2024/09/29 10:09 ウェザーニュース
この1週間に国内で観測された有感地震の回数は、やや少ない水準です。北海道や関東、九州で地震が目立っています。震度3以上の地震は4回発生しました。(9月23日〜29日10時の集計)
24日(火)8時14分頃、鳥島近海を震源とするマグニチュード5.8、深さ19kmの地震が発生しました。この地震で震度1以上を観測した地点はなかったものの、津波が発生し、伊豆諸島と小笠原諸島に津波注意報が発表されました。
観測した津波は伊豆諸島の八丈島(八重根)で60cm、神津島(神津島港)と三宅島(阿古)で20cm、伊豆大島(岡田)、千葉県館山市(布良)、高知県土佐清水などで10cmです。津波による被害はなかったとみられます。
今回の地震はマグニチュード5.8と、通常は津波を起こさないような規模です。ただ、鳥島近海ではこれまでもマグニチュード5クラスの地震で度々津波が発生し、最近では2023年や2018年、2015年に同様のケースがありました。海底の火山活動と関連していると考えられています。
昨年2023年は10月5日のマグニチュード6.5の地震で最大20cmの津波を観測。9日には強い地震がなかったにも関わらず、最大70cmの津波が発生しました。これについて防災科学技術研究所は、海底火山の活動に関連して複数回の津波が発生し、重なり合うことで増幅したとの研究結果を発表しています。
26日(木)16時01分頃、釧路沖を震源とするマグニチュード5.7、深さが59kmと推定される地震が発生しました。この地震で北海道釧路市、根室市、厚岸町、浜中町、標茶町、別海町で最大震度4、北海道の道東を中心に震度3の揺れを観測しました。
釧路沖を震源とする震度4以上の地震は昨年2月以来、約1年半ぶりです。地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、若干横ずれ成分をもつと解析されています。
釧路沖では太平洋プレートが北米プレートに沈み込んでいて、プレート境界周辺での地震が起きる領域です。今回の震源は深さ59kmと、プレート境界と考えられている深さ40km前後よりも深く、プレート内部で起きたとみられます。
近年では1993年に発生した平成5年(1993年)釧路沖地震が良く知られていて、この時はマグニチュード7.5、深さが101kmと今回よりも深い所で発生しました。それでも当時の震度階級で最大震度6の揺れがあり、大きな被害が出ています。
今回の釧路沖を含む千島海溝周辺は巨大地震の発生が懸念され、政府の地震調査研究推進本部はマグニチュード8クラスの地震発生の可能性を指摘しています。こうした地震の機会に避難経路や対策などの確認を改めて行っておきましょう。
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は2回発生しました。最も大きな地震はインド洋で発生したマグニチュード6.3です。
日本時間の27日(金)早朝、マダガスカルの東のインド洋を震源とするマグニチュード6.3、深さ約10kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。
震源の近くに島がないため揺れによる影響はなく、横ずれ型の地震だったことから津波の発生もありませんでした。
今回の震源はインド・オーストラリアプレートとアフリカプレートの境界付近です。プレート同士が離れていく海嶺で、中央インド洋海嶺と呼ばれています。今回の地震は海嶺付近で発達したトランスフォーム断層で発生したとみられ、周辺ではマグニチュード6クラスの地震がしばしば起きています。
出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。