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世界一わかりやすい『登山に綿のTシャツを着ていくのがNGな理由』

  • 2018年10月10日
  • YAMA HACK

Tシャツ

「登山に綿はNG!」ということは、よく言われています。スポーツ用の速乾ウェアの方が、汗が早く乾くから…ということは何となく想像できますが、「なぜ」「なんのために」綿がNGと言われているか、はっきり理解していますか? 今回は、綿のウェアがNGとされている理由を実験で徹底検証していきます。初めて登山をするお友達にも役立つ内容ですので、ぜひシェアしてあげてくださいね。

アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

よく「ダメ」とは聞くけれど…

PCを見る男性のイラスト
出典:いらすとや
「登山に綿のTシャツやウェアはNG! 速乾タイプじゃないとダメだよ」とはよく言われること。登山入門書やあらゆるwebサイトにも書いてありますし、登山用品店の店員さんもそのように言います。綿という素材は濡れると乾きが遅く、身体が冷えてしまうからというのが理由なのですが、頭ではわかるものの具体的に実感を伴わず、イマイチピンとこないという方もいるのではないでしょうか?

綿のTシャツ
出典:PIXTA
例えば、一般的に普段着として着るTシャツは綿がほとんど。持っているTシャツがそれだから、そのまま山へも着ていく…という方、ちょっと待って! 今回は「なぜ登山では綿NGなのか?」を徹底的に解明すべく、様々な検証をしてみました。これから登山を始める人はもちろん、初めて登山をするお友達に服装をアドバイスする際にも役立つかと思います。早速見ていきましょう!

「気体」と「水」の不思議

突然ですが、サウナを想像してください

サウナ
出典:PIXTA
日本のサウナは平均温度が約90℃前後。当たり前ですが、サウナには入れるけど90℃のお湯には入れませんよね。

その理由はズバリ…『熱伝導率』!

熱伝導率
出典:いらすとや
その秘密は熱伝導率。熱の伝わる速さの度合いのことを指しますが、実は水は空気の20倍以上熱伝導率が良いのです。そのため、サウナのような気体の90℃で耐えることができても、分子が水になると一気に熱が伝わるため触れることすらできないという事象が起こります。

冬のおふろ
出典:PIXTA
同様の現象として、冬のお風呂を想像してみてください。お風呂を出た瞬間ものすごく寒く感じて、慌てて水気を拭いて服を着る…誰しも経験したことのありそうなシーンですよね。この現象も、肌の上の水滴が低い外気温を一気に伝えてしまう熱伝導に起因しています。

山ではどう?

山を歩く女性
出典:PIXTA
先ほどのお風呂の話だと、暑い場所から気温の低いところへ出た瞬間、体についた水滴が熱を伝導して寒く感じたということになります。

では、山ではどうでしょうか? 微風であれ強風であれ、変わりやすいお天気の山では常に風が吹いています。そして誰もそれをコントロールすることはできません。運動して汗をかけば衣服が濡れますが、その部分に無条件に風が吹きつける環境ということ。つまり、ウェア自体が早く乾いてくれないと体もどんどん冷えてしまうのです。

【実験】綿と化学繊維を徹底比較!

濡れた箇所が、水分の熱伝導率の高さによって冷えやすいことはわかりました。では実際にどれくらい綿が乾きにくいのか、またそれによりどれくらい冷えるのかを実験してみましょう。

実験!綿ってどれくらい乾かないの?

綿とポリエステルのTシャツ
撮影:YAMA HACK編集部
綿のTシャツと速乾Tシャツで、乾く時間がどれくらい違うのかを実験してみます。

Tシャツに水滴を垂らす
撮影:YAMA HACK編集部
各Tシャツにスポイトで水滴を1滴ずつ垂らします。

扇風機で乾かす
撮影:YAMA HACK編集部
そのまま5分間扇風機を当てて乾かします。

5分後
撮影:YAMA HACK編集部
5分後、化学繊維の方は触っても濡れている感じがなくほぼ乾いていました。一方、綿の方は触るとまだ濡れており、そして何より濡れた箇所が化学繊維より冷たく感じました

風に吹かれるとどれくらい冷えるのか?

