2025/02/14 04:57 ウェザーニュース
今日2月14日はバレンタインデー。真冬のイベントとはいえ、季節外れの暖かさや暖房の効き過ぎなどでチョコレートが溶けないか心配になることもあります。立春を過ぎて寒波が日本列島に襲来し厳しい寒さとなりましたが、チョコレート好きの人や運搬に関わる人はホッとしているかもしれません。
チョコレートの種類ごとの溶ける温度、溶けやすい理由、適切な保存方法などを、チョコレート専門店に教えていただきました。今日の気温ではどうなるでしょうか?
なぜ、チョコレートは温度に敏感なのでしょうか。クラフトチョコレート専門店VANILLABEANS(神奈川県横浜市)広報・新井泉季さんによると、「チョコレートが温度に敏感なのは “口溶けのよさ”を特長としていることと関係がある」といいます。
「チョコレートは、カカオマス、ココアバター、砂糖などを主原料とします。ロースト(焙煎)し、カカオ豆の皮を取り除く加工を経てすりつぶしたのがカカオマス、カカオ豆に含まれる油脂分を取りだしたものがココアバターです。
チョコレートの固形を保っているのはココアバターによります。ココアバターにカカオマスや砂糖などが分散し、固まっている状態です。
ココアバターは人の体温に近い温度で溶ける性質があり、チョコレートのなめらかな口溶けのもととなっていますが、暖かい場所などで溶けてしまうことにもつながるのです」(新井さん)
それではどれくらいの温度からチョコレートは溶けるのでしょうか。
「チョコレートが溶ける、つまり液化がはじまったり、形状が崩れる温度は28℃前後です。ただし、チョコレートの種類によって原料の割合が異なるため、温度も変わります」(新井さん)
「一般的なスイートチョコレートでおよそ30℃〜、カカオ濃度の高いダークチョコレート(ビターチョコレート)は32℃〜、乳成分を含むミルクチョコレートは29℃〜、ホワイトチョコレートで27℃〜が溶けてしまう目安です。
気温や室温が22℃以下までであれば、まず溶ける心配はありません」(新井さん)
うっかりチョコレートが溶けてしまったとき、冷やせば固まるのですが、どうも違う味になっている気がします。
「一度溶けて固まったチョコレートは食べることに問題はなくても、風味や舌触りが損なわれてしまいます。チョコレートはとてもデリケートなものです」(新井さん)
もともと溶かして固めてつくるものなのに、一度溶けたチョコレートの味が変わるというのは不思議です。
「チョコレートをつくるには、ただ材料を混ぜるのではなく、長い時間をかけて練り上げるコンチング、調温することでココアバターを安定させるテンパリングなどの工程により、口溶けよく仕上げています。
溶けたチョコレートがただ固まったときは、風味や舌触りが変わってしまうために、もとの美味しさから変わってしまうのです」(新井さん)
では、チョコレートを持ち運ぶことの多いバレンタインに、溶けてしまう不安はどの程度あるのでしょうか。
ウェザーニュースの予報では、今年2月14日は国内で最高気温が22℃を超える地点は予測されていません。最も暖かい予想の沖縄県でも20〜21℃となっていますので、ひとまず外気温でチョコレートが溶けてしまう心配はなさそうです。
溶けるほどの気温にはならなくても、チョコレートを持ち運ぶ際は注意が必要です。
「人間の体温でチョコレートは簡単に溶けてしまうため、持ち運びをする時は自分の体にチョコレートが当たらないように気をつけましょう。例えば、リュックサックにチョコレートを入れて持ち運びする場合は、できるだけ背中から離れたところに入れたほうがよいでしょう」(新井さん)
また、冬は室内の方が気温が高い場合もありますので、保存方法にも注意が必要です。美味しさを損なわないためにはどのように保存すれば良いのでしょうか?
「チョコレートは基本的に常温で保管できる食品ですが、デリケートなので極端な温度変化や直射日光などは避けましょう。保存するときは15℃〜22℃の冷暗所に保存するのをおすすめします。
保管が長期にわたる場合は、密閉できる容器に入れて、冷蔵庫で保管するのがよいでしょう。チョコレートは油分を多く含むため、長時間空気にさらされると、酸化や成分が劣化して風味が損なわれるからです。密閉容器により長期間に冷蔵庫の匂いを吸収してしまうことも防ぎます。
なお、食べるときは室温に少しおいてから口に入れると、口溶けよく感じられます」(新井さん)
チョコレートは、カカオポリフェノールなど含まれる成分の健康・美容効果も注目されていますが、温度管理など注意して美味しく食べきりたいですね。