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実は益虫? 見た目で嫌われがちなヤスデの生態や対策

  • 2024年7月28日
  • ウェザーニューズ

実は益虫? 見た目で嫌われがちなヤスデの生態や対策

2024/07/28 05:00 ウェザーニュース

家の石垣の間や落葉などでヤスデを見つけて息を呑んだことはないでしょうか。

⾍ケア⽤品最⼤⼿のアース製薬にヤスデの⽣態や対策について教えていただきます。

ヤスデは益虫? それとも害虫?

ヤスデは、多数の足がありグロテスクな姿なので、見つけると気味悪く感じる人が多い虫の1つです。「毒を持っていそう」「ヤスデってムカデの幼虫?」という誤解もあるようです。

「ヤスデはムカデと形は似ていますが、生物の分類上はヤスデ綱(こう)とムカデ綱という別の仲間。ヤスデは、刺したり咬んだりして人に危害を加えることはありません。

見た目には、胴部の1節あたりの肢の数がヤスデは2対(4本)、ムカデは1対(2本)。触ると体を丸めるのがヤスデ、丸まらないのはムカデです(ムカデには直接素手では触らないようにしましょう)。ヤスデは集団発生し、不快な臭気を出します」

ヤスデは、本来家の中に好んで入ってくる生き物ではないといいます。

「ヤスデは、森林周辺の落葉、朽木や倒木、石垣の隙間など、湿気が多い環境に生息します。そのため元々雑木林や畑だったところに建てられた家などは、ヤスデが発生しやすい環境といえます。ヤスデの幼虫は土中で腐植質を食べて成⻑し、種類によっては5月末〜7月初旬、特に梅雨明けの季節に地上に多く発生します」

つまり、土中や地上のジメジメしたところで、朽ちかけの落ち葉などを食べる“掃除屋”。人に危害を加えることもないので、益虫と言えるのです。ただ、⾒た⽬や臭いなど嫌がられることから “不快害⾍”と呼ばれています。

ヤスデ"大量発生"の理由

なぜ、ヤスデは⼤量発⽣したりするのでしょうか。

「ヤスデが生息しているところに雨が溜まって水没すると、地上に出てくることがあります。過度の湿気などへの逃避行動のようです。また、繁殖期や越冬前にも集団を形成することがあります。

大量発生の例では、電車を止めてニュースになることもある『キシャヤスデ』があります。過去に線路上のヤスデを引いた汽車がスリップして動けなくなったことが、キシャヤスデの名前の由来です。

キシャヤスデは周期的に大量発生しますが、これはキシャヤスデが卵から成虫になるのに7年もかかるためです。大量発生の要因については諸説ありますが、8年目に成虫が交尾相手を探すために地表へ出現するためであったり、生息地の個体数が過密になることによって、密度調整をするために集団での移動行動が誘発されるようです。それが、ときには列車を停めてしまうほどの大群になってしまうのです」

ヤスデの侵入を防ぐには

特に人に危害を与えるものではないとわかっていても、ヤスデに出会うのは避けたいものです。できるだけ家の周囲でヤスデが増えないように落葉を掃除したりヤスデの好むジメジメした環境を減らします。ヤスデは、⽞関や窓のほか、ちょっとした隙間から家の中に侵⼊して畳の上を這ったり、壁を這い登ったりもします。

「家や庭の周りには粉剤(駆除剤)を撒いておくと家の中には侵⼊しにくくなります。撥水性パウダー配合のものは、雨や湿気で効果が落ちにくいためオススメです。

駆除剤を撒きたくない場合など、毒餌剤を置くのも効果があります。容器タイプなら、お子さまやペットのいる家庭でも安心してお使いいただけます。

屋内などでヤスデを見つけた場合は、速効性のあるエアゾールタイプの駆除剤が使えます。くん煙剤ならば、屋内に侵⼊し物陰に隠れたヤスデまで部屋ごと駆除できます」

ヤスデの産卵期は8月〜9月。今のうちに家の周囲の対策をしておくことで、遭遇機会を減らす効果が期待できます。この時期ヤスデに悩まされていたら、上手に対処して大量発生や家への侵入を防ぎましょう。

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