
身長170cmのヒロイン・ひなの片思いの相手は、低身長男子だった。ひなは下校時の靴箱で彼と友達が談笑する声を耳にした。「自分よりデカい彼女とかねーわ」「あーそれな」。その話を耳にしてその場にヘタりこむひな。「やっぱこんなデカい女、イヤかぁ」と落ち込むのだった。
好きになった相手より背が高い自分にコンプレックスがあった / 夏野ばな菜(@NatsunoBanana)
これまでも教室で後ろの席になった男子に「黒板見えんし。もうちょいかがめや」と言われることも、体育の授業で「男の試合に出ね~?」と声をかけられることも、名前のことで「“ひな”ってあのデカさでー?ダチョウのヒナじゃね」と笑われることも、同じ年の女子から「おねーさま」と呼ばれることもあったが、受け止めてきた。でも、好きな男の子の言葉は「さすがにヘコむなぁ」と思わず涙がポロリ。
高身長女子の悩みあるある! / 夏野ばな菜(@NatsunoBanana)
本作の作者は、夏野ばな菜(@NatsunoBanana)さん。漫画を描くことが好きで、現在は企業漫画や子ども向け学習図鑑の挿絵などの仕事をしつつ、「ジャンプルーキー!」にオリジナル漫画を掲載している漫画家だ。夏野ばな菜さんに本作について話を聞いてみた。
太っていたら痩せる努力はできるが、伸びてしまった身長は悩んでもどうにもならない / 夏野ばな菜(@NatsunoBanana)
――高身長女子をヒロインに漫画を描こうと思ったきっかけは?
けっこう“あるある”なんじゃないかと思いまして!だからこそ、ヒロインと同じ悩みを抱えている人は多いんじゃないかなと。私の言葉が届くかどうかはわかりませんが、少しでも「それは個性であってウィークポイントなんかじゃないよ」と言いたかったです。結局ないものねだりで、身長が低いと背の高い女性に憧れたり。違う角度から見ると、憧れられる存在なんですけどね。
――ストーリーについての感想はもちろんですが、読者から登場人物の名前について「魚見さんて日本に510名しかいない名字ですね」「大下を“おおじも”と呼ぶのも珍しいですね」という声が届いていましたね!
実は、うちの近所の住所です。作品で苗字を考える際には、遊び心を加えて考えてます。
――ということは、ほかの作品でも、でしょうか?
はい。「SS」「SSS」という作品では、ABCDEFGHとアルファベットでつけてます。江井・備井・椎・出居・井伊・衛府・時位・英知という具合に。でも“名は体を表す”というので、本作品のヒロインは、「背が高いことを悩む、純粋でやさしい・かわいらしいヒロイン」として、下の名前は「ひな」というかわいい名前をつけました。
思わず涙がこぼれてきたところに…!! / 夏野ばな菜(@NatsunoBanana)
夏野ばな菜さんは現在「ジャンプルーキー!」にて「SSS」という漫画を連載中。どんな作品か尋ねると、「楽しい職場と愉快なサラリーマンたちが繰り広げるラブコメディがスタートで、現在は登場人物たちが結婚し、家族が増え…そんなにぎやかな日常を描いています」とのこと。「SSS」も人間の内面や人と人のつながりを描いた人間味あふれる物語となっているので、本作を読んで夏野ばな菜さんの作品が気に入った人はぜひ読んでみて!
取材協力:夏野ばな菜(@NatsunoBanana)