
新潟・新発田に誕生したサウナ施設「sui」
近年、さまざまなサウナが登場し、サウナ好きはもちろん、新しい体験をしたいという好奇心旺盛な人たちの気持ちをも誘う施設がオープンしている。昨年、オープンした「sui(スイ)」もそのひとつ。自然の中で体験するサウナは、都心部にあるビルの中のサウナやスーパー銭湯とは違った魅力がある。
■構想から3年!古民家の庭にあるバレルサウナ
地元の建設会社が作ったバレル=樽型のサウナ
新潟・新発田市にオープンした「sui」は、古民家をリノベーションした施設にある。JR新発田駅からはバスかタクシーを利用して約15分。瓦屋根の日本家屋は一般的なサウナ施設とは異なる趣。1回の利用は2時間30分で完全予約制。公共交通機関を利用する場合は、電車の時間や移動時間も考えて余裕をもって予約しよう。
ポンチョやタオルセットの貸し出しもある
古民家に入り、玄関にある受付で手続きをする。ここにあるのは、水着着用、男女共用のバレルサウナ。タオルセット(330円)や水着(男女各550円)、ポンチョ(550円)はレンタルもあるが、タオルセットはバスタオルとフェイスタオル1枚ずつとサウナマットのセットなので、サウナでタオルを使いたい、ヘアドライにタオルが欲しいなど、追加でタオルを使いたいという人は持参がおすすめ。
有料レンタルの女性用水着
水着もサイズや形に好みがあるようならマイ水着を持って行くのがいい。特に男性はレンタルの場合、Tシャツ型水着になるので、着慣れたものを持参したほうがいいかも。ポンチョは暖かい時期にはなくてもいいが、冬場は必需品。こちらもレンタルできるが、大きめのパーカーやバスタオルなどを持参してもいい。
ロッカーはシンプルなつくりになっている
更衣室にはドライヤーや化粧水、乳液が置いてある
さて、受付を済ませ、レンタルするものを受け取ったら更衣室へ。棚と鏡台があるシンプルなつくり。鍵付きのロッカーではないので、貴重品は受付に預けるのを忘れずに。更衣室からサウナまで少し距離があるので、タオルやポンチョなどはあらかじめサウナエリアに持参するのがいい。
■3つのシェアサウナと2つのプライベートサウナ
断熱性が高く、110度まで上がるバレルサウナ
ここであらためて、バレルサウナについて。バレルサウナは樽型のサウナ小屋のこと。木で作られた円柱、つまり、樽(バレル)を横に倒したような形状だ。天井がカーブしているため、ロウリュをすると蒸気がサウナ室を包み込むように流れ、効率よく温められるのが特徴。熱も湿度もサウナ室内を巡るため、快適にサウナが楽しめる。
自然の中でサウナ体験ができる
古民家の横に広々としたウッドデッキがあり、そこにバレルサウナが5台並んでいる。うち2つはプライベートサウナで貸し切り利用専用。今回、入ったのは1台定員6人のシェアプランのバレルサウナ。1人から予約可能で、男女で利用できる。カップルやファミリー(中学生以上)で一緒に入れるサウナは貴重。ただ、こちらは貸し切りではないので混雑時は相席ならぬ“相サウナ”になる可能性がある。
サウナ室は定員6人で座ってもゆったりしている
地元の建築会社・熊谷建設が雪国の住宅づくりで培った二重構造の断熱技術を活かして作ったバレルサウナは、サウナ室を最高で110度まで上げられる。もちろん、ある程度の調整は可能なので、低めがいいという場合は予約時にそのむね伝えておけばOK。この日は100度前後でしっかりと熱さを感じられる仕立てに。しかも、出入口が二重扉になっていて熱が逃げにくくなっているのもポイントだ。
サウナストーブは専門のスタッフが管理してくれる
もちろんセルフロウリュもOKなので、自分でアロマ水をサウナストーンにかけることでサウナ室内の温度を調整できる。ここで注意したいのが“相サウナ”だった場合。一緒にサウナに入る人がいる場合は、ロウリュの際に声をかける、ドアの開閉も素早くするなど配慮が必要。もし、自分たち以外に誰もいないラッキーな貸し切り状態だった場合は、自分のペースでロウリュを楽しんだり、熱いと思ったときにはバレルサウナのドアを開けておいたりしながら過ごしやすい温度に調整するのもアリだ。
