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お笑い芸人さんに一緒に暮らすペットを紹介してもらう「お笑い芸人の“うちの子”紹介」。第40回は兼光タカシさん。
現在はトイプードルのレオナルドくん、ビスマルクくん(ともにオス、3歳)と暮らしています。幼い頃から、「自分で家族を持てるようになったら犬と暮らしたい」という夢を持っていたそう。保護施設から2匹を迎え入れて、念願だった家も建てて、昨年は第1子も誕生。仕事面ではコンビ解散を経験するなど、人生の転換ともいえるような出来事が一気に訪れて「大変だった」と語りつつ、2匹を迎え入れたことも含めて「すべてよかった」と笑顔を見せます。
――まず、レオナルドとビスマルクというお名前。サッカー好きならすぐにピンと来るでしょうが、鹿島アントラーズのレジェンドである選手のお二人から名付けられたのですか?
そうです。ワイフが茨城県の鹿嶋市出身で、家族全員、鹿島アントラーズをガチで応援していまして。僕、結婚した当初は日本代表の試合を観るくらいで、Jリーグにはそこまで興味がなかったんです。けど、一緒にスタジアムで応援するうちに感化されて、推しチームになりました。
だから、どちらの名前もワイフが付けて。最初、ジーコとアルシンドにするかっていう話も出たんですけど、さすがにやりすぎやなということになったんです。
――かわいらしい風貌に対してイカついお名前なのは、そういう理由だったんですね。
保護団体にいる時に付けられてた名前も、だいぶイカつかったんですよ。そこの団体は全部、国名を名前にしてたんですけど、ビスマルクはウガンダという名前で。レオナルドもなんやったかな? だいぶマニアックでイカつめな国の名前がついてました。
――2匹とも保護団体から引き取られたんですね。どんな経緯で一緒に暮らすようになったのですか?
小さい頃から犬が大好きやったんですけど、飼わせてくれない家庭やったんです。母が「死んだらかわいそうや」って言ってて。やから、自分が家庭を持ったら絶対に犬を飼うと決めていました。妻も元々、犬が好きで、実家で飼っていたんです。ある時、妻の実家で飼ってたトイプードルが急に亡くなってしまって。義理のお母さんが落ち込んでいたので、僕と妻のあいだで「(義理のお母さんが)急に次の犬を飼うのは難しいやろうから、僕らが犬を飼って遊びに来た時に悲しさを和らげてもらおう」という話になったんです。
ワイフが元々ネットで見ていた保護団体の譲渡会にすぐ行って。その日に「この子、めちゃくちゃかわいい」って写真が送られてきたのが、のちのレオナルドやったんです。え? もう飼うん?ってびっくりしたんですけど、確かに群を抜いてかわいかった。レオナルドは、のちのビスマルクと常に一緒にいて依存し合う関係性やったんです。団体の方は2匹一緒に飼ってくれることを譲渡の条件としていたので、いきなり2匹? と戸惑いつつも、気に入ったんなら(譲渡へ)手を挙げてみようとなって申し込んだら、あれよあれよという間にオッケーがもらえて、2匹とも引き取ることになりました。それが2023年7月のことで、当時1歳半くらいでしたね。
――保護団体から引き取る際、面接などもあるかと思いますが。
家の様子を動画や写真で送ったりしました。たぶんレオナルド1匹だけやったらもっと早くほかに引き取られてたと思います。巡り合わせやったというか、ラッキーでしたし、結果、2匹一緒に引き取ってよかったですね。遊び相手もいて僕らがおらん時に寂しそうにしてないし、かわいさも2倍。いいことしかないです。
――性格は違いますか?
全然違いますね。レオナルドは純粋というか、本能のままにというか、犬!って感じです。ただ、散歩でほかの犬を見かけると吠えるのが困っているところですね。食べ物に興味がなくて、ちょうだいっておねだりすることはあんまりないです。片や、ビスマルクは食べるのが大好き。お菓子の袋のガサガサという音で反応します。あと、ずる賢い。まずレオに行かせて大丈夫だったら自分も行くんですよね。テレビに犬が映ると吠えるし、ビビリなんでしょうね。
――保護犬にトイプードルのような人気の犬種がいることに驚かれたのではないですか。
確かに驚きました。勝手なイメージでは――もちろんこれは大袈裟な考えですけど、――保護犬=野良犬みたいな感じがありましたからね。この子たちの場合、ブリーダーさんが規模を縮小するとかで保護施設に引き取られたらしく、血統書もあるんです。けどね、全然大きくならへんから、トイプードルじゃなくタイニープードルちゃうかなと思っています。
――おうちを建てたのも、犬と一緒に暮らしたいという思いがあってのことだったんですか。
そうですね。その後、コンビを急に解散することになって。ピンになった1週間後、2年半前に予約していた車も来てしまって。解散する前にキャッシュで払うと決めていたので、お金が一気になくなって焦りました。ただ、犬を引き取ったことはもちろん、家も車も買っておいて本当によかったと思ってます。解散したあとやったら買ってる場合じゃないなと思ってたでしょうからね。この1年間は、芸人さんとか事務所の社員さんとかいろんな人に助けてもらってなんとか乗り切れたので、ここからさらに頑張ろうという感じですよね。子供も産まれて、守るべきものがあることも仕事への意欲につながっています。
――念願だった犬との生活はいかがですか?
