深夜遅くの古いアパートの一室から、不気味な声が漏れていた。「グフフ…遂に…遂に完成した…」。がたいのいいコワモテの男が何かを完成させたとき、その部屋に来客が訪れた。
「ピンポーン」、玄関のチャイムが鳴り男が顔を出すと、そこにいたのは白い布をかぶった動物らしき生き物。汚い字で「とりーと おあ とりーと」と書かれた紙を口にくわえている。コワモテの男が「飼い主にやらされているのか。それ…」と呆気に取られていると、男の飼い猫のユキが顔を出し、その動物にスリスリし始めた。
コワモテの男の不気味な笑い声から始まった不穏な物語が一転し、ここからは“モフモフ”たちと男のハートフルな物語へと展開する。読者からは「やきもちユキちゃんかわいい」「もふもふ天国なんて、うらやまけしからん」「もふもふに愛されている…この人はどれだけの徳を積んだのだろう」という声が飛んだ。「ラスコマ、ちっちゃいもふもふがいっぱい」と最後の1コマまで楽しむ読者も。
コワモテ男とモフモフたちのギャップがたまらない本作を描いたのは、古西(@kurumaru_inu)さん。漫画家のアシスタント業をしながら、自分のオリジナル作品もSNSにて発表している。古西さんに本作について話を聞いてみた。
――本作のなかで特に力を入れて描いたシーンや著者ならではのこだわりを教えていただけますか?
力を入れたシーンは、ユキが本性を現すシーンです!普段は普通の猫だけど、本当は恐ろしい猫なんだということを伝えたくて描いたシーンです。
――では、「細かいところだけどここを見てほしい」というところは?
細かいところだと、冒頭で主人公が作った“ブツ”に白猫のデコレーションが飾られていたり、エプロンにも白猫が刺繍されている点ですね。あんまり自己主張しない主人公のユキへの愛が伝わる部分に気づいてもらえたらうれしいです。
――読者からのコメントで「続きが読みたいです」「できればあと30話くらい読みたいです」という声が届いておりましたね。
とてもありがたいです。作者本人としても続きは描きたいです...!現在、ほかの原稿と平行しつつ、「オバケはお菓子がお好き」の漫画が連載として続けられるだけの土台を再構想中ですので、いつか発表できたらいいなと思っています。
――pixivの2024年5月月例賞で優秀賞を受賞した「宮流くんの髪はきれい」という作品についても簡単に教えてください。
天パがコンプレックスな主人公・迎野さんが、宮流くんの美しい長髪に惹かれるところから始まる物語です。最初は髪ありきだった2人の関係性が、だんだん変化していく様を読者の方々にも楽しんでいただけたらなと思います。特に見てもらいたいシーンは、ヘアアレンジするシーンと、駄菓子にハマる宮流くんのシーンでしょうか。徐々に宮流くんの表情が柔らかくなっていく過程は、描いていて楽しかったです。
古西さんの作品「宮流くんの髪はきれい」はpixiv月例賞のほか、ゲッサン新人賞で佳作も受賞している。この機会にぜひ読んでみよう。また、現在は新作のネームを模索中とのこと。「そう遠くないうちに発表できるように頑張ります!」とコメントをいただいているので、そちらもお楽しみに!
取材協力:古西(@kurumaru_inu)