2024/09/13 10:10 ウェザーニュース
秋の味覚の代表のひとつ、梨。上品でさわやかな甘さと、シャリシャリした食感を味わえるのはこの時季だけの楽しみでしょう。
みずみずしい梨は水分が多くてあまり栄養がないのでは…?と思われるかもしれませんが、じつは栄養価が優れた果物だそうです。詳しい話を野菜ソムリエプロの吉田謹子さんに伺いました。
「梨は90%程度が水分です。しかし、残りの10%に素晴らしい栄養成分が含まれています。特に、『キシリトール』と同じように虫歯予防成分として知られる『ソルビトール』は、果物の中でも梨に多く含まれています。このソルビトールには、咳を止めたり喉を潤す効果、解熱作用もあると言われています。
ただし、ソルビトールは摂りすぎるとおなかが緩くなる原因にもなりますので、食べ過ぎには気をつけましょう」(吉田さん)
虫歯予防以外にも、様々な健康効果があるといいます。
「梨には『カリウム』が豊富に含まれています。カリウムは冷房にあたりすぎたり、冷たいものを食べすぎて起こる体の冷えからくるむくみを改善する効果があります。
また、カリウムは塩分を体外に排出する働きがあり、汗をかくからと必要以上に塩分を摂り過ぎた場合に塩分を排出してくれます。
さらに、『アスパラギン酸』も含まれているので、夏バテで疲れた体の疲労回復にも効果的です」(吉田さん)
健康に良いだけでなく、調理に使うことでより料理を美味しくしてくれるそうです。
「梨にはタンパク質分解酵素である『プロテアーゼ』が豊富です。すりおろした梨を肉に混ぜて下味をつけると肉がプロテアーゼの働きによりやわらかくなります。また上品な甘みも加わります。焼肉やバーベキューにはおすすめの隠し味です」(吉田さん)
梨のシャリシャリ食感は、不溶性食物繊維の「リグニン」と「ペントザン」という成分からできた石細胞(せきさいぼう)によるもので、これは腸を刺激し、便通の改善にも役立つそうです。まだまだいろいろな種類の梨が出回ります。栄養豊富な梨をおいしく食べて、暑さで疲れた体を整えましょう。