2024/08/29 11:30 ウェザーニュース
台風10号は暴風域を伴って九州付近を北上しています。暴風の影響は倒木や停電、交通機関への影響など多岐にわたりますが、身近な所では窓ガラスの破損も心配です。
大前提として、暴風の最中に窓を開けるのは厳禁です。それでも窓が割れてしまったらどうするか取材しました。
暴風の最中、窓ガラスが風圧でたわんでガタガタなると不安になります。そんなとき、窓を少し開けると負担がかからないと考え、窓を開ける人がいますが、絶対にNGです。
台風で窓が割れるのは通常、飛んできた物が窓にぶつかって割れるのですが、暴風の最中に窓を開けると気圧差で窓ガラスが割れることがあります。また、窓が割れなくても強い風が吹き込んで天井や屋根が抜けることがあるので、台風時には決して窓ガラスを開けないようにしましょう。
では、飛んできた物が窓にぶつかって割れてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか?
江戸時代から続く設計・施工会社の大和工務店(本社・東京都江戸川区)は、「窓が割れないようにすることが一番大切なので、まずは雨戸やシャッターを閉めて窓割れを防ぎましょう。雨戸などがなければ、ガラスの飛散を最小限にする抑えるために、ダンボールや飛散防止フィルム、養生テープなどで事前に飛散防止対策をしてください」と注意を促します。
「それでも窓ガラスが破損するようなことがあったら、内側から割れた破片に気をつけて、板などでふさげる場合はふさぎます。くれぐれも割れたガラスの破片に注意してください。また、そのような対策が取れない場合は、別のガラスの破損や、天井などの吹き上がりを防ぐため、反対側の窓を少し開けて風を通り抜けさせることも被害を少なくする方法としては有効です」(大和工務店)
また、窓が割れて雨風が吹き込んできたら、思わぬ被害をもたらすこともあります。
「割れたガラスが飛び散り、家の中の物が舞い上がるだけでなく、パソコンや携帯電話がずぶ濡れになって故障することもあります。当社加盟店によると、特に怖いのは、コンセントに雨が入ってショートするケースです」というのは、暮らしの困りごとを解決するプラットフォーム「生活110番」を運営するシェアリングテクノロジー(本社・名古屋市)の広報担当者です。
さらなる被害を防ぐために、電気系統の漏電やショートなどの恐れがあれば、念のためブレーカーを落として台風が通り過ぎるのを待ちます。冷蔵庫も止まりますが、数時間程度ならさほど影響はないでしょう。
「暴風が家の中に吹きこんでいる最中は危険なので、家の中で比較的安全な風呂場やトイレに避難します。風雨が落ち着いてから割れたガラスなどを片付けてください」(シェアリングテクノロジー)
その際には、スリッパか室内靴を履く、手袋や軍手を付ける、子どもがいる場合はガラスが割れた部屋には絶対立ち入らせないといった注意が必要です。
割れたガラスはビニール袋に入れられません。段ボール箱を用意して、そこに割れたガラスを入れます。ガラスの小さな破片は、ほうきとちりとりで掃き集め、さらに小さな破片は掃除機で吸い込みます。掃除機でも吸い込めない細かいガラスは、濡らした新聞紙や雑巾で床をふき、新聞紙や雑巾ごと捨てます。
そのうえで、割れた窓を段ボールで覆って応急の修理をします。
台風が通過したらガラスの修理を依頼しますが、窓ガラスが割れた家が多いと修理に来てくれるまで時間がかかるかもしれません。
窓ガラスの修理を依頼する場合、電話で窓のサイズとガラスのタイプを伝え、ガラス代と施工費の見積もりを出してもらうと安心です。
ところで、窓ガラスの修理に火災保険が使える場合があります。契約内容によって違いますが、台風などの自然災害であれば「風災」として補償してもらえる場合がほとんどです。ただし、「免責」といって、一定額まで自己負担し、それを超えたら保険金が出ることが多いので、契約内容を確認してください。
台風襲来時は木の枝などの飛来物により窓ガラスが割れる危険があります。飛ばされやすいものは屋内へしまうことはもちろん、雨戸やシャッターを閉めることも忘れずに。もし窓ガラスが割れても、ここで紹介した方法で慌てずに対応してください。
「台風時の強風災害に対する対応」(京都大学防災研究所監修)