残暑が厳しく長い2024年だったが、徐々に涼しくなってきて、いよいよ秋本番に突入。寒い地域や山間部では10月中旬から紅葉が始まり、平野部でも11月中旬~下旬になると紅葉が見頃を迎える。おでかけの目的として人気の紅葉だが、日本ではいつから「紅葉狩り」を楽しむようになったのだろうか?一説では奈良時代や平安時代に貴族の間で嗜まれるようになったと言われているが、まだまだその頃は春の花見に比べればポピュラーなイベントではなかった。世間一般的に、庶民の間で楽しむようになったのは江戸時代に入ってからだという。
江戸時代から人々の目を楽しませてきた紅葉だが、その魅力は美しさだけでなく、実は健康にも大きな影響を与えていることをご存じだろうか?今回は、“紅葉が与える健康効果”に着目すると同時に、散策に最適な関東エリアの紅葉名所を10スポット紹介しよう。
■紅葉が人に与える3大効果
色鮮やかな紅葉は、眺めるだけで人の体によい影響を与えてくれるという。その代表的な効果を3つ挙げ、それぞれ紹介していく。
【1】視覚効果による脳への刺激
人間は生まれながらに視覚に敏感で、視覚から情報を得て脳に刺激を与える。一般的に赤や黄色などの暖色は交感神経を、青や紫などの寒色は副交感神経を活発にさせると言われている。つまり、葉が赤や黄色に色づく紅葉は交感神経を刺激して脳を活性化させ、気持ちを高まらせて人をポジティブで行動的にする傾向がある。紅葉を眺めているだけで「何か新しいことを始めたい」「挑戦したい」というパワーを引き起こさせてくれるのだ。気持ちがポジティブになることで成功のイメージを描け、学習能力のアップにも期待ができるそう。
そのほか、目から入る色彩情報の影響だけでなく、単純に紅葉の美しさに感動して心を動かされること自体も脳によい刺激を与えて活性化へとつながるという。
【2】ストレスの軽減
脳内の神経伝達物質である「セロトニン」は、“幸せホルモン”や“幸せ物質”と呼ばれ、ストレスを緩和させる効果や、気分や感情を安定させる働きがあり、うつ病予防や睡眠障害の改善に効果があると言われている。
外に出て日光を浴びるだけでもセロトニンの分泌が高まるが、紅葉のような美しい景色を眺めることで前頭葉が活性化され、セロトニンはより分泌される。ストレスを溜め込んでしまうと免疫力が低下し、体調に悪影響を与えてしまうので、紅葉を眺めてセロトニンを分泌させ、幸せな気持ちになって心をリラックスさせよう。
【3】美容・アンチエイジング
先述したセロトニンはストレスの緩和だけでなく、「抗重力筋=地球の重力に対して姿勢を保つために働く筋肉」を刺激する作用があり、顔のたるみ・しわ予防につながってアンチエイジング効果もあるといわれている。紅葉を観賞するだけで、美容にもよい効果が期待できるとはうれしい限りだ。
さらに、昨今はもみじの葉に含有されているポリフェノール、βーカロチン、ルテインなどが着目され、機能性食品として注目されている。ここで、「もみじの葉って食べられるの!?」と驚く人も多いのではないだろうか?実は、大阪府の箕面市(みのおし)の名物で「もみじの天ぷら」があり、約1300年以上前から食されているのだとか!ただ、このもみじの天ぷらの料理工程は「1年以上塩漬けしたあと、塩を抜いた葉1枚1枚に衣をつけていき、1枚ずつ丁寧に油で揚げる」という、とてつもなく手間も時間もかかるもの。自宅で再現するのは少し難しいかも…。そこでおすすめなのが「もみじ茶」だ。もみじのような色鮮やかな赤色のお茶は見た目も美しく、飲んでもおいしいので一度試してみてはどうだろうか?
