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『魔導物語 フィアと不思議な学校』インタビュー【前編】 安井光プロデューサーに訊いた、数十年ぶりの正統新作のきっかけや、主題歌に「キミのね」抜擢の舞台裏

  • 2025年2月7日
  • Walkerplus

2024年11月28日にコンパイルハートが発売したRPG『魔導物語 フィアと不思議な学校』(Nintendo Switch(TM)/PS(R)5/PS(R)4)。1989年に産声を上げ数々のシリーズ作が発売され、派生作品「ぷよぷよ」も大ヒットした「魔導物語」シリーズの、数十年ぶりとなる正統新作だ。

今回、本作のプロデューサー&ディレクターを務めるアイディアファクトリーの安井光さんと、オープニングテーマ「アソベンチャー」とエンディングテーマ「纏うものがたり」を担当したキミのねの3人(つむぎしゃちさん、大谷舞さん、久下真音さん)にインタビューを実施。前編では安井さんを中心に、数十年ぶりとなる魔導物語最新作のきっかけや見どころ、30年以上の歴史を持つシリーズの主題歌に新進気鋭のキミのねを抜擢した経緯について話を聞いた。
「魔導物語」シリーズ正統続編は大魔導師を目指す主人公・フィアの青春あり・冒険ありの学園生活
「魔導物語」シリーズ正統続編は大魔導師を目指す主人公・フィアの青春あり・冒険ありの学園生活


■数十年ぶりの「魔導物語」正統新作
「魔導物語 フィアと不思議な学校」プロデューサー兼ディレクターの安井光さん
「魔導物語 フィアと不思議な学校」プロデューサー兼ディレクターの安井光さん


――「魔導物語 フィアと不思議な学校」は、数十年ぶりとなるシリーズ新作タイトルです。はじめに、制作のきっかけを教えてください。

【安井】魔導物語シリーズは、当時のコンパイルが制作したRPG「魔導物語 EPISODE II CARBUNCLE」(1989年リリース)からはじまりました。僕らが今回企画を立ち上げるにあたっては、本当に数十年ぶりに復活させる形でした。魔導物語の権利元であるD4エンタープライズさんと、ぷよぷよの版権を持っていらっしゃるセガさんご協力のもと、旧コンパイルで過去の魔導物語に携わったクリエイターの方たちに集結していただいて、今回作ったのが「魔導物語 フィアと不思議な学校」となります。

――魔導物語シリーズの中にはパラレル設定の作品もありますが、本作の位置付けはパッケージ製品としては初代となる「魔導物語1-2-3」(1990年発売)に連なる正統派の続編なんですね。

【安井】そうなります。

――本作はどんな作品になっているのですか?

【安井】魔導物語を新しく仕切り直すというところで、まずフィアという女の子が新しい主人公になっています。旧魔導物語から引き続き古代魔導学校を舞台に、フィアや周りの愉快な仲間たちが織りなす学校生活や、先生たちとともに学びながら戦って成長していく物語をRPGとして描いている作品になります。
「魔導物語」シリーズ正統続編は大魔導師を目指す主人公・フィアの青春あり・冒険ありの学園生活
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――本作ならではの見どころを教えてください。

【安井】主人公フィアと、ウィル、リーナ、トット、エスカという4人の仲間が出てくるんですけど、この4人もちょっと癖がある感じのキャラクターなんですね。物語を進めていくと「こういうことだったのか!」と、それぞれが抱えたストーリーが分かっていくところを4人ともが持っています。フィア自身も、そうした仲間との冒険の中で成長していく物語になっているので、そこはストーリーでの見どころかなと思います。

それと今回、魔導物語を新しく作り直す上で、昨今の時流に合わせたゲームシステムに調整しているところもありますし、シリーズ特有の“遊び”ももちろん入っていますので、ご注目していただけたらなと思います。

――家庭菜園や釣りなど、ミニゲームも豊富だそうですね。

【安井】学校内で遊びがけっこうたくさん入っているので、遊びに関しては尽きないなと思います。また、学校を探索するだけで魔導物語の雰囲気を感じることができるというか、先生に話しかけたり、いろんなサブミッションにトライすることで「なるほど、古代魔導学校にはこんな秘密が隠されていたのか」というところも感じ取ることができます。先ほどお話ししたメインストーリーだけではなくて、脇道を遊んでいくことでより世界観が広がるかなと思いますね。
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――いわゆるJRPGの王道的イメージは「冒険の旅」ですが、本作は学校生活を軸に進んでいくんですね。

【安井】ダイナミックな世界の危機とか起きるお話ではないんです。ありふれた日常なんだけども、何気ない会話だけでもちょっと楽しいみたいなところが散りばめられているのでそういったところを楽しんでいただけたらなと思います。反面、ストーリーも後半になるにつれて展開も少しずつ激しくなっていきますし、仲間たちの秘密も明るみになっていくので、そうした変化も見どころです。
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■「ぷよぷよ」キャラも登場!シリーズ初心者でも楽しめるポイント満載

――本作には「カーバンクル」や「ぷよ」など、魔導物語はもちろん「ぷよぷよ」シリーズでもおなじみのキャラクターも登場します。その中で、本作オリジナルのキャラクターはどのように生み出していったのでしょうか?

