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「ゴアテックスなら大丈夫」は本当?実際のところを日本ゴア社で聞いてきた

  • 2017年12月8日
  • YAMA HACK

日本ゴア社の入口

アウトドア製品では定番の、ゴアテックス(R)ブランド。「ゴアテックス着てれば大丈夫!」なんてよく聞きますが、「結局濡れた・・・」なんて声があるのも事実。日本ゴア社に行って、適切な使い方やお手入れ方法を聞いてきました!

アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

「ゴアテックスなら大丈夫」は本当?日本ゴア社に取材に行ってきた

ゴアテックス広報市塚さん
撮影:YAMA HACK編集部
優秀な防水透湿素材として知られる「ゴアテックス(R)」製品。先日、そのゴアテックス(R)製品を展開している日本ゴア社に取材に行ってきました。質問に答えてくださったのは日本ゴア社、広報の市塚さん。編集部に入社したばかりで、素材について勉強中の新入社員がわからないことを色々と聞いてきました!

編集部(以下、編):今日はよろしくお願いします!お恥ずかしながら、私自身「素材」に関してはまだ勉強中なんです。ゴアテックス(R)プロダクトのレインウェアも持っているのですが、「良いもの」と分かっていても漠然としているところが多いんですよね。お手入れ方法も正しいのか不安。でも、そういう方って実は多いと思うんです。

市塚さん:確かに、店員さんに勧められたから買った、なんていう人も多いですよね。

編:あとは、「ゴアテックス(R)プロダクトのウェア着てたのに濡れたじゃん(怒)」なんて声を耳にすることもあります。そういう声を聞くと、失礼ですが「完全ではないんじゃない?」と思ってしまったり。

市塚さん:私自身もネットで検索しているとそういった書き込みを見かけます。今日は、ゴアテックス(R)プロダクトについて正しく理解して使っていただけるように、ひとつずつ説明していきますね!

正しく答えられる?ゴアテックス(R)プロダクトとは

ゴアテックス(R)プロダクトと言えば「防水・透湿・防風」。まずは、その仕組みについて簡単に説明していただきました。

これだけは覚えよう!生地の真ん中に挟まれているのが「ゴアテックス(R)メンブレン」

市塚さん:「ゴアテックス(R)プロダクト」って、生地のこととか、加工方法と思われている方も多いんですが、ゴアテックス(R)プロダクトの核となる部分はこの薄い膜、「ゴアテックス(R)メンブレン」と呼ばれているものなんです。そのゴアテックス(R)メンブレンに表生地と裏生地の2枚の生地を貼り合わせたものが「ゴアテックス(R)ファブリクス」と言われ、ウェアなどに使われているんです。

imgp66681
撮影:YAMA HACK編集部
編:私たちが普段「生地」として触れている表生地と裏生地の真ん中に、「ゴアテックス(R)メンブレン」があるんですね。

どのぐらいの雨に耐えられるものなの?



imgp6664
撮影:YAMA HACK編集部(ゴアテックス(R)メンブレン)
市塚さん:このゴアテックス(R)メンブレンは拡大していくと網目状になっています。その網の穴のサイズがゴアテックス(R)メンブレンの機能の最大のポイント。水は通さず、水蒸気は通すという穴のサイズになっているんですね。例えると、ザルに石を入れても下に落ちませんが、砂を入れると砂は落ちます。それがゴアテックス(R)メンブレンの防水透湿の仕組みなんです。

GORE-TEXメンブレンの拡大図 編:ちなみに、テントでもウェアでも「耐水圧○○mm」と数値で表されていることが多いんですがゴアテックス(R)メンブレンはどのぐらいなんですか?

市塚さん:実はゴアテックス(R)ファブリクスは耐水圧を数値として表示していないんです。雨はどれだけ強くても1,000~1,500㎜くらい。耐水圧20,000㎜以上であれば、多少の数値の違いって、過酷な状況以外では使っていて実感できるレベルではないんですよね。

さらに、表地にどんな生地を使うかによっても耐水圧は変わってきます。ゴアテックス(R)ファブリクスに関して言えば「アウトドアの用途に十分耐えられる程度」と思ってくださっていれば大丈夫です。

編:つまり、想定できる登山シーンにおいて水は通さない、と。

市塚さん:はい。実際に1,500㎜以上の水圧の雨が降ってきたら痛くて立っていられないと思います(笑)

中の水蒸気が通るってことは、外の水蒸気も入ってきちゃうんじゃ・・・

湿度計
出典:PIXTA
編:水を通さないことはわかりました!先ほどご説明いただいたように、ゴアテックス(R)メンブレンは水蒸気は通すんですよね。それって、外の水蒸気は入ってこないのですか?日本は多湿だから・・・

市塚さん:結論から言うと、外の水蒸気も通ります。

編:じゃあ結局濡れちゃいません?