■都心からアクセスがいい関東の紅葉スポット10選
ここからは、ウォーカープラスのユーザーに人気がある関東エリアの紅葉名所をお届けする。ウォーカープラスの「紅葉名所2024」のサイト内でランキング上位にのぼる紅葉スポットの中から、11月中旬に見頃を迎えている名所をセレクト!ぜひチェックしてみて。
■【東京都】
■秋川渓谷の紅葉
鮮やかに色づく紅葉と清流の青さが作り出す見事なコントラストが堪能できる。なかでも、檜原街道の十里木バス停から温泉施設 「秋川渓谷 瀬音の湯」へ続く歩行者専用の吊橋付近が絶景ポイントだ。
■国営昭和記念公園の紅葉
園内2カ所のイチョウ並木「かたらいのイチョウ並木(98本、300メートル)」と立川口「カナール沿い(106本、200メートル)」が黄金色のトンネルとなることで人気のスポット。「日本庭園」ではカエデ類(約300本)の紅葉も楽しめる!「かたらいのイチョウ並木」や、水面に夜の景色が反射する「日本庭園」までを散歩する「秋の夜散歩」も開催中。
■【神奈川県】
■大山寺・大山阿夫利神社下社の紅葉
真っ赤なモミジのトンネル階段が絶景!大山寺の参道の階段や大山阿夫利神社周辺にある、真っ赤に色付いた紅葉の木が観光客を迎えてくれる。見頃は11月中旬から下旬。
■三溪園の紅葉
古都のような風情ある紅葉が横浜で楽しめるとあって人気が高いスポット。11月中旬から12月中旬にかけて見頃を迎える。2024年11月22日(金)から12月8日(日)までの金・土・日・祝日は、19時30分(最終入園19時)まで「紅葉ライトアップ」を開催。幻想的な空間が広がり、非日常的な景色を堪能できる。
■【千葉県】
■本土寺の紅葉
鮮やかな赤に染まる約1000本ものモミジが境内を彩る。五重塔や仁王門、回廊といった歴史的建造物と紅葉が織りなす風情ある景観が人気で、多くの参拝者が訪れる。例年11月中旬から木々が色づき始める。
■養老渓谷の紅葉
紅葉観賞が楽しめるハイキングのメッカといわれている。色付いた山々を眺望できる大福山展望台、中瀬遊歩道や滝めぐり遊歩道といった川沿いの散策コースのほか、懸崖境・筒森もみじ谷などがあり、楽しみ方はさまざまだ。※2024年11月現在、川沿いの遊歩道で一部通行止めの箇所あり
■【埼玉県】
■国営武蔵丘陵森林公園の紅葉
東京ドーム約65個分の広大な敷地内の各所で紅葉を楽しめる。なかでも約20種約500本のカエデが集まるカエデ園は、11月中旬から下旬に見頃を迎える人気スポットだ。
■メッツァ(メッツァビレッジ・ムーミンバレーパーク)の紅葉
2018年にオープンしたテーマパークで、11月中旬~12月中旬に紅葉が見ごろとなる。宮沢湖の周りはもみじなどの紅葉する樹木が多く、鮮やかに彩られた樹木の中を散策することもできる。
■【群馬県】
■わたらせ渓谷鐵道の紅葉
渓谷を走る列車から紅葉が楽しめるとあって人気!「トロッコわたらせ渓谷号」「トロッコわっしー号」が運行しており、列車の車窓から紅葉を楽しむことができる。例年、10月下旬から11月下旬頃が紅葉の見頃となっている。
■【栃木県】
■織姫公園もみじ谷の紅葉
織姫公園の一角にある人気の紅葉スポットで、谷を赤く染める約1000本のモミジは必見!隣接する足利織姫神社は、足利県立自然公園ハイキングコースの発着点になっているため、紅葉を眺めながらウォーキングを楽しむ人の姿も多い。11月中旬から下旬にかけてが例年の見頃だ。
この週末は、“目の保養”だけでなく“脳の活性化”を目的に紅葉スポットへのおでかけを計画してみては?紅葉がもたらす健康効果で、ストレスも吹っ飛び、翌週からの仕事のスピードや意欲が格段にアップするかも!?
取材・文=大庭かおり