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【瀬戸焼編①】瀬戸を訪れたら、まずは「瀬戸蔵ミュージアム」へ。瀬戸焼の歴史と名品にふれてみましょう

  • 2021年8月31日
  • ことりっぷ


今から約1000年前に生産が始まった「瀬戸焼」。やきものの代名詞である“せともの”という言葉も、瀬戸焼の産地・愛知県瀬戸市に由来しています。やきもの産地としての長い歴史や瀬戸焼について詳しく知るには、「瀬戸蔵ミュージアム」を見学するのがおすすめ。瀬戸焼の世界へでかけましょう。
瀬戸の玄関口、尾張瀬戸駅から5分ほど歩くと、観光拠点施設「瀬戸蔵」に到着します。ミュージアムがあるのはこちらの2・3階。2階の入り口から入ると、レトロな電車の車両や再現されたやきもの工場などが並ぶ広い空間があり、昭和時代の瀬戸にタイムスリップしたように感じられます。“モロ”と呼ばれる工場は、実際の建物を参考に忠実に再現されたもの。展示されている機械や道具なども工場で使っていたものが多いので、とてもリアルな雰囲気です。
モロでやきものづくりの現場を体感したら、生産道具展示室をのぞいてみましょう。ここでは工程ごとに道具や機械が展示してあり、陶磁器生産の基本がわかりやすく解説されています。また、手描きだった絵付けに印刷技術が取り入れられたり、機械が高性能になっていったりという、手作業から機械化への進化を表す内容からは、瀬戸焼が大量生産された時代を感じることができます。
3階では瀬戸焼の歩みを紹介するコーナーが中心です。古くは古墳時代から、瀬戸焼が始まる平安時代を経て江戸時代まで、展示ケースの中に時代ごとのやきものがずらり。瀬戸焼の移り変わりが細かく展示されていて、その歴史の長さにあらためて圧倒されます。年表に記された時代背景との関わりも興味深く、瀬戸焼を代表する図柄も並んでいるなど、見ごたえのある内容です。
明治時代から現代までのコーナーは、食器や家具装飾品などテーマ別に構成され、さまざまな名品に瀬戸焼のすぐれた技や特徴を見つけることができます。中世期には国内で唯一、釉薬を使った光沢のある施釉陶器を生産していた瀬戸。今日も灰釉や鉄釉、黄瀬戸釉など多彩な釉薬を駆使したやきものを生み出しています。また、陶器だけでなく磁器を長年にわたって生産していることも瀬戸焼の特徴の一つで、全国的にも珍しいとか。呉須という染料で絵付けをする伝統的工芸品、瀬戸染付焼では、やわらかな白さを持つ磁器の素地に藍色がよく映えます。
明治時代にアメリカやヨーロッパで開催された万国博覧会に出品するために作られた、燈籠や壺など大型の作品も目を引きます。出品した作品が高く評価されたことにより、瀬戸から海外へ陶磁器の輸出が増加。海外輸出用の製品も多く作られました。なかでも、人形や動物などの置物“ノベルティ”は、欧米で広く愛される品に。繊細なドレスをまとった人形や愛らしい動物が並ぶ一角は、じっくりと見つめたくなります。
瀬戸での多種多様なやきものづくりは陶器と磁器、芸術的な作品や日用品といったジャンルに加えて、工業製品にも広がりました。瀬戸には碍子(がいし)やファインセラミックスを手がける工場も多く、ここでの展示テーマの一つになっています。多様なものづくりに対応する技術力の高さと柔軟さ、新しいジャンルに挑戦する積極性。瀬戸焼に携わる人々の姿や思いが伝わってきます。
スケールが大きく展示物も多い、瀬戸蔵ミュージアム。瀬戸焼の世界を満喫するなら、時間に余裕をもって訪れて、ゆっくりと楽しむのがおすすめです。

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