大学時代、パーフェトカップルといわれた勝男と鮎美。常に完璧を求めてきた勝男は、鮎美の手料理に「でも」「しいていうなら」といつもアドバイスをした。この悪気のない言葉が、どれだけ時代錯誤で世間とズレているかを知るのは、別れてからになる。
本作、「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(ぶんか社)は、「今夜すきやきだよ」(新潮社)で第26回 手塚治虫文化賞 新生賞を受賞した谷口菜津子さんのオリジナル漫画。今回、本作の誕生のきっかけや込められた思いについて、漫画家の谷口菜津子さんに話を聞いた。
■「おいしい」も「ありがとう」を言わない人が多い?
タイトル「じゃあ、あんたが作ってみろよ」はとてもいいタイトルだが、どのように決めたのかを聞くと、「1話の内容が決定しタイトルを考えてるとき、とある芸人さんが、同棲している恋人にご飯を作ってもらっておきながら『今日の献立、茶色いね』みたいなことを言ってしまい、それを聞いた恋人が泣いてしまった」というエピソードを話されていたのを思い出しました」と述懐。
続けて、「茶色い料理は美味しいものが多いにしても、頑張って作った料理の感想がそれはしんどいだろうなと思いつつ、このような、料理へのうざいダメ出しをタイトルにするのがいいんじゃないか?と考え始め、結局そのセリフに対するツッコミのような感じで『じゃあ、あんたが作ってみろよ』というタイトルにすることにしました」と答えてくれた。
作ってくれた料理に対して「あれこれ」と意見をしたり、感謝を込めた「おいしい」も「ありがとう」を言わない人が多いのでは?料理をまったくしないのにダメ出しをする人は、勝男視点・鮎美視点それぞれで読んでみて欲しい。
取材協力:谷口菜津子(@nco0707)