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修学旅行、行き先はどう決まる?学びの費用は全体のわずか10%~みんなの修学旅行~

  • 2018年10月11日
  • Walkerplus

修学旅行の疑問をひも解く連載「みんなの修学旅行」。

修学旅行にはある程度“選ばれるエリア”というものが存在する──。

では、なぜそこが選ばれるのか?旅行先を決定する要素やお金の内訳が気になるところ。この点について、公益財団法人 日本修学旅行協会の竹内秀一理事長に話を伺い、修学旅行の行く末についても聞いた。

■ なぜそこに行くのか?しっかりとした理由付けが必須

修学旅行先の決定について、市町村単位で連合を組むこともあるが、基本的には各学校の判断によるところが大きい。竹内氏によると、学びの要素とともに判断材料とされるのが、保護者に対して説明ができる場所を選ぶことだという。

「修学旅行先が決まると、保護者に対して説明会があります。そこでは『なぜそこに行くのか?』という質問を保護者の方々が必ずします。修学旅行は遊びではなく学びの場ですから、学校としてもまずは納得・理解してもらえる場所を選ばなければいけないのです」

そしてもう一つ影響を与えるのが、交通の便だという。

「交通の利便性というのは非常に大きいですね。公立の場合、中学校の場合は2泊、高校の場合は3泊が最も多く、予算も上限が決められています。ですので、飛行機が使えない場合は発地によっていける範囲が限られてきますから」

加賀百万石で知られる石川県をはじめ、歴史的な名所が点在する北陸地方。それでもあまり修学旅行先に選ばれているイメージはない。その理由も、交通網が一つの原因として考えられるという。

「例えば、首都圏から金沢(石川県)に新幹線で行くとします。北陸新幹線が開通する前は、一度東海道新幹線で米原(滋賀県)まで行ってから北陸に向かうので、ものすごく時間がかかりました。また、北陸新幹線の開通後も、修学旅行割引という設定がありませんでした。乗車券は学生団体割引であれば中学生は半額ですが、特急料金まで割引になるというのは専用列車を利用した場合に限ります。ですが、その設定が北陸新幹線にはありませんでした。となると、京都に比べて北陸までの場合、特急料金が倍かかってしまう。この辺りも影響していたのではないでしょうか」

■ 体験に分配される割合は全体の10%!?

公立校の場合、予算の上限が決められているという話をしたが、そこで近年、修学旅行にも影響を与えているのがバス料金だという。

「修学旅行では空港や駅から目的地までの移動手段として、やはり最終的にはバスが利用されることが多いです。でも、最近は修学旅行で利用するバス料金も上がっているのです」

修学旅行の限られた予算ではこの点がネックになると竹内氏はいう。

「もちろん、生徒の安全が第一ですが、費用面でいえば交通費と宿泊費で全体予算の約4分の3が占められてしまいます。これは中学も高校も同じです。でも、学校としては現地で何を体験させるのかが重要なんです。そのため、なるべく体験の費用を確保したいのですが、残りの4分の1にもいろんなものが入ってくるので、実際体験に回せるのは10~15%ほどになってしまいます。では近い場所であればいいか、というものでもありません。そういう意味で、交通費と宿泊費の負担は非常に大きいといえますね」

また、修学旅行はそれなりの金額になるため各家庭への負担も大きい。

「特に中学校は義務教育なので、基本的に全員に参加してもらうという観点から考えます。現在、公立中学校ですと1家庭あたり全国平均でだいたい6万円前後ですが、それでもご家庭によっては厳しい。しっかりと学べて、なおかつ安全で全員が参加できる修学旅行の実施に向けて、日本修学旅行協会も中心となって、文科省や財務省に陳情は行っています。現状でも補助金は出ていますが、それでもこうした状況を踏まえるとまだ経費に見合うだけの補助金が出ているとはいえないでしょう」

■ 今後は修学旅行先として北陸が人気になる兆しあり!

それでは今後、修学旅行先の選択にどのような変化が出てくるのだろうか?竹内氏に疑問をぶつけてみた。

「先ほどの北陸でいえば、今回、JRで北陸も半額の対象になることが決まりました(31年度から実施)ので、おそらくこれからは関東から北陸に向かう学校が少しずつ伸びていくのは確実だろうと考えられます。逆に北陸の学校の場合、今までは特急1本で関西に行けたので、ほとんど関西が選ばれていましたが、今後は東京に来る可能性も高いのではないでしょうか。ただし、修学旅行先というのはいきなり急上昇するということはないので、まだそこまで大きな流れではなく、徐々にということになるかと思います」

修学旅行先の選定、そこにまつわる知られざるお金の問題、そして今後の展望を掘り下げた今回。次回は、変化が見られつつある修学旅行の目的に迫る。(東京ウォーカー(全国版)・安藤康之)

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