ヘッドフォンの音量が大きい!と若者の襟首を掴んで怒号を浴びせたサラリーマン。若者を突き飛ばして、店を去る。飲食店で揉め事に遭遇した女性は「そこまでしなくても…」と言う思いが募り、突き飛ばされた若者に「大丈夫ですか?」と、優しく声をかけた。すると、若者から悪意しかない言葉を浴びせられて……。
福々ちえ(@fukufuku_comic)さんの「モヤモヤ社畜OLと、勇気のマサラカリー」に1.3万を超えるいいねが届く。勇気を出した声かけやその後の展開に「いい話」「勇気を出すって素晴らしい」などのコメントが集まった。
福々さんは、漫画家&イラストレーターとして活動中。「お金がないと幸せになれない」と思っていた女性が、稼いでも稼いでも孤独や不安感が消えないコミックエッセイ「稼いだら幸せになれると思ってた」などの著書がある。
■自分の「正しさ」が揺さぶられる瞬間…!実体験を元にした心に響くストーリー
「もやもや社畜OLが、スパイスカレー食べて元気になる話」は、作者の福々さんが実際に体験したエピソードを元にしている。ある日昼間の駅で揉めてるサラリーマンと遭遇し、一方が襟首を掴んで叫んでいたという。その時に「私これ見なかったことにして通り過ぎていいのかな」と思い、こういう自分の「正しさ」を揺さぶられる瞬間ってあるなぁと感じ、それをテーマに作った漫画が今回の作品とのこと。
本作の続編として、同じ店内に居合わせた女性視点で「仕事のできる女と、怒りのバターチキン」を描いた理由について「たまたま同じ店にいた女性を視点を変えて漫画にしたのは、より現実世界をやさしく受け止めてもらえたら、との思いからです。2作目は、1作目と違っていわゆる『嫌な女』を主人公にしました。同じくカレーを食べて奮起したはずが、逆に自分を追い込む事態になっちゃって…と受難が続きます。こんな風に、人間にはひとりひとりドラマがあるんですよね。たまたま隣り合わせた、同じ場所にいた、すれ違った。そんな人達にも、それぞれ葛藤やドラマがあると想像できれば、世界がやさしくなるかも…なんて考えたりします」と語る。
また、福々さんが漫画に込める思いや気をつけていることについて「私の漫画は、人間讃歌がテーマです。悪者はいません。悲しい人や弱い人がいるだけです。私は親のことでずいぶん長く恨みつらみ(笑)を持ってたのですが、『親にも事情があったんだ』と気づいたら、怒りが溶けて消えた体験があって。この体験を読者さんにも疑似体験してもらえるような、そんな漫画を描いていきたいです」と話してくれた。
取材協力:福々ちえ(@fukufuku_comic)