セルフロウリュで体感温度がグッと変わってくる
実際に入ってロウリュをするとあっという間にサウナ室に蒸気が広がって、丸い天井にそって蒸気が下りてくるのがわかる。息苦しさはなくしっかり汗をかいているのがわかり、気持ちがいい。あまり熱いのが苦手という場合はサウナハットをかぶったり、鼻や口元をタオルで覆ったりするのもおすすめ。逆に冬場は体が冷えているので、思った以上にサウナに長く入れてしまうことも。長時間入ることで体に負担がかかっている場合もあるので注意しよう。
■井戸水を使った水風呂は硬度17度の軟水
贅沢すぎる軟水の水風呂
「sui」に来たらぜひ体験したいのが井戸水を使った水風呂。チラーなどを使った温度調整は行っておらず、井戸水そのままの冷たさ。年間を通して約15度という水風呂は慣れていないと冷たく感じるかもしれないが、硬度17度という軟水のせいか、まろやかで肌当たりが柔らか。“飲める水風呂”というだけあって、全身で感じる特別感がある。バレルサウナでしっかり温まった体にはご褒美的存在。水風呂のあとは体をよく拭いて森林浴休憩。
水風呂には飲める水を使っている
水風呂が苦手という人は、サウナから出たら汗を流してそのままととのい椅子で休憩しよう。体が濡れていると冷えるので体はよく拭いてから。木々に包まれた空間で自然の風を感じながらゆっくりとクールダウンして、森林浴を楽しむのもおすすめだ。冬は雪が降ることが多い地域なので、ポンチョを羽織って外気浴をしたり、内気浴スペースで天候や気温を気にせずゆっくり休憩したり、思い思いに過ごそう。
時期によって内容が変わるオリジナルデトックスウォーター
サウナの合間の水分補給はオリジナルのデトックスウォーター。東京都内のレストランで総料理長を務めたフレンチシェフが考案したドリンクで、玄米ほうじ茶をベースに季節のフルーツを使ったもの。施設の都合によって提供できない場合は冷水を設置。いずれも無料で自由に飲むことができるので、しっかり水分補給しよう。また持ち込みもOKなので、お気に入りのドリンクがあれば持参することもできる。
風や季節の空気を感じながら休憩する至福の時間
冬は雪景色の中でサウナが楽しめる
サウナ→水風呂→外気浴(内気浴)を繰り返し、自分が気持ちいいと思う時間を自然の中で過ごす。これぞ「sui」の醍醐味。サウナの利用は2時間30分の時間制だが、時間を忘れて自然を感じながらサウナを楽しめるのは新潟まで足を運んだ甲斐があるというもの。バレルサウナは木の香りとぬくもりをも感じられ、体をしっかり温めることができ、まろやかな井戸水の水風呂は全身を柔らかく包み込む。自然の中で身も心も解放される贅沢を体験できる。
最後は温かいシャワーを浴びてから着替え
サウナから更衣室まで建物内の移動だが、やや距離があるのと、更衣室内のシャワーを浴びることを考えると、レンタルするとしてもできれば余分にタオルがあると便利。車で行くならいつもより1~2枚多くタオルを持って行くといい。
サ飯としてキーマカレーが食べられる
サウナのあとは古民家の休憩室でサ飯として提供されている「スパイシーキーマカレー」(1400円)でおなかを満たそう。新潟県産の香味野菜やトマト、豚・牛ひき肉を使ったキーマカレーは、ルーを使用していないグルテンフリー。事前予約をすると100円お得になる。サウナと同時に予約しておくのがおすすめだ。
ウッドデッキに寝ころんで空を見上げてみよう
街なかのサウナとは違った魅力のある「sui」。バレルサウナや井戸水の水風呂といった体験も普段はなかなかできないもの。旅行に行く予定がある人も、サウナをきっかけに旅をする人も、たまにはいつもとは違う自然の中のサウナを選んでみては。
取材・文=岡部礼子
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