市塚さん:ゴアテックス(R)メンブレン自体、外からも中からも関係なく水蒸気が通ります。水蒸気って暖かくて湿ったところから、冷たくて乾いたところに移動するものなんですね。なので体温よりも気温が高くて湿度が80%くらいある、例えば「熱帯雨林」なんかで着用した場合は、外の水蒸気が入ってくる可能性があります。でも、そんなところでウェアを着ることはないですよね。

ほとんどの場合は、外気よりウェアの中の方が暖かく湿っているはずなので、外に水蒸気は抜けていきます。

水蒸気は通すのに風を通さないのがワカラナイ・・・

編:風を防ぐ仕組みは?水蒸気は通すのに風は通さないって、イマイチ想像がつかないのですが・・・

ホワイトボードで防風の説明をする市塚さん
撮影:YAMA HACK編集部

市塚さん:風って「空気のかたまり」として体に当たるから「風」として感じるんですね。先ほども言ったようにゴアテックス(R)メンブレンは細かい網目状になっているので、風はその網目をくぐる形でウェア内に入ってきます。(図の→で示されているのが「風」の通り道)

でも、網目を通り抜ける時点で「かたまり」ではなくなっているので体が「風」と感じることはないんです。さらに、メンブレンのウェア側には「汚れ防止」の加工がされていて、その加工が風を通さないようになっているんです。

撥水性がないと、ゴアテックス(R)メンブレンの良さが活かせない



GORE-TEXファブリクスに水をこぼした画像
撮影:YAMA HACK編集部
編:防水・透湿・防風については理解できたのですが、ウェアって撥水性も大事ですよね?

市塚さん:その通りです。表生地の撥水性がとても大切で、ゴアテックス(R)ファブリクスは表生地に撥水加工を施しています。撥水性が大事である理由は大きく3つ。

1つ目は透湿性のため。表面が濡れてしまうとその分水蒸気の通り道が少なくなって、透湿性が下がってしまうから。
2つ目は重さ。濡れたウェアって重いですよね。表地が水を吸って重くなるのを防ぐためには撥水加工が必要です。
3つ目は冷えを防ぐため。水は熱伝導率が高いので、表地が濡れてしまうと体温を奪ってしまう原因にもなります。

透湿性の低下、水を吸って重量が増すこと、そして冷えを防ぐためにゴアテックス(R)ファブリクスは撥水加工を施しています。

【まとめ】
・ウェアの「生地」の真ん中に入っているのがゴアテックス(R)メンブレン。そのメンブレンの穴の大きさのおかげで水が通るのを防ぎ、水蒸気は通す。
・撥水加工は表地の表面にされている。メンブレンの機能を活かすためには、撥水性も大事。

「ゴアなのに、お尻が濡れた!」こんな経験ある人いない?

編:ゴアテックス(R)ファブリクスの防水・透湿・防風の仕組みが理解できました!でも、「濡れた」という人がいるのはなぜなんでしょうか・・・?

市塚さん:「濡れる」原因は「外からの雨が浸入」したときと「自分の汗」の2つが考えられますよね。そこをわけて考えてみましょう。

「外からの雨が浸入した」場合

市塚さん:ゴアテックス(R)製品が販売される前、最終形のものをメーカーさんから提出してもらい、「体が濡れないか」の検査を行っています。その検査では、人形に「きっちりと」ウェアを着せて、大量の水をかけ、体が濡れないかをチェックします。

GORE-TEXプロダクトの検査
出典:Facebook/GORE-TEX® Products(GORE-TEX®プロダクトの検査の様子)
編:「きっちりと着る・・・?」

市塚さん:はい。そこがポイントです。ゴアテックス(R)メンブレンは水を通さない、と言いましたよね。ですので、水が浸入する原因として考えられるのはウェアの構造です。

ウェアの構造上水が浸入しないことを確認するのが、その検査の目的なんです。厳しい検査を通過した製品だけが、ゴアテックス(R)プロダクトとして売られています。

編:では、雨が浸入した場合というのは・・・

市塚さん:「どこかが緩んでいる、もしくはそのウェアの目的外で着用された場合」が考えられます。もし、着用中に雨が浸入した場合には、袖口や裾をしっかりと閉めていたか、ジッパーは最後まで上げていたかなどの確認をしてみてください。

編:「きっちりと着用できているか」を自分で意識するのが大切なんですね!

