ミャンマー大地震 1000km離れたタイ・バンコクは「長周期地震動」で被害拡大か

  • 2025年3月28日
  • ウェザーニューズ

2025/03/28 19:00 ウェザーニュース

日本時間の3月28日(金)15時20分頃、ミャンマーで規模の大きな地震がありました。地震の規模はM7.7と推定されます。

震源に近いミャンマーで揺れによる被害が大きくなっているほか、震源から約1,000km離れたタイ・バンコクでも建物が倒壊するなどの被害が報じられています。これは遠方に届きやすい「長周期地震動」が影響している可能性が考えられます。

長周期地震動:周期2秒以上のゆっくりとした揺れ

地震波は震源断層の地盤構成や破壊速度の違いによって、いろいろな周期の波が発生します。

周期1秒以下の「超短周期地震動」、「短周期地震動」の場合、建物の倒壊は比較的少ない一方で、屋内の被害が発生しやすくなります。

周期1〜2秒の「やや短周期地震動」はいわゆる「キラーパルス」と呼ばれ、木造家屋など比較的低層の建物に大きな被害を及ぼしやすくなるため、注意が必要です。

周期2秒以上が「長周期地震動」として分類されます。この周期の揺れは高層建築物に影響し、高いビルなどが大きく揺さぶられます。

長周期の波は進行速度が遅く、遠くまで伝播しやすい

震源が浅く、規模の大きな地震では長周期地震動が顕著になる傾向があります。今回の地震は震源の深さが浅く、規模も大きかったため長周期地震動が発生しやすかったと考えられます。

また、長周期地震動は短周期地震動に比べて遠くまであまり減衰せずに伝播します。上の図は日本国内の観測点での微少な揺れの観測状況です。広帯域地震計と呼ばれる特殊な地震計による観測結果で、15時28分すぎから振幅に変化が出ていることがわかります。詳細に波形をみると、様々な周期が混在している中で、周期が10秒以上ある波形もあるように見えます。なお、日本国内では長周期地震動階級1に届くような大きな振幅は観測されていません。

タイ・バンコクでは震源から約1,000kmほど離れていますが、日本よりも震源に近いため、この長周期地震動が比較的大きな規模で伝わったものと考えられます。特に高層建物がゆっくりと大きく揺さぶられ、ビルの上階ではプールの水が飛び出すなどの現象がみられました。これらは長周期地震動の被害の特徴にあてはまります。

気象庁では2023年から、強い地震を検知した際には緊急地震速報で震度だけでなく長周期地震動階級も予測して発表しています。ビルの高層階などで長周期地震動の情報を受け取った場合は、棚や机などの転倒や移動・落下に注意しながら、慌てずに身の安全を確保するようにしてください。

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