春に野山を歩くと、土の上をのそのそと歩いている、るり色の昆虫に出会うことがあります。ツチハンミョウは翅が退化してしまって、飛ぶことのできない甲虫の仲間です。触ると黄色い汁を出すのですが、この液にはカンタリジンという毒が含まれているので、素手で触ってはいけません。
ツチハンミョウは春と秋だけに地上に現れるので、どんな一生を送っているかは謎でした。この不思議を調べたのが有名な昆虫学者のファーブルです。ツチハンミョウの仲間はたくさんの卵を産みます。ぼくも卵を産むところを観察したら3時間もかかって5000個もの卵を産んだのです。昆虫の中で一回に産む卵の数としては多分一番多いと思いのではにでしょうか。
孵化した幼虫は草を登って花の中に潜り込みます。花にやってきたハナバチのメスにしがみついて、巣に運ばれていくのだといわれています。巣に戻ったハチが、卵をうむ瞬間にハチの卵の上にとび乗るのだそうです。ハチがいつやってくるかもわからないから、無事にハチの巣にたどりつくのはとても大変なことでしょう。途中で死んでしまう幼虫がほとんどですから、たくさん卵を産むのです。幼虫はハチの巣の中で蜜や花粉を食べて成長しますが、まだ日本のツチハンミョウでは詳しい生活がわかっていないものも多いようです。
草の葉を食べるヒメツチハンミョウ。下はヒメツチハンミョウが卵を産んでいるところを土をどかして撮影した。黄色い固まりが卵だ。
今日のハワイ昆虫記はハワイ特産のコオロギ
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