2024/11/10 10:05 ウェザーニュース
この1週間に国内で観測された有感地震の回数は、前の週とほぼ同じ水準です。東北から関東の太平洋側や北陸周辺で地震が目立ち、硫黄島近海でも地震が多発しました。震度3以上の地震は1回発生しています。(11月4日〜10日10時の集計)
7日(木)7時55分頃、硫黄島近海を震源とするマグニチュード6.3、深さはごく浅いと推定される地震が発生しました。この地震で小笠原村母島で最大震度2、小笠原村父島で震度1を観測しています。
地震のメカニズムは東西方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されています。この地震で小笠原諸島では若干の海面変動の可能性があるとして、津波予報が発表されました。
その後、ほぼ同じ震源でマグニチュード5クラスの地震が相次ぎ、有感地震は合わせて5回発生しています。
硫黄島近海は太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界に位置し、時々大きな地震が起きている領域です。規模の大きな地震は深さ100km以上の深発地震が多く、2000年にはマグニチュード7.9が発生しました。
今回のような浅い地震でマグニチュード6以上は珍しく、深さ50kmよりも浅いものでは1977年まで遡ります。浅い震源で規模の大きな地震が起きると津波が起きる可能性があるため要注意のエリアです。
6日(水)6時42分頃、石川県加賀地方を震源とするマグニチュード3.7、深さ14kmと推定される地震が発生しました。
この地震で石川県小松市、白山市、能美市で最大震度3,石川県加賀地方から福井県、富山県の一部などで震度1〜2を観測しています。石川県加賀地方を震源とする震度3以上の地震は2020年9月以来4年ぶりです。
石川県加賀地方は元日に大きな地震があった能登地方に比べると大きな地震の発生が多くありません。ただ、大きな地震の心配がないわけではなく、1799年には今回の震源に比較的近い所で「金沢地震」と呼ばれるマグニチュード6.0の地震があったと考えられています。
加賀地方には森本・富樫断層帯が分布していて、政府の地震調査研究推進本部は今後30年以内にマグニチュード7.2程度の地震が2〜8%の確率で発生するとしています。能登地方だけではなく、加賀地方も地震に対する備えは欠かせません。
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は1回発生しています。最も大きな地震は南米のチリ沖で発生したマグニチュード6.2です。(硫黄島近海の地震はUSGSはマグニチュード5.9と解析)
日本時間の8日(金)よる、南米チリ南部の沖を震源とするマグニチュード6.2、深さ約10kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは西北西ー当南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されています。
陸地に近い震源でしたが、強い揺れを伴うことはなく、津波の発生はありませんでした。
チリ沖はナスカプレートが南米プレートに沈み込むことによる巨大地震が度々発生している領域です。ただ、今回の地震は多くの巨大地震を起こしたエリアよりも南で、南極プレートと南米プレートの境界にあたります。この周辺ではマグニチュード7を超えるような地震は少なく、最近では2016年、その前は1960年と間隔が空いています。
出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。