世界各国だけでなく日本でも日常的に飲まれているコーヒー。毎日のように飲む人や1日に何杯も飲む人もいるほど身近な飲料だが、気候変動によりコーヒーの栽培適地が劇的に減少するという「コーヒーの2050年問題」で今までのように飲めなくなるかもと心配されている。そんな状況のなか、アメリカから新たなサステナブル飲料「ATOMO COFFEE(アトモコーヒー)」が日本に初上陸した。
■コーヒー豆の分子を徹底的に分析して生まれたエスプレッソ粉
「ATOMO COFFEE」は2019年にアメリカ・シアトルで設立されたATOMO COFFEE社が開発したコーヒー豆を使わない、コーヒーフレーバー飲料。アメリカでは2023年10月にアメリカで“エスプレッソ粉”としてローンチ。今回、日本でも販売がスタートした。
コーヒー豆を使わない「ATOMO COFFEE」とは一体どういうものなのか。リバースエンジニアリングという手法でコーヒー豆の分子を分析し、コーヒー豆ではない原料からコーヒーの分子構造を再現した“エスプレッソ粉”がその正体。
原料となっているのは廃棄されるデーツの種子などの材料をアップサイクル、またレモンやグアバなどの植物由来の成分を組み合わせている。コーヒー豆を使用していないため、厳密にはコーヒーとは呼べないが、分子構造としてはコーヒーを再現しているという、まさに新しい飲料だ。
「ATOMO COFFEE」のエスプレッソ粉は酸味が少なく、抗酸化作用が豊富。コーヒーのようにカフェインを配合したものと、ノンカフェインの2種あり、コーヒーの5大要素である香り、ボディ、色、味、カフェインをそれぞれ分析して最適化することで、見た目や味わいを再現。
■そのままでもミルクで割ってもOKな地球にやさしい一杯
日本では現在、“zero-waste”(廃棄ゼロ)をコンセプトとした、東京・渋谷にあるカフェバー「æ(ash) zero-waste cafe & bar」でのみ提供されている。メニューは「ATOMOエスプレッソ」(530円)、「ATOMOマキアート」(630円)、「ATOMOラテ」(アイス・ホット各670円)の3品。
店舗ではコーヒーと同じように淹れていて、ラテやマキアートは牛乳のほか、プラス140円でオーツミルクへの変更もOK。残念ながら、現時点では粉末の状態での販売はなく、店舗で提供されるメニューでしか味わうことができないが、今後、もっと取扱いが増え、より身近な飲料になるかもしれない。
コーヒー好きな人も、普段はあまり飲まないという人も、農業廃棄物をアップサイクルした、これからの時代のコーヒーフレーバー飲料をぜひ試してみよう。
取材・文=岡部礼子