、それに合わせて細かく調整できるのはオーダーまくらならではのメリット。自分に合ったまくらを使うことで呼吸がしやすくなり、首まわりの負担が軽減。さらに、首にシワができにくくなるといった美容面でのメリットも期待できるそうです。
最後に、計測やフィッティングの結果をもとにまくらを仕上げていきます。さきほど選んだ素材がトップ層に使われ、通気性に優れたミニ備長炭パイプをベース層に詰め、高さと安定感を調整したら、オーダーまくらの完成です。短時間で出来上がり、そのまま持ち帰ってすぐに使えるのもうれしいポイントです。
今回、まくらを使い始めてからの経過計測も行ってみました。再び「睡眠環境解析サービス」の機器をお借りし、使用開始から約1週間後に来店。計測データを分析していただきました。
データを確認してみると、夜中に目覚める回数が減り、寝返りの平均回数も約半分の30回前後に。前回の測定で課題だった眠りの浅さが、どうやら改善されているようです。実際、以前よりも朝の目覚めがスッキリと楽になったように思います。また、ここ数年、時々感じていた首や肩の痛みも今はほとんど気にならず、これもまくらのおかげかもしれません。
まくらの効果は長期間かけて少しずつ現れるものとのことなので、これからも使い続けるのが楽しみです。今回のコンサルティングは生活習慣を見直すきっかけにもなり、眠りの質を意識することで自然と健康的な生活に近づいているようにも感じます。
まくらは使い続けるうちに形が変わったり中材がへたったりするものですが、nishikawaのオーダーまくらは、期間や回数に制限がなく無料でメンテナンスを受けられるところも魅力。メンテナンスは、購入後2〜3週間で1度、その後は3ヶ月後、6ヶ月後に行うのが目安だそうです。
購入した店舗以外でもメンテナンスを受けられますが、店舗によって受付条件が異なる場合があるため、事前に問い合わせてから訪れるようにしましょう。
笠原さんによると、体に合った寝具が使っていると、体が楽な姿勢を寝具がしっかり支えてくれるため、目覚めたときに体が整っていると感じられるそうです。日中にたまった疲労を睡眠中に回復させるためにも、自分に合った寝具を使うことはとても大切だと言います。
特に、体を支える面が大きいマットレスなどの敷き寝具は、睡眠の質に与える影響が大きく、寝たときの体感や沈み具合が自分に合っているか見極めるのがポイント。一方で、まくらは比較的手軽に見直せるので、首や肩まわりに不調を感じている方は、まずはまくらを変えてみるのがおすすめとのことです。
また、快眠のためには、室温や湿度に加え、布団と体の“隙間”の温度や湿度を適切に保つことも重要なのだそう。寝苦しさを感じやすい夏場は、冷感素材の敷きパッドやまくらカバーを使うことで体から熱を逃がしやすくなり、より快適に眠れるようになるそうなので、ぜひ試してみてください。
自分に合った寝具がわからない、睡眠の質を改善したいという方は、nishikawaの「ねむりの相談所」を訪れてみてはいかがでしょうか。睡眠の質を見直すことで、毎日の暮らしが少しずつ変わっていくかもしれません。
Nishikawa
https://www.nishikawa1566.com/
文=佐藤由樹
写真=深野未季