
聞こえてはいるが、言語として把握することが難しい / 画像提供:雨桜あまおう(@amaousansan)
「聞こえている」のに「聞き取れない」「聞き間違いが多い」など、聞き取るのが困難な症状を「聞き取り困難症(LiD)」もしくは「聴覚情報処理障害(APD)」という。この症状は通常の聴力検査では異常が発見されず、難聴ではないとされる。しかし、耳から入った音の情報を脳で処理、理解する際に、なんらかの障害が生じている状態で言語として認識できない状態だ。そんな生活を送る高校生を描いた、雨桜あまおう(@amaousansan)さんの創作漫画「聞き取りが苦手すぎる男子の日常」を紹介する。
■ちゃんと聞こえているのに…「いつも話聞いていない」と言われてしまう
【漫画】「聞き取りが苦手すぎる男子の日常」を読む / 画像提供:雨桜あまおう(@amaousansan)
聞き取りが苦手すぎる男子の日常1(2) / 画像提供:雨桜あまおう(@amaousansan)
聞き取りが苦手すぎる男子の日常1(3) / 画像提供:雨桜あまおう(@amaousansan)
「聞き取り困難症(LiD)」もしくは「聴覚情報処理障害(APD)」に片足を突っ込んでいる主人公・橘結友。教室などのガヤガヤした場所では、しばしば相手の話が理解不能となる。「必殺!テキトー相槌&愛想笑い」を試みるも、状況と合わないことも。音声は聞こえているので、聴力には問題はない。ただ、聞こえているのに、言語として把握することが難しいのだ。
このテーマの作品を描いたきっかけにについて「私自身、聞き取る力が少々弱めのようで、『日本語のはずなのに、理解できない謎言語のように聞こえてしまう』ということが日常的にあります。そういう下地がある中で、ふと『聞こえの感覚を物語にしてみようかな』と思い立ち、漫画を描いて公開するに至りました」と雨桜さんは語る。
本作を描く際に意識したことについて「明るく軽やかに描き、読者が肩肘張らずに読める――ということを意識して制作しました。大変な生活=常につらくて、苦しくて、悲壮感が漂っていて、真面目で深刻(じゃないといけない)……という捉え方は、あまり自分の肌と作風には合わないので」と語る言葉からは、雨桜さんの前向きな姿勢が感じられる。
最後に読者へのメッセージとして「『世の中にはいろんな人がいて、いろんな感覚を持って生きているんだなぁ』と想いを馳せるきっかけになれたら……と思いますが、作者のメッセージを押し付けるのもアレなので、好きなように読み、楽しみ、読者の方それぞれの解釈で『何かを得ていただければ…!』と思います」と話し、作品を通して困っている人への理解を広げたいという思いが伝わってくる。
取材協力:雨桜あまおう(@amaousansan)