2024/09/14 08:52 ウェザーニュース
台風は気圧の急激な変化を伴うため、普段は天気痛の症状が出ない方でも体調不良を感じることがあります。
ウェザーニュースでは、2024年8月に関東へ接近した台風7号(アンピル)と鹿児島県に上陸した後、西日本を縦断した台風10号(サンサン)について、どの程度の方が天気痛の症状を感じたのか、アプリ会員の方々と調査を行いました。
複数の日に「天気痛の症状はいかがですか?」と質問し、「今日から痛み始めた」「昨日から痛み始めた」「昨日より痛い」「昨日より痛くない、または天気痛なし」の4つの選択肢から選んでもらいました。
アンケート調査の全回答から天気痛発症率(※1)を調べると以下の様になりました。
天気痛発症率の割合が特に高くなったのは8月16日と29日で、4人に1人が体の不調を感じたことが分かりました。
16日と29日は二つの台風が発達のピークを迎えた日で、16日は台風7号が関東地方に最接近、29日は台風10号が鹿児島県に上陸したタイミングと重なります。
つまり、台風の接近による気圧の急低下が天気痛に影響を与えたと考えられます。
※1)該当日の全回答のうち、「今日から痛み始めた」「昨日から痛み始めた」「昨日より痛い」を合計した値の割合
次に、天気痛発症率に地域差があったのか、エリア別に分析しました。
この時、北日本では秋雨前線が停滞しており、台風による湿った空気が前線を刺激して活発化し、大雨となっていました。北日本は台風本体ではなく、前線接近による気圧低下が天気痛の要因になったと考えられます。
つまり、台風が直接的に影響しない地域でも、間接的な影響によっても天気痛の症状が現れやすくなると言えそうです。
二つの台風で天気痛の強まりや発症があった方に限定するため「昨日より痛くない、または天気痛なし」を除いて集計しました。
「昨日より痛い」の割合の変化をみると、台風7号、台風10号ともに台風本体が接近するにしたがって天気痛の痛みが増す傾向が見られました。
ウェザーニュースのこれまでの調査で、夏は台風が出す微気圧変動(※2)が遠くまで届きにくく、台風接近時の気圧変化で天気痛が起こることが多いことが分かっています。
今夏の二つの台風は、台風が近づいて気圧の変動が大きくなるタイミングで、偏頭痛や関節痛、首肩こりといった症状が強まっており、まさに夏台風による天気痛の特徴を持っていると言えます。
※2)微気圧変動は周期性のある小さな気圧変動です。継続時間は数分〜数十分と短いですが、発生すると1日に複数回押し寄せる場合もあります。
天気痛は気圧の変動や天候の変化に伴って引き起こされる体調不良のことで、頭痛や関節痛、首肩こりといった症状が現れます。
天気痛に敏感な方はもちろん、普段は天気痛を感じにくい方も、台風や急な天候の変化には注意が必要です。天気痛の発症タイミングは人それぞれ異なります。
自分の体の声に耳を傾け、無理をせず適切な対策を取ることで、天気の変化による体調不良を軽減することが可能です。
天気痛の症状が少しでも感じられた場合は、我慢せず、しっかりと休むことが大切です。
▼台風の進路および勢力について
8月14日に東京・小笠原諸島が暴風域に入り、16日に発達ピークで関東地方に最接近、17日は勢力を落とし「非常に強い」から「強い」へ
8月27日に沖縄県や鹿児島県の一部が強風域に入り発達、29日に発達ピークで鹿児島県に上陸、31日には勢力を落とし翌日には熱帯低気圧へ