
SNSで自身の体験を中心に漫画を描いているけろちゃんさん。なかでも新卒で入った会社でパニック障害と適応障害を発症し、ニートになるまでの体験を描いた作品には大きな反響があり、「休職中の生活」や「職業訓練校で学んだこと」などの描きおろしを加えて電子書籍化された。
本記事ではその電子書籍「とりあえず生きてる! ~新卒1年目で心を病んだニートが社会復帰した話~」から一部抜粋・編集してご紹介。今回は、入社から半年ほどが経ったころの出来事について。
自分の仕事が終わり定時で帰ろうとしたある日、上司から「先輩たちが残業してるのに新人が先に帰ったら感じ悪いし、反感買うよね」と言われ、この日を境に業務量は増加。
さらに先輩からは、「トイレに行く回数が多いので、報告してから行ってもらっていいですか?」と言われる。
■心と体を壊してまでやらなくてはいけないことなんて、何もない
まずは自分の体験を漫画にしようと思ったきっかけについて聞いてみた。
「退職し体調もよくなってきたころ、さまざまな体験が綴られたコミックエッセイを読み漁っていて、勇気づけられていたんです。時間だけはたくさんあり、何かを始めてみたかったので、自分でも描き始めることにしました」
当時の会社について、今どのように感じているのだろうか。
「よい悪いは別にして、会社の考え方から大きく外れている人間を会社側に正そうと注意するのは、当然かなと思います(トイレの回数の記録は、流石にやりすぎですが…笑)。なので今の私なら、波風立てないためにとりあえず会社の言う通りに従って、水面下で転職のための行動を起こすと思います。もし転職活動する気力が残っていない場合は、心が壊れる前に辞めます」
けろちゃんさんはこの漫画を読んだ人に、伝えたいメッセージがあるという。
「『心と体を壊してまでやらなくてはいけないことなんて、何もない』ということを一番伝えたいです。仕事にせよ何にせよ、人生において心身の健康よりも大切なことはありません。また、当時は『当たり前のことができない=悪』だと思い自分を責めていましたが、人それぞれに適材適所があるので、自分にしっくりくる場所を見つけるのが一番ではないでしょうか」
上司や先輩の言葉にモヤモヤしつつも、働き続けたけろちゃんさん。やがて会社への居づらさやストレスは限界に達し、体調にも変化が出始める。波乱万丈の実体験を描いた漫画を、今後も楽しみにしてほしい。
取材・文=石川知京