市塚さん:その通りです。もう一つ雨の侵入が考えられるのは「ゴアテックス(R)メンブレンに穴が開いている」という場合です。水の力って凄くて、どんなに小さい穴であってもそこから侵入してきてしまいます。ピンポイントである部分だけびしょびしょに濡れていたら、その場所に穴や傷がないかチェックしてみてください。
ウェアに開いた穴
撮影:YAMA HACK編集部(こんなに小さな穴でも、水が入ると体が濡れます)

「自分の汗」が原因の場合



編:では、「自分の汗」で濡れる場合というのは・・・?

市塚さん:体全体がじっとりと濡れた、ようなときは「自分の汗」が原因である可能性が高いです。ゴアテックス(R)メンブレンは水蒸気を通しますが、汗って水蒸気ではないですよね。汗を吸収して、水蒸気にして排出してあげないと、ウェア内から外に水蒸気は出ていきません。

編:ということは、ゴアテックス(R)ファブリクスのウェアというより、中に何を着ているかが大切ってことですか・・・?

市塚さん:そうなんです。いわゆる「レイヤリング」ですね。吸湿速乾性のアンダーウェアを着るなどして、汗を水蒸気に変えてあげることが大切です。
レイヤリング
撮影:YAMA HACK編集部(レイヤリングイメージ)

ありがちパターン①「座っていたらお尻が濡れた」

編:「座っていたらお尻が濡れた」ことって、かなりの人が経験あると思うんです。水が通っちゃってるんじゃないんですか?

雪の上に座る人
出典:PIXTA
市塚さん:第一に、座っていても水が通ることはありません。ただ、岩の上などに座っているときお尻の部分は「透湿性」が下がっている状態になります。水蒸気の逃げ場がなくなっているんですね。

編:ということは、汗?

市塚さん:はい、汗が原因である可能性が高いかと。あとは、岩や雪の上のような冷たいところに座っているときは、水蒸気が冷やされて水になりやすいんですね。このことを知っておくだけで、登山やスノボの時などでも、何かしら対策が打てるのではないでしょうか。

ありがちパターン②「ポケットの中がびしょびしょ」

ゴアテックスウェアのポケットを使う
撮影:YAMA HACK編集部
編:ポケットの中に関してはどうでしょう?ポケットの中がびしょびしょになったという人がまれにいらっしゃいますが・・・

市塚さん:ゴアテックス(R)プロダクトは、体が濡れないことは保証していますが、ポケットの中は対象外です。つまり、ポケットを確実に閉めた状態で中に水が入っていたとしても、体は濡れていないはずです。

編:むむむ・・・

市塚さん:メーカーによっては、ポケットに水抜きの穴が開いているモデルもありますよね。水抜きの穴があるということは、それだけ水がたまる可能性があるということなんです。それを知っているか知らないかで、ポケットの使い方も変わってくるのではないでしょうか。

ゴアテックスウェアのポケット
撮影:YAMA HACK編集部
ポケットはそこだけ生地が多く重なっています。つまりその分透湿性は下がっている。さらに、防水カバーなどにスマホを入れてポケットに入れる人も多いと思うんですが、その防水カバーが入ることによってポケット部分はさらに透湿性が下がります。そのせいで汗が抜けず、物を入れていたところだけ体が濡れた、なんていうケースもありますね。

防水ケースに入れたスマホ
出典:PIXTA
編:うーん、言われてみれば!ポケットの使い方も、自分で工夫する必要があるんですね。

【まとめ】
いくらゴアテックス(R)ファブリクスと言ってもその機能が生かせるかどうかは自分次第!
万が一濡れた場合は、雨の侵入によるものなのか、自分の汗が原因なのかをわけて考えよう。

 特別な洗剤はいらない!どんどん洗濯すべし

洗濯機
出典:PIXTA
編:ゴアテックス(R)プロダクトを正しく使うイメージがつきました!あとは、お手入れ方法が不安です。

市塚さん:大前提として、ゴアテックス(R)プロダクトはとっても丈夫。だからどんどん洗濯してください。

編:特別なお手入れとかをした方がいいのでは・・・?

