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【泣ける】「使われない道具になんの価値がある?」最期まで書道家として逝った人と“筆”の絆を描く【作者に聞く】

  • 2025年2月14日
  • Walkerplus

蚤の市で見つけたのは、いわく付きの“筆”だった。これまでの持ち主の話によると、その筆は夜中に勝手にポタポタと墨が垂れているのだとか。まるで筆が悲しんで泣いているかのように――!!

神といえども、道具の寿命とともに消えてしまう
神といえども、道具の寿命とともに消えてしまう / 七星(@nanataroo_7)


長い歳月をかけて使い込んでいるうちに、物や道具にも神々が宿ると信じられている。物や道具に宿る神のことを付喪(つくも)神と呼ぶ。しかし、どんなに大切に扱われても物はいずれ朽ち、そのとき共に付喪神も消えてしまう。この主人公は付喪神を弔う「弔い所」の跡取り息子・宗介である。今回宗介が弔うのは、名手が使っていた筆に宿っていた“筆の神さま”だった。
かつて名手が使っていた古い筆に付喪神が宿っていた
かつて名手が使っていた古い筆に付喪神が宿っていた / 七星(@nanataroo_7)


本作「つくも神弔い所」を描いた七星(@nanataroo_7) さんに話を聞いてみた。

――作中で、筆の付喪神が「壊れたいんだよ、人に使ってもらって」と言っていましたね。「使われない道具になんの価値がある」というセリフが印象的でした。このシーンに込めた想いをお聞かせください。

私自身、書道は学生のころ授業で受けていた程度ですが、それでも筆というのは新品のころは固く書きにくいイメージがありました。それが使っていくうちに馴染んで柔らかく書きやすくなっていきます。そこから道具というのは使われてこそ本領が発揮できるものなのかと実感しました。また、このお話の筆自身も元の持ち主と書を書く時間が楽しかったからこその言葉だと思います。
ズシリと心に重く響くセリフ
ズシリと心に重く響くセリフ / 七星(@nanataroo_7)


――本作を読んだ読者へ伝えたいことは?

筆に限らず、道具は相棒と呼べるような存在になることも多いと思うのですが、そういった感覚をお話全体を通して感じてもらえたらいいなと思っています。

――七星さんご自身が“道具”に対して思い入れがあるからこそ、道具に宿る神を題材にこのシリーズを描かれているんですね!

はい。元々イラストを描いているときから、物を擬人化することが好きでした。もしもこの物や道具が生きていたらこんな感じかなと考えたのがきっかけで、この作品を描き始めました。

最期の力を振り絞って、“筆”としての寿命を全うする
最期の力を振り絞って、“筆”としての寿命を全うする / 七星(@nanataroo_7)

スポーツ選手にとってのラケットやバット、ボール、ビジネスマンにとっての名刺入れや手帳、万年筆…など、現代においても相棒のように大事にしている道具が誰しもあるのではないだろうか。大切な誰かからもらった思い出の品でもいい。大事に思えば思うほどに使わず保管してしまうこともある。この話を読んで、大切な相棒を今一度手に取ってみてほしい。


取材協力:七星(@nanataroo_7)

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