アメリカで年間4000冊が消された!?禁書とされた絵本からアメリカの今を読み解く書籍「絵本戦争」とは?

  • 2025年2月8日
  • Walkerplus

ニューヨーク在住ライターの堂本かおるさんによる「絵本戦争 禁書されるアメリカの未来」が、2025年1月28日に発売された。黒人、LGBTQ、アジア系、アメリカ先住民…。アメリカでは今、マイノリティを描いた絵本が次々と禁書(発売・発行禁止)され、子どもたちの想像力を奪っている。
堂本かおる著「絵本戦争 禁書されるアメリカの未来」
堂本かおる著「絵本戦争 禁書されるアメリカの未来」


非営利団体「ペン・アメリカ」によると、2023年度に、前学校年度の2.7倍にあたる4231種類の本が禁書に指定されている。アメリカで今、何が起きているのか?

この禁書運動は、2021年に突如として始まる。ターゲットになっているのは、禁書運動を推進する保守派の親や政治家が理想とする“古きよきアメリカ”にとって都合の悪い、子ども向けの本の数々。

「絵本戦争 禁書されるアメリカの未来」では、黒人、LGBTQ、女性、障害、ラティーノ/ヒスパニック、アジア系、イスラム教徒、アメリカ先住民の8つのトピックに分けて、禁書運動の犠牲となった絵本を一冊ずつ紹介。マイノリティの苦難の歴史と、その中で力強く生きる姿、そして深刻化している政治的な対立〈文化戦争〉の最前線を読み解いていく。

ドナルド・トランプ大統領の第二次政権が始まった今、読んでおきたい注目の書だ。

■禁書となった絵本の一例
【画像】禁書となった絵本、Matthew A. Cherry著「HAIR LOVE」
【画像】禁書となった絵本、Matthew A. Cherry著「HAIR LOVE」

「HAIR LOVE」(Kokila)
著:Matthew A. Cherry
画:Vashti Harrison

父親が苦心して自身の娘の髪をセットする様子が描かれた絵本。黒人は、白人と同じ髪形を強要されてきた歴史がある。黒人文化にとって髪がいかに重要であるのかを知ることができる。しかしこれも一部地域で禁書対象となっている。

Justin Richardson, Peter Parnell著「and Tango makes three」
Justin Richardson, Peter Parnell著「and Tango makes three」

「and Tango makes three」(Simon & Schuster Books for Young Readers)
著:Justin Richardson, Peter Parnell
画:Henry Cole

オスのペンギンカップルが、卵を温めう化させ、生まれたヒナと家族になったという実話に基づく絵本。同性愛を思わせることを理由に禁書となっている。日本では、ポット出版から「タンタンタンゴはパパふたり」として刊行。

Yamile Saied Mendez著「Where Are You From?」
Yamile Saied Mendez著「Where Are You From?」

「Where Are You From?」(HarperCollins)
著:Yamile Saied Mendez
画:Jaime Kim

「どこから来たの?(Where Are You From?)」は、移民が頻繁に浴びせられる質問だ。今や黒人の人口を抜き、アメリカで最大のマイノリティグループとなったラティーノ/ヒスパニック。冒頭の問いを繰り返し尋ねられたラティーノの女の子が、自身のアイデンティティについておじいちゃんに尋ねる絵本。これも禁書となった絵本の一冊。

■書誌情報
「絵本戦争 禁書されるアメリカの未来」
著:堂本かおる
定価:2700円+税
発売:2025年1月28日
装画:花松あゆみ
デザイン:戸塚泰雄
判型:四六判並製
ページ数:200ページ

■著者プロフィール
堂本かおる(どうもとかおる)
大阪出身、ニューヨーク在住。 CD情報誌の編集を経て1996年に渡米。ハーレムのパブリックリレーション会社インターン、学童保育所インストラクターを経てライターとなる。 以後、ブラックカルチャー、移民/エスニックカルチャー、アメリカ社会事情全般について雑誌、新聞、Webに執筆。

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