扇風機で化繊Tシャツに風を当てる
撮影:YAMA HACK編集部
では実際に、濡れた箇所が風に吹かれるとどれくらい冷えるのでしょうか? 綿と化学繊維のTシャツを水で濡らして絞り、それぞれに1分間扇風機で風を当ててみます。

温度比較
撮影:YAMA HACK編集部
1分後、扇風機を当てた表面の温度を測るとご覧の結果に。化学繊維は21.9℃、一方綿は16.9℃。水風呂くらいの冷たさです。

実際に肌に触れさせてみると…

触り比べ
撮影:YAMA HACK編集部
実際に、濡れたウェアを編集部員が触り比べると「どちらも冷たいが、綿の方がベタっと肌にまとわりつき冷たさが強い感じがする」とのこと。もちろん吹く風の強さや、実際に人が着ていたら体温などにも影響されるためこの温度数値はあくまで参考。しかし同じ室内の環境下で試しても、差が出る結果となりました。

水風呂の冷たさを肌に纏って、風に吹かれる…想像するだけで、寒々しいですよね。

でもそんなに大変な山じゃなければ別によくない?

綿のTシャツを着た人
出典:PIXTA
しかし、「自分が行くのはそんなに大変な山じゃないし」「コースタイムも短いから大丈夫でしょ」と思っている人!その認識は間違いです。運動量が激しくなければ、汗をかかないと思ってはいませんか?

『汗』はいつかくもの?

ビニール袋の手
撮影:YAMA HACK編集部
ここで1つ検証をしてみます。スーパーなどで手に入るビニール袋に自分の手を入れて、手首を輪ゴムで固定。そのまま10分ほど放置すると、だんだんビニールの内側が曇り始めます。

曇るビニールの内側
撮影:YAMA HACK編集部
手の甲側も曇ってきました。水滴も付き始めています。

撮影:YAMA HACK編集部
ビニールを取るとびっしょり汗が!

これは、じっとしていても、私たちは汗をかいているということ。「そんなに動かないから…」などというレベルではありません。何もしなくても汗はかくのです。つまり『いつでも衣服が濡れる環境にある』ということになります。

外にいて風を受ける以上、汗が早く乾くものを着るのはマスト!

稜線
出典:PIXTA
寒い時期などはまったく汗をかいていないように感じがちですが、そんなことはありません。じっとしていても汗をかいている、って普段はなかなか意識しにくいですが、私たちの体はよくできていて、そうすることにより体温を調整しようとします。

山では当然、風の強さは一定ではありません。乾かない衣服で体が冷えてしまうことは、低体温症のリスクに繋がるということ。これ、大げさではなく本当です。事前に避けられるリスクをきちんと避けることも、登山する上での大事なマナーですよね。

▼低体温症は、高い山だけのものじゃない

▼機能性が高いものを選ぼう

すべては快適で楽しい登山のため!

登山する男女
出典:PIXTA
登山で綿がNGとされている理由、おわかりいただけたでしょうか? 登山用ウェアとなると、雨などの外的要素から身を守るレインウェアがとりわけ重視されがちですが、一番下の層の肌に接するウェアも同じくらい重要。『汗処理』は、快適に登山をするための永遠のテーマです。一度冷えた体の温度を上げることは、想像以上に容易ではありません。食べ物で体温を上げるのもたかが知れていますし、濡れていないウェアに着替えられる環境ならいいですが、登山中はそうもいきませんよね。ならばまず『冷やさない』ことが何より重要。「ちょっとくらいいいや」と思わずに、楽しく登山をするために気を付けてみてくださいね。

▼唯一登山でOKな綿!?

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