【安井】まず、本作に魔導物語として正統性を持たせるという意味もあり、セガさんの協力のもと、ぷよぷよからキャラを8種登場させています。これはこれまでの魔導物語シリーズのキャラでもあるのですが、ネーミングや設定を見ても、面白いキャラクターが多いんですよ。ですのでオリジナルの敵キャラクターも、そうした部分を意識して作っていきました。

フィアや仲間たち、先生などの人物は魔導物語のハチャメチャな世界観があるので、その中で生き生きと活躍する“はっちゃけた”ような感じでキャラクター設定をしていった感じです。

――会話劇やドタバタな世界観も、魔導物語シリーズの魅力を継承しているんですね。

【安井】そうですね。そこは意識して作った形ではあります。

――30年以上の歴史があるシリーズだけに、本作が魔導物語シリーズ初挑戦というプレイヤーも多いと思います。そんな方に「魔導物語らしさ」を楽しめるポイントを挙げるなら?

【安井】さきほど申し上げたように、フィアたちの通う古代魔導学校はシリーズを通してずっと存在する舞台です。それだけに、学校内にはこれまでの魔導物語のエッセンスを詰め込んでいるんですね。そこに主人公のフィアが新たに入学するというのが本作のはじまりなので、まだまだ何も知らないフィアと同じ目線で、シリーズが初めての方でも本編だけでなくシリーズの魅力を楽しむことができる内容になっているかなと思います。
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――そうしたエッセンスは、従来のファンからしてもニヤリとするものが多そうです。

【安井】そうですね。カレーであったり、「ばたんきゅ~」のように過去使われていたワード、ダイアキュートをはじめとする魔法など、旧魔導物語で培われた世界観を壊さず継承しながら作った部分が大きいです。

そして、ぷよキャラが今回登場しているのはやっぱり大きいかなと思うんですよね。スケルトンTやすけとうだらのように、もともと魔導物語にいたキャラクターが今回登場していることによって、旧作が好きだった方も、ぷよぷよからこのキャラクターたちを知っているという方も、新しくフィアと一緒に学校に入学したという方も楽しめるようになったと思っていて、それはよかったなと。

■35年の「魔導物語」と、デビュー間もない「キミのね」の出合い

――このインタビューには主題歌を担当された「キミのね」のお三方にもお越しいただきました。そこで安井さんに、オファーについての経緯をうかがえれば。

【安井】主題歌のアーティストを選ぶ際、MAGES.(現AniTone)さんに作品の内容に合ったアーティストさんがいらっしゃるか相談させていただいたんですね。そこでご紹介いただいたのがキミのねさんでした。

すでにリリースされている曲を聴かせていただいて、魔導物語のほんわかした世界と、新たな主人公のフィアが活躍する物語、両方にピッタリくるなと感じました。キミのねの楽曲にはバイオリンも入っていて、そういうテイストもファンタジー世界にすごく合うなと。もちろん他のアーティストさんもいろいろ検討はしましたが、やはり一番ぴったりきたキミのねさんにお願いした形です。

【つむぎしゃち】うれしいです(笑)。

――オープニングテーマ「アソベンチャー」とエンディングテーマ「纏うものがたり」の2曲が提供されていますが、オファー前からどちらも同じアーティストでという構想だったのでしょうか?

【安井】それぞれ別のアーティストにすることも考えていたんですけど、キミのねさんを紹介していただいた時点で、オープニング・エンディングどちらもお願いすることに決めました。

曲のイメージとして、オープニングは「学校に急いで向かっている途中のようなスピーディーなアップテンポの曲」、エンディングは「未来があるような感じ」というイメージがあって、キミのねさんに一連で作って歌っていただいた方がいいだろうと。

――ありがとうございます。そうした経緯の上で、キミのねの3名にはオファーを受けた当初の感想をそれぞれおうかがいしたいです。

【つむぎしゃち】「オープニングとエンディング、両方やらせてもらっていいんですか!?」とすごくうれしかったです。オファーのあと、作品についてさらに説明をさせてもらって、フィアという主人公が一人でどんどん突き進んでいくのではなく、仲間と出会ってそこからいろいろ学んで仲間を増やしていくっていうところが、キミのね自体のはじまりのストーリーと似ているなと共感もしたので、自分の気持ちも込めながらストーリーと一緒に楽しませてもらいました。

【大谷】私はいろんな配信者さんのゲーム実況をよく見るんですよ。動画の中で、ゲームに使われる曲について配信者の方が感想を話したり、(コメント欄で)「この歌いい」「すごく合ってる」みたいなシーンがよくありました。主題歌はゲームの印象に関わる大事な一部分でもあるなって思っていたので、主題歌をやらせていただくとうかがった時には本当にすごく責任感みたいなものを感じました。作品の世界観を守った上で、新しい何かを吹き込む力になれたらな、と取り組ませていただきました。

【久下】「魔導物語」はやっぱり歴史のあるシリーズということもありますし、「フィアと不思議な学校」についても制作中の映像を見せていただく時間があったので、イメージはすごくしやすかったです。そこからどうしようかと考えた時、やはり、昔からのファンの方と、新しく初めて魔導物語をやるという方、両方に満足していただけるようなことを目指す方がいいのかなという部分は意識しましたね。

――インタビュー前編の最後に、安井さんから読者へメッセージをお願いします。

【安井】ゲームを起動すると、オープニングでキミのねさんの歌と映像が流れるようになっているんですね。そこで明るい世界観を感じられたり、テンポよい曲で気分が乗ってゲームが始められるようになっていると思います。ぜひ数十年ぶりに復活した魔導物語を、新しい主人公のフィアと、愉快な仲間たちと一緒に冒険しながら楽しんでいただきたいなと思います。
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(C)IDEA FACTORY/COMPILE HEART/STING
(C)D4Enterprise Co.,Ltd.
(C)SEGA
※「魔導物語」はD4エンタープライズの登録商標です

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