楽しいですね、やっぱり。何よりかわいくてしょうがないです。ほんまに、むちゃくちゃかわいい! 結局、僕らが2匹を引き取ってから少し遅れて、お義母さんも同じ保護団体でトイプードル1匹を引き取ったんです。先日、千葉の小谷流の里 ドギーズアイランドっていうペットと遊べる施設へ、一緒に行ってきました。そこで2匹がプリントされたトレーナーとカバンを作ったんですけど、使うチャンスなくて。……今日着てきたらよかったです(笑)。
――確かに絶好のタイミングでしたね。仕事から家に帰ってくると出迎えてくれたりするんじゃないですか。
あれ、めちゃくちゃ嬉しいです。ただ、ビスマルクは最近「ただいま」って声をかけても小屋から出てこないんです。生意気になってきてますねぇ(笑)。2匹とも、僕の太ももの上に乗るのが好きで。特にビスマルクが好きなんですけど、全然出てこぅへんやんけと思いながらソファに座ると、トコトコトコと歩いてきて、ちょんと太ももの上に乗ってくるんです。それはそれでかわいくて、癒されてます。
――話しかけたりもしますか?
気づいたら話しかけてますね。ふふふ……何言ってるんやろうなぁ?「ビシュくん! ね!」とかただただ名前を呼んだりして。いてくれるだけで嬉しいですし、犬がいてくれることも含めて家ではすごくリラックスできてますね。家を買って2年ちょっと経ちますけど、こだわって作ったのでまだ楽しいです。お風呂に入ってる時、“あぁ、この家建てたんやぁ”ってしみじみと思ったりしてますね。
ただね、子供が産まれてから、2匹が赤ちゃん返りしてるんですよ。子供を敵とは思ってないんでしょうけど、“なんやこいつ。俺らと同じくらいの大きさのヤツがいきなり来て、むっちゃかわいがられてるな。しかも、大きなるん早いな”って思っていそうで。かまってアピールする時もありますし、パッと見ると寂しそうにしてたりするのを見ると、ちょっとかわいそうやなと思ったりしてます。僕が仕事で家を空けてる間、ワイフは赤ちゃんと犬の世話をしないといけないので大変ですしね。
――家事は一緒にされているんですか。
そのつもりではあります。何をするとかきっちり分けてるわけじゃないですけど、赤ちゃんをお風呂に入れたり、犬のトイレ掃除は僕がすることが多いですね。犬の散歩は一緒に行くことが多いんですけど、以前はほぼ毎日行ってたのに、赤ちゃんが生まれてから行く機会が減っていてかわいそうやなと思っているところです。
外の世界が好きなので、先日行った施設のドッグランでは2匹ともめちゃくちゃ走り回ってて。お友達もいっぱいいるから、めっちゃ楽しそうにしていました。
――ご近所の犬コミュニティもできましたか?
仲良くしたいんですけど、レオナルドが吠えるのであんまりできてないですね(笑)。飼い主さんと挨拶はするんですけど、吠えるので「あぁ、すみません! ごめんなさい!」ってなっちゃって。吠えることさえなくなればお友達もできるんじゃないかなと思っているので、しつけ教室みたいなところに行こうかなと考えているところです。
散歩をしてると「わぁ、かわいい〜!」って声をかけられることが多くて。みんな犬に夢中で、僕には気づかないのはちょっとだけ寂しいですね。
――初めての犬との暮らしで、驚いたことはありますか?
驚いたというより、やっぱりという感じですけど、お金はかかりますよね。1ヶ月半に1回、トリミングしに行くんですけど、2匹分じゃないですか。1回で2万5000円くらいかかるので、僕より高いなと思ったりしますね。保険も入ってますし、病院にも定期的に連れて行っていて。レオナルドがパテラっていう膝の脱臼があって薬を飲ませているので、お金はかかりますね。
あと、今は家に慣れたのでなくなりましたけど、来た当初は聞いたことがない音がすると吠えてたんです。僕、麻雀が大好きで。家に雀卓があって後輩や先輩を呼んで一緒にやるんですけど、麻雀牌ってガラガラ、ジャラジャラと音がするじゃないですか。2階、3階にいるとほぼ聞こえないんですけど、犬って聴覚が鋭いからその音をさせるるとワンワン!って吠えてて。夜遅くとか、ワイフに「うるさくて寝られへん!」って怒られたりもしてたので、今後、家で麻雀できひんようになるんかなと心配してたんです。けど、今は慣れて、どんな音がしようが吠えなくなりました。
――赤ちゃんとの関係に日々変化はありますか?
最近ずり這いできるようになったんですけど、赤ちゃんがクッションの上に座ってるビスマルクに近寄って触ってたんです。僕、家にいなかったんですけど、うぅ……って威嚇されてたらしいです。赤ちゃんも成長してるんですかね? 昔は毛をつかんで引っ張ったりしてたんですけど、最近は優しく触るようになってきて。犬がなんなのか、ちょっとずつわかってきてんのかなと思いました。今後、もっと仲良くなってくれたら嬉しいですね。
――兼光さんにとって、レオナルドくんとビスマルクくんはどんな存在ですか?
うわぁ、難しいですね。どういう存在なんやろ? ……あ、あれや。ゲームのヒットポイント回復拠点。癒されて、回復できる。毎日、活力をもらってます。あと、我が子のように思っているところもあります。奥さんに「子供3人やなぁ」って言ったら、「4人や!」って言われましたけど。
――兼光さんも子どもの一人だと。
はい(笑)。これからも元気でいてほしいなと思っています。
兼光タカシ(かねみつ・たかし)
1978年11月10日生まれ、大阪府出身。高校の同級生だった岩橋良昌と2003年にプラス・マイナスを結成。「ABCお笑い新人グランプリ」優秀新人賞、「NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞、「上方漫才大賞」大賞を獲得する。2024年にコンビを解散し、ピン芸人となった。
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文=高本亜紀
撮影=釜谷洋史
写真=兼光タカシ