市塚さん:ゴアテックス(R)プロダクトってちょっとお値段も高いので、「丁寧に扱わなきゃ」って思われがちなんですけど、大体の製品は普通に洗濯機で洗っても大丈夫なんですよ。ウェアについている落としたい汚れって「汗、皮脂、ほこり」など。それって普通の衣類と一緒ですよね。

逆に汚れを落とさず着ていると、汚れによって機能が下がる原因になるので、こまめに洗濯をしてほしいです。もちろん、ウェアの洗濯表示は必ず確認してくださいね。

でも洗剤は専用のものじゃなきゃダメなんでしょう?

From PIXTA
出典:PIXTA
編:さすがに洗剤は特別なものがいいとか・・・?

市塚さん:柔軟剤、漂白剤が入っていなければ通常の洗剤で大丈夫です。粉洗剤よりも液体洗剤の方が解け残りがないのでおすすめですが、日本で市販されているものなら粉でもほぼ問題ないでしょうね。

ゴアテックス(R)メンブレンそのものは薬剤の影響をほとんど受けません。気を付けたほうがいいのは表地と裏地。柔軟剤は表地の撥水加工の機能を低下させます。漂白剤は表地に使われているナイロンや、ファスナーなどがダメージを受けます。そこだけは注意して洗濯してくださいね。
撥水性の実験
撮影:YAMA HACK編集部(柔軟剤を使うと右のように撥水性にダメージを与える)

正しい洗濯方法

①ウェアのファスナー、ベルクロは全て止め、ネットに入れます。
②柔軟剤・漂白剤が入っていない洗剤で洗濯します。洗剤成分が残らないよう、すすぎ回数は通常の2倍がおすすめ。
③すすぎ終わったら水を切り、ハンガーにかけて陰干しします。

熱処理の仕方(撥水性を回復するのにおすすめ)

乾燥機の場合:乾いたウェアを乾燥機に入れ、20分ほど温風で乾燥させます。
アイロンの場合:当て布をして、低温・スチームなしでアイロンがけ。ファスナーなどゴアテックス(R)ファブリクス以外の場所は避けてください。

撥水スプレーは「防水透湿ウェア用」なら何でもいい

撥水スプレー
出典:Amazon
編:熱処理をしても撥水性が復活しないときなどは、撥水スプレーを使うと思うんですが、よく「フッ素系のものでないとダメ」と目にします。

市塚さん:「防水透湿ウェア用」と表記されていれば、「フッ素系」でも「シリコン系」でも大丈夫です。ただ、現在市販されているもののほとんどはフッ素系ですので、「防水透湿ウェア用」かどうかを確認していただければ大丈夫ですね。

買い替え時の目安は「シームテープ」

編:これで正しくお手入れできそうです!あとは、ウェアの寿命がいまいちわからなくって。ゴアテックス(R)プロダクトの買い替え時って何を目安にすればいいんでしょうか?

市塚さん:一番わかりやすい目安は「シームテープ(縫い目を覆うテープ)が剥がれたら」買い替えをお勧めします。シームテープを張り替えたとしても、ゴアテックス(R)ファブリクス自体に汚れが相当しみこんでいる可能性があるので、また剥がれてきてしまうと思いますね。

ゴアテックスウェアのシームテープ
撮影:YAMA HACK編集部(シームテープの状態を定期的にチェックしてみよう)
編:読者の中にはひとつのウェアを長く大切に使っている方も多いです。

市塚さん:10年、15年と長く大切に使ってくださることはとってもありがたいです!ただその10数年の間に、肌触りが良くなったり、透湿性が上がったりと進化を続けてきているのも事実。新しいものの方がより快適に使えるという可能性もあります。15年も使っていただいたら、新しいものの購入を検討していただいてもいいかと思いますよ。

機能を活かせるかどうかは自分の使い方次第!

GORE-TEXメンブレンとファブリクス
撮影:YAMA HACK編集部
いくらゴアテックス(R)プロダクトが高機能だとしても、使うのは私たち。機能を活かせるも活かせないも、私たちの使い方やお手入れだということがわかりました。次回は、「他の防水透湿素材と比べて、ゴアテックス(R)プロダクトを選ぶメリットとデメリットは?」など、購入時に役立つポイントをお伝えしていきます!

>>YAMA HACKでこの記事を読む

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