婚活で知り合った5つ年下のこうき(29歳)は、容姿も経歴もよさそうな相手。食事は楽しかったけれど、会計の際に1円単位の割り勘を提案してきた。おごってもらえると思っていたのに!2回目のデートでは「改札口にいる」と連絡がきたものの、予約の店に一番近い改札口にいた。「私が降りるJRまで迎えにきてくれたらよかったのに…」と、アイコは彼との価値観に違いにモヤモヤする。
相手とのこうした違いを感じたことはないだろうか︖今回は、コニシ ナツコさんの漫画「『⼥はおごられて当然』と思ってる昭和引きずり⼥が、婚活した話」を紹介するとともに
制作秘話を聞く。
■これからずっといっしょにいる相手だから、等身大の自分を見せたい?
34歳、独身のアイコ。35歳を前に婚活を始めた。マッチしたのは、29歳のサラリーマン。経歴も見た目もよさそうだったのに、会計時に「1人4236円」と1円単位の割り勘を提案された。アイコは、おごられることが「当たり前」だと思っていただけにショックを隠せない。
「フツー、こういうとき割り勘とかはないかな~?」「たとえば、せめて2000円でいいですよって言ってくれたり」とアイコが言うと、こうきは「同じ量を飲み食いしたのに、2000円?」と驚き「さすがに今日食べた量が、1対3ということはないんじゃないでしょうか?」と、反論を始めた。
作者のコニシさんは、「古い価値観が変わっていくアイコを描きたかった」という。本作のヒーローであるこうきは「昔お付き合いしていた方が発想のもと」。そして、ヒロインのアイコは等身大のコニシさんがベースとなっている。「当時、絶対におごってくれない彼と付き合っていて、今思えば馬鹿馬鹿しい気もするんですが、そのことでとても悩んでいました。この作品を描くことで、彼を理解できたら一石二鳥だなという下心もあって描き始めました。描いてる途中で別れましたが…!」
自身の経験を踏まえ「自分とは全く価値観の違う男性と出会い、これまでの自分の価値観を捨てて、自立してく女性の姿を描きたいと思いました。」こうして本作のテーマ「古い価値観に縛られた主人公の成長」が生まれた。
第1話のアイコの言動については、「もしかしたら読者をイラつかせてしまうこともあるかもしれません」とコニシさん。「漫画作品としては、主人公は多くの人に愛されるキャラクターじゃないといけないと思っています。でも、私はダメダメなところから成長するアイコを描きたかった。そのバランスが難しいなと思っています。こうきとの間にどんな試練があればアイコが変わっていくか、しっかり描いていきたいと思います」。古い価値観に囚われたアイコは、一体何がきっかけで変わっていくのだろうか?
割り勘でもめたものの、こうきから「もう一度会いたい」という連絡があり、うれしいアイコ。しかし、次は「待ち合わせの場所」でもめることとなる。アイコはJRで向かうといったのに、お店に一番近い地下鉄の改札口で待っているこうき。何事にも合理的なこうきと優しくされることで男性の好意を感じたいアイコ。
2人の距離はまだまだ遠いが、アイコの言葉に感じるものがあったのか、こうきにも変化が――。「変わっていくこうきにも注目してもらいたいですね。2人がぶつかるポイントはなかなかリアルなのではないかと思います。そういった小さいエピソードにも、ぜひ注目してもらいたいです」
「おごりおごられ問題」は、SNSで度々炎上する話題。「世の中の風潮的に『女の子はおごられたい!』と言えば、叩かれがちです。これだけ男女平等が叫ばれている時代ですから当然です。でも、大きな声では言えないけれど、アイコと同じようなことを思っている女性はたくさんいるんじゃないかと思います。そういう方々に読んでいただけたらうれしいです」とコニシさん。
こうきは、1円単位まで割り勘にすることは「公平」だという。無理をしない等身大の自分を見てもらう方が、結婚後をイメージしやすいと捉える。しかし、婚活において「印象が大事」だと思っているアイコ。お互いの気持ちを知っていくと少しずつ価値観にも変化が…。本作は、2024年9月1日に第1巻が発売。ラストの2人の行方は――?
取材協力:コニシ ナツコ(@natsukoni81)