日常の出来事の着眼点を変えるとおもしろいエッセイ漫画がXで大きくバズった、さてよ(@sateyo)さんの創作漫画「死にたい女子大生が60歳の親友と大学生活を楽しんで死ぬ話」を紹介しよう。
■ネガティブな18歳とポジティブな月子60歳!親子ほどの年の差がある2人は親友!
光は18歳、大学生一年生。口癖も本心も死にたいというネガティブな光は、朝早い1限目の講義で「死にたい」と呟く。そんな彼女の親友は、60歳の月子。光と真逆のポジティブな月子は、ネガティブな光に対し「紫外線が強くなる前に通学できてラッキーよ」と言う。
月子は、8年前に娘を亡くしていた。彼女の娘のノートには「やりたいことリスト」が書かれていて、月子は娘がやりたかったことを実践していた。ノートには、「大地を感じる」「黒い食べものだけで一週間過ごす」「髪を七色に染める」など、ちょっと難しいことも書かれていて、2人はできそうなことを探した。
光は「空いてるサロンを探してみますね」と、美容室を予約。2人で髪を7色に染めに向かった。さすがに七色に染めるのは勇気がいる。しかし、ひとりではできないことも2人ならできた。死にたがりの光は「今、死んだら7色の幽霊になれる!?」とよろこび、月子は「自治体のみんなは卒倒するかも!?」とよろこんだ。
やりたいことリストや2人の会話一つひとつにおもしろいポイントが詰まっている本作。作者のさてよさんは、「私はカップ焼きそばはソースの粉を入れずに食べます。目玉焼きには何もかけません。餃子もそのままいただきますし、コロッケもそのままおいしくいただきます。味が薄いほど好きです」と、食に関してみてもシンプルなタイプ。今までも、曜日を擬人化した「曜日ちゃん」や時計を主人公にした、長針と短針の相思相愛を描いた恋愛劇場など、独特な世界観を描いてきた。
制作のきっかけは、「私自身がネガティブな性格なので、『ポジティブで、かつ歳の離れた友人がいたらいいのにな』と思ったのがきっかけです」という。また、「ネガティブな大学生」と「ポジティブな60代」という対極的な2人のキャラクターについては、「ネガティブな大学生である『光』は過去の経験からネガティブな思考になっています。光はネガティブなことを言いがちですが、それをポジティブな60代の『月子』がポジティブに切り返します。そんな2人が仲良くしている様子を楽しんでもらえたらうれしいです」と話す。
「何気ない日常を少し違う視点で見ると別のおもしろさがある」というのが、さてよさん。このあたりの視点のおもしろさは、以前から発表しているエッセイ漫画にも通じるところがある。ポジティブな60代月子だが、しかし彼女は子どもをなくしている。彼女のメモに書かれている「やりたいことリスト」をクリアしていく2人の今後に注目したい。
さてよさんの目標は「商業漫画家デビューをすること。書籍化され、近所の本屋さんで私の本が並んでいるところを見るのが夢です」という。そのために日常系エッセイで万バズを出し、「Kindleで無料の電子書籍を出版しました。過去のエッセイ漫画を載せています。続編も出版予定です。読んでもらえるとうれしいです」
取材協力:さてよ